一面だけ取り上げると、戦前の日本軍は「非人道的」であったかのように見られがちだが、戦後、GHQによる「軍隊=悪」という叩き込みが、根強く反映しているように思われる。
世界各国の軍隊は、現在でも、またどこでも同じで、精強な軍隊を組織するためには当然行われている教練なのである。一歩間違えれば自らの生命も危ぶまれるからである。
自衛隊、警察、消防など、人命にかかわる組織では、現代でも程度の差はあれ、極限まで精神を鍛えるための厳しい訓練が繰り返されている。
![01](https://stat.ameba.jp/user_images/20200331/08/japanism2020/fc/09/j/o0640042714736451679.jpg?caw=800)
軍隊教育漫画 入営
兵隊節は、兵士たちが軍隊生活の辛さを慰めるために歌ったもので、軍務や上官に対する不平不満を込めた歌詞が多くなっています。この「可愛いスーチャン」は、兵隊節のなかでも、その傾向が強く表れている。
建前上、軍や上官への批判は厳禁でしたが、無礼講の慰労会などでは、一種の「ガス抜き」として、将校も大目に見ていたようです。
この作者不明のメロディーは、戦後も多種多様な歌詞がつけれて、先輩と後輩、社内の上下関係、親会社と下請けなど、目下の者の悲哀を歌った内容が多いです。
中でも鑑別所で歌われた「練鑑ブルース」が有名ですが、左翼運動の中でも「ガリ切り三年アジ一年 やっとダラ幹(堕落した幹部)になったけど…」と歌われていたようです。
可愛いスーチャン - makkisakoma さん
この後、田端義夫、渥美清、森繁久彌、青江三奈、ザ・ドリフターズなどにもレコード化されています。
可愛いスーチャン(戦前)
作詞・作曲者:不詳
- お
國 の爲 とは 言いながら
人の嫌がる 軍隊へ
志願 で出てくる 馬鹿もある
可愛いスーちゃんと 泣き別れ
營門 くぐれば生地獄
鬼の軍曹 や 上等兵
五尺の寢台 藁布団
ここが俺等 の 仮の宿
學課 に演習不寝番
寝たかと思えば 朝になる
一期の檢閲 濟 むまでは
スーちゃんの夢みる暇 もない
- 男ばかりの 軍隊で
見れば泣けます女文字
着いた便りの嬉 しさよ
可愛いスーちゃんの筆 の跡
一番の「志願で出てくる…」は、一般人が招集された「徴用兵」に対して、自ら希望して入隊した「志願兵」をさす。
志願兵の多くは、貧農地域の次男以降、大東亜戦争初期に徴兵制度のなかった台湾、朝鮮半島出身者が多く、志願兵には口減らしの効果もあったようだ。
志願兵は職業軍人であり、軍隊内での出世も早かったようで、上役には志願兵出身者が多かった。これを揶揄したとも思われる。
![32](https://stat.ameba.jp/user_images/20200403/02/japanism2020/07/6f/j/o0640042714737805277.jpg?caw=800)
軍隊教育漫画 検閲
陸軍では新兵で入営後、最初の三~五か月(騎兵、砲兵、工兵など、兵種により教育期間は異なる)の訓練(術科)と学科を受ける期間を「一期検閲」と呼ばれていた。
終了時に連隊長の検閲を受ける。一期の検閲が終わるまでは外出は許可されなかったのだそうです。
愛するスーちゃんの女文字 は、兵士の心をさぞかし癒してくれたことだろう。
それにしても、これだけ軍隊生活を揶揄する歌を、兵士が平然と歌っていた訳だ。皆さんはどう考えますか?