結構ブログを読んで、知らない学生が会いたいと突然やってくることが多い。
今年も既に3人来た。
私は、学生には全員会うことにしているので会う。
みんななかなかの人物で一流大学でIT業界で
起業もしくは働いていて経験者だ。
そして、一流企業から内定をもらっていたりする。
この3人ともそのまま事業を継続したりベンチャーに就職するのではなく
就職していいか悩んで相談しにきている。
多分私の経歴が大企業→ベンチャー→起業という流れだからだと思う。
この3人も結局次のような方向性だ。
1人は、外資系投資銀行、もう1人は、国内最大の通信キャリア、
もう1人は、社会起業的ベンチャーだった。
結局IT業界でそのまま起業する人はいない。
起業は合理的に判断として考えるとどう考えても
リスクが高いからだ。
例えば、日本の大企業に就職すれば、現在でも少なくとも
数億円の生涯年収は保証されると言ってもいい。
それに対して起業した場合を考えてみる。
例えば、公開して時価総額で100億円程度としよう。
公開時の自分の持分として50%を
維持していたとして、資産としては50億円になる。
しかし、自分で起業して公開までいける率は、極めて低い。
年間公開社数は大体年間200社だ。
日本の開業数は、16万社だ。
すると、現実の開業して公開できる率は、0.125%となる。
すると起業して資産を得る期待値は、50億円×0.125%は62.5万円だ。
しかもこれは資産で現金化できる確率は低い。
ここで希薄化を恐れずに持分を10%を売却して持分を40%まで
落とすとすると期待値で6万円強は現金化できることになる。
時価総額100億円程度の企業ではスケールが小さいと言われれば、
100億円規模の企業になると想定してもその分確率で、
低くなるので大差はないということになる。
アップサイドはこの程度だ。
ダウンサイドは、限りなくある。
資本金は、自分で準備しなければいけないし、銀行から融資を受ければ
一般的には担保や連帯保証人を立てることになる。
(ちなみ国民金融公庫の融資では
無担保・無保証でも融資を受けることができる。)
また、一流大学の学生で内定があれば、
機会損失として数億円を想定するべきだ。
しかも、これは一般的には知られていないが、
公開前に社長としてオプションを持っていたりすると
それを公開前にすべて行使することになって
その分課税されるので、現金がないので銀行から億円単位で
借金することになっていることが多い。そのため公開時には
現金化できない資産(しかもそれは社長の責任といわれれば、
その通りだが一般的に公開してそのまま株価が安定して
上昇することは少ない)と億円単位の借金を持っていることに
なるのだ。
加えて、昨日のライブドアの裁判の結果によれば、
法律的にもベンチャー企業は大企業よりも
さらに高い順法性が求められるらしい。
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20080725k0000e040044000c.html
まあ、合理的に考えると一流企業に内定している学生や
一流企業のサラリーマンが起業することは全く合理性に欠けると
いうことになる。
金銭的なことだけでないという話もあるだろう。
しかし、一般的に一流企業のサラリーマンとベンチャーの創業者では
全く世間の扱いは違うのは言うまでもない。
本来は、こうしたベンチャー起業予備軍に
適切なインセンティブを会社か社会がシステムとして与えるべきだ。
しかし、社会システムの変革は難しいので、
個人として対応するしかない。
すると
個人として賢しらな合理性の計算を吹き飛ばすほどの
圧倒的なビジネスの能力があればよいということになる。
そこで結局学生に次のように言うしかない。
「一度会社に入っても、ベンチャー的な姿勢で
自分がその会社の社長だと思って最低で本部長だと思って
仕事をして圧倒的な戦闘力をつけろ」
こうしたワークスタイルで
就職した学生がで仕事をして圧倒的な仕事の実力がついて
適切にその会社で処遇されれれば、大企業でもベンチャー的なイノベーションが
起きるはずだ。また、本人としても幸福だ。
もし、適切に処遇されなくても圧倒的な戦闘力があれば辞めても
大丈夫なはずだ。
こうした人を増やすために私自身も仕事術系の本を出したり講演したりしている。
私のところにやってくるベンチャースピリットのある学生が
「会社の中で活躍できる」
か
「社会でベンチャーとして成功できる」
ことは日本が経済的に成長するために重要なことはいうまでもない。
日本の経済成長率が、全要素生産性の向上を通じて向上するためには
イノベーションが重要だからだ。そしてイノベーションは試行錯誤の
結果でしか起きないのだ。
かれらが就職しても10年、20年経っても
現在のベンチャースピリットを失わないでがんばって欲しい。
ぜひ、5年、10年たって、就職した会社でか起業して成功して
お会いできることを楽しみにしている。