今朝、地震で目が覚めた。
たぶん、第一波の縦揺れで起きたのだと思う。気がついたら、ゆーらゆら揺れていた。我が家はマンションの6階、床に布団を敷いて寝ていたので、私の体感震度はかなり大きかった。発表された震度3はかなり甘い。
それはともかく、ドイツではほとんど地震das Erdbebenがない。地震を体験することなく生涯を閉じる人が大多数であろう。私のタンデムパートナーさんは、大学進学前にアメリカでAu-pair(お小遣い程度のお金をもらいつつ、その家の子供の面倒を見るベビーシッター。若い女の子で住み込みの場合が多いよう。語学学習のために行なう人が多い。ドイツでも盛ん)をしていたときに地震を体験したというが、大抵の人が地震に未知の恐怖を抱いているようである。
昨年末、スマトラ沖地震で津波による大被害が出たのはちょうどクリスマスだった。クリスマスといえば、ドイツはほぼ全店休業、各TV局もやる気のない番組構成になっている。おそらくほとんどのスタッフが休みを取っていたのだろう、災害が起こってからの反応も遅かった。確か災害の当日は、終日ニュースを流している局が、同じような状況説明を何度も伝えていたくらいである。しかし、次の日あたりからは各局総出で報道。クリスマス休暇を利用して、東南アジア旅行をしていたドイツ人が相当いたようであった。
これは広く知られていると思うが、津波Tsunamiはすでに世界の共通語である。一番有名な日本語かもしれない。ドイツでも同様で、das Tsunamiで通じる。しかし、その認識は日本人のそれとかなり違う(と思う)。
地震観測のシステムが整備されている日本では、地震発生から数分で各地の震度が表示され、津波がくるかどうかが注意報などの形で示される。TVがあれば、NHKをつければ確実。早い。そして大抵は「津波っていうから凄いのがくるのかとおもったら、15センチかよ」と、陸上で暮らす人間には鼻で笑ってしまう結果に終わることが多い(もちろん、漁業にたずさわる方々にはその重みは違うだろうし、何もないに越したことはないのだ)。
しかしドイツ人(というより、日本人以外)は違う。Tsunamiがくれば、沿岸の街は破壊され、人々は逃げ惑い、阿鼻叫喚の地獄絵図だと思っている(らしい)。一度授業で、die Naturkatastropheがテーマになったとき、津波の話が出た。ドイツ人の教師が、TsunamiとはおそろしいNaturkatastropheだと説明しやがるので、「全部の津波がそういうもんじゃないのよ。まれにNaturkatastropheを引き起こすだけで、高さ4センチなんていう津波もあるのよ」と反論したが、ぴんと来ないらしい。「Tsunamiってのはgroße Wellenだろう」というので、「だからー、そんなのは普通じゃないの。大抵は何センチなのっ」とほとんど言い合いになってしまった。見ていたロシア人のクラスメートが、「日本人の津波の感覚と、われわれのは違うのよ」と大人な仲裁をするほどであった。「地震も全てがNaturkatastropheって訳ではない。もちろん時々はあるけれど」と言うと、「でもKobeはNaturkatastropheといえるだろう?」と反論された。だーかーらー、あれはかなり特殊な状態で、地震が起きるとみんなあんな大災害になるわけじゃないのっと強く言ってみたのだが、わかってもらえたかどうか。
まあ、地震が起きても、お陰でいつもより早く目が覚めたってくらいの日本人が災害ボケしているのかもしれませんが。
追伸:
ドイツのWikipediaサイトでTsunamiの項を見るとTsunamis sind nicht mit sogenannten Riesen- oder Monsterwellen zu verwechseln.と書かれていた。このサイトのリンクを、件のドイツ人教師に送ってやりたいくらいだ。ふふふ。