以前、宮城谷昌光さんの中国史を舞台にした歴史小説が大好きですということを書いたのですが………。
宮城谷さんが男性陣の中で最も好きな小説家だとしたら、女性陣の中で最も好きな小説家は………。
僕は特にその方が執筆されてきた西洋史(特に西ヨーロッパ)を舞台にした歴史小説の大・大・大ファンなのです。
その‘お方‘とは…言わずと知れた知的女流作家:塩野七生女史です
そこでまずは彼女の簡単な来歴をば書いておきますね。
1937年彼女は東京に生まれています。神田神保町の古書街では借金してまで本を買い求めるほど無類の読書家だったそうです。
学習院大学を卒業後1963年(26歳)に渡欧、イタリアで学び1968年帰国後中央公論に[ルネッサンスの女たち]で作家デビューをします。
1970年には[チェザーレ・ボルジアあるいは優雅なる冷酷]で毎日出版文化賞を受賞、その後もヨーロッパ史を土台に[海の都の物語・ヴェネツィア共和国の一千年]や[コンスティノープルの陥落],[ロードス島攻防記],[レパントの海戦]などの著書を精力的に執筆し続け、1992年からは全15巻にも及ぶ古代ローマ史を綴った[ローマ人の物語]の執筆を開始!、2006年発刊の[ローマ人の物語・ローマ世界の終焉]をもって完結します。
(塩野さんの描いたローマ史はギボンの著書、ローマ帝国衰亡史のような学術書とは違い、血の通った生身のローマ人の歴史が表現されていて僕の中ではローマ史を扱った著書としては最高だと思っています!)
もちろん塩野さんはヨーロッパ史を題材とした著書だけを執筆されている訳ではなく、[サイレント・マイノリティ]や[男たちへ フツウの男をフツウでない男にするための54章]、[生き方の演習 若者たちへ]などといったエッセイや、僕は読んだことはないのですが[漁夫マルコの見た夢],[コンスタンティノープルの渡し守]といった絵本執筆もされているのです。(…ちょっとビックリでした!)。
彼女の作品は大衆小説の形を取っていますが、限りなく歴史書に近いと思います。
特に先ほども紹介しましたが[ローマ人の物語・全15巻]は一千年にも渡る古代ローマ史の政治・経済・文化が克明に記されていますし、また当時のローマ人の考え方や価値観にも触れ、読み終わった後の充実感・満足感を得られること間違いなしの傑作著書です。
僕は塩野さんの著書のすべてを読んだわけではありませんが、それでも幾らかの作品に接したことで、これほどの才女はそうはいないのだろうなぁ~などと思うほどの魅力を抱きました。
塩野七生女史…………そうはいない女流作家さんです。