一面だけ取り上げると、戦前の日本軍は「非人道的」であったかのように見られがちだが、戦後、GHQによる「軍隊=悪」という叩き込みが、根強く反映しているように思われる。
 
世界各国の軍隊は、現在でも、またどこでも同じで、精強な軍隊を組織するためには当然行われている教練なのである。一歩間違えれば自らの生命も危ぶまれるからである。
 
自衛隊、警察、消防など、人命にかかわる組織では、現代でも程度の差はあれ、極限まで精神を鍛えるための厳しい訓練が繰り返されている。
 

 
01
軍隊教育漫画 入営
兵隊節は、兵士たちが軍隊生活の辛さを慰めるために歌ったもので、軍務や上官に対する不平不満を込めた歌詞が多くなっています。この「可愛いスーチャン」は、兵隊節のなかでも、その傾向が強く表れている。
 
建前上、軍や上官への批判は厳禁でしたが、無礼講の慰労会などでは、一種の「ガス抜き」として、将校も大目に見ていたようです。
 
この作者不明のメロディーは、戦後も多種多様な歌詞がつけれて、先輩と後輩、社内の上下関係、親会社と下請けなど、目下の者の悲哀を歌った内容が多いです。
 
中でも鑑別所で歌われた「練鑑ブルース」が有名ですが、左翼運動の中でも「ガリ切り三年アジ一年 やっとダラ幹(堕落した幹部)になったけど…」と歌われていたようです。
 
「可愛いスーチャン」自体、様々な歌詞があるようですが、ここでは戦後、東京大学文学部三沢郷を中心としたフォー・コインズの歌を取り上げました。
 
可愛いスーチャン - makkisakoma さん
 
この後、田端義夫、渥美清、森繁久彌、青江三奈、ザ・ドリフターズなどにもレコード化されています。
 
 
 
可愛いスーチャン(戦前)

作詞・作曲者:不詳
 
  1. くにためとは 言いながら
    人の嫌がる 軍隊へ
    志願しがんで出てくる 馬鹿もある
    可愛いスーちゃんと 泣き別れ
     
  2. 營門えいもんくぐれば 生地獄いきじごく
    鬼の軍曹ぐんそうや 上等兵
    五尺の寢台しんだい 藁布団わらぶとん
    ここが俺等おいらの 仮の宿
     
  3. 學課がっかに演習 不寝番ふしんばん
    寝たかと思えば 朝になる
    一期の檢閲けんえつ むまでは
    スーちゃんの夢みる ひまもない
     
  4. 男ばかりの 軍隊で
    見れば泣けます 女文字おんなもじ
    着いた便りの うれしさよ
    可愛いスーちゃんの ふであと
     

 
一番の「志願で出てくる…」は、一般人が招集された「徴用兵」に対して、自ら希望して入隊した「志願兵」をさす。
 
志願兵の多くは、貧農地域の次男以降、大東亜戦争初期に徴兵制度のなかった台湾、朝鮮半島出身者が多く、志願兵には口減らしの効果もあったようだ。
 
志願兵は職業軍人であり、軍隊内での出世も早かったようで、上役には志願兵出身者が多かった。これを揶揄したとも思われる。
 

 
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軍隊教育漫画 検閲
陸軍では新兵で入営後、最初の三~五か月(騎兵、砲兵、工兵など、兵種により教育期間は異なる)の訓練(術科)と学科を受ける期間を「一期検閲」と呼ばれていた。
 
終了時に連隊長の検閲を受ける。一期の検閲が終わるまでは外出は許可されなかったのだそうです。
 
愛するスーちゃんの女文字おんなもじは、兵士の心をさぞかし癒してくれたことだろう。
 
それにしても、これだけ軍隊生活を揶揄する歌を、兵士が平然と歌っていた訳だ。皆さんはどう考えますか?
 
 
 
 
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