フィルムがデジカメに唯一勝っているのがダイナミックレンジである。


 ダイナミックレンジとは白や黒をどれだけ細かく表現できるかなのだ。例えば一言に「白」と言っても黄色味を帯びた白も桜のようなピンクを帯びた白もある。黒ならば紫のような黒もあれば茶色い黒もある。それをどれだけ忠実に再現できるかが「ダイナミックレンジの広さ」と言う。


 ただ、フィルムがどれだけダイナミックレンジが優れていても、再生機器はフィルムを結局ccdで読み込んでいる訳だからフィルムそのものをデジカメで撮影しているのと全く同じ、フィルムを使用する意味は全く無い。


 ダイナミックレンジを狭くするメリットは何か。それは発色を派手にクッキリとシャープにする事が出来るのだ。そもそも絵から写真に入った私にとってはこちらのほうが好みだ。例えばモデルを撮影する場合、服の色、顔の色などは細かい諧調には不向きだ。


 それがフィルムだとどうなのか。じつは印画紙で全く異なる。実は私はカラー現像を自分でやっていた。なのでそのあたりは身体で判っている。コダックの印画紙とフジの印画紙では発色が異なる。コダックの印画紙はデジカメで撮影したかのような仕上がりだ。絵出身の私は昔からコダックの華やかな発色の印画紙が好きだった。


 写真はプリントの結果が最終的な評価である。フィルムだけをとりあげても無意味だ。そのフィルムもccdでの撮影から版を起こす現在、フィルムを使うメリットはたばこのメリットを探すようなものなのだ。