複数人での旅のスタイルは「一人旅×参加人数」が最良だ。昔から「友を失いたければ一緒に旅をしろ。」がある。最初は旅慣れた人に付いて行くが、現地、特に都市部に到着したら余りの旅の簡単さに各人の意見が対立してしまうからだ。

 前回プサンに行った時は最悪だった。私が正月に一人旅プランのプサンツアーに行くと知った会社の奴が、私の出発日に合わせて船の予約をしたのだ。私は高速船、そいつはフェリーだ。仕方ないのでプサンに到着して、ホテルに付いて、一眠りしてからそいつをフェリー乗り場に向かえに行った。船は時化で到着が一時間遅れた。まーこればかりは天候なので仕方ないのだが、本当に腹がたったのが、その後だ。「ホテルを取っていない」と言うので、宿泊先探しにつれ回され、途中で腹が減ったので、プサンに来た目的の一つ「デジクッパを食いたい」と私が言ったら「あっ俺デジクッパは駄目」だと言う。腹が減った中、宿泊先探しは続く、なるべく安い場所を探し回る。そいつは「韓国語は出来る」と言う。しかし、結局私が韓国語で「ヨニンスク(旅人宿)」と書かれた看板を発見したのだった。結局そいつは文字を読まずに宿泊先のマークである温泉マークを目印に探していただけだったのだ。その後に食事の為に国際市場に行った。私は「冷麺」が食べたいと言ったら寒いから嫌だと言う。結局とんかつ定食だったのだ。

 デジクッパは食えんは、宿探しでつれ回されるは、冷麺は食えんはで貴重な滞在時間を削られ振り回されただけだったのだ。そいつは私のように写真があるから旅をする訳では無い、単に海外に行ったと言う事だけが話しのネタの奴だ。しかも英語は片言も出来ん。行く外国は韓国やハワイ、グァムなど日本語がそこそこ通じる観光地のみで、そもそも一人旅など無理な奴だ。


嗜好も行動も全てが違う相手と一緒に行動する事自体無理な事だとこの時痛感したのだ。


 それでも一緒に行動する場合があるのは偶然行く方向が同じだけ。現地着の後は各自行動をして、移動だけが一緒、最大の協力しながら、各自の行動を確保する。それが「一人旅×参加人数」のスタイルであり、気楽なスタイルが旅には重要なのだ。

 書いている内に気づいた。このスタイルはバスツアーと同じだ。見知らぬ者同士が集合場所に集まり旅をする。そこに参加者同士のいざこざも不満も余り無いのだ。

 知り合い同士の場合に旅をする場合、誰かが誰かにぶら下がろうとする。これが昔からの諺「友を失いたければ一緒に旅をしろ。」の根本的な原因なのだ。知り合い同士の旅行だからと言って、どっちがどっちに合わせる必要など基本的に無いのだ。特に地下鉄が発達している都市ならばなおさらだ。各自が行きたい所に行けば良いのだ。それがたまたま一緒なのか違うのかの差なのだ。そして、旅人に必要な精神、それは「自治」なのだ。