現代医学に基づいた鍼の方法をやっていますと人前で言うと、ちょっと引かれますね(笑)

今でこそ、「Dry Needling」として海外では認知されていますが。

専門学校の教員時代、臨床実習をする学生さんの前で胸を張って、冷静な顔して宣言してみたものの、なんか人気ないよねと、当時、まだ新米の教員の私は「なんか変だな」と理由がわからずいたのをたまに思い出します。

 

学生さんと話していたり、学生同士の議論を聞いていると、現代医学に基づいた鍼の方法は、いわゆる「あぜ穴治療」でしょとの認識。ただ痛いところに刺すだけ=治効理論が無いとレッテルを貼られていたのでした。えー、確かに中医や経絡の方法は、なんかどんな病気でも理屈が通ってしまうから、ズバッと言いくるめられてしまうけど、いろんな前提条件(臓器やツボや経絡)が現代科学では解明されていないものばかりでしょー、とぼやいたものです。

 

でも学生さんの言うことにも理解できるものがあって、実際には、中医学や経絡治療以外の方法と言えば、凝ってるところに刺す、痛いところに刺すだけの方法が多いんですよね。病態把握まではちゃんとやるのに、施術になると急にツボになったり、コリ探すだけになっちゃうようなやつ。いわゆる筑波大学方式のような方法を知らないからこそ、そのような発言になっちゃうんですよね。

 

さらに言えば、確かにその症状や病態の原因がわかっていないものには、TEATは適応しません。あくまでも、病態を理解して、それに対していい方向に状態を変えられる生理的な根拠がなければ、あぜ穴治療と違いはありませんから。僕はこの適応と限界を知り、誠実に対応することが医療人としての責任だと考えています。適切な他の専門家に、適時パスする能力を持つことは難しいですが、必須だと思っています。

 

その意味でも、治療対象は整形外科疾患に伴う痛み・コリなどが主戦場になるのです。

これを人前で言うと、運動器の痛みしか治せないなんて素人でもできる、とか、内科的疾患(症状)が治せて一人前だとか言われちゃいます。それも学生さんや、臨床2~3年の方々に。

まあ、何言われてもいいんですが、心の中では「痛みを何とかするということを舐めんなよ!」と叫んでいます。その痛みで人生が変わってしまう人のいかに多いことか!決して簡単ではないと。

 

筑波大学の理療科教員養成施設に通っていたころから、昭和大学の生理学教室で亡き師匠の研究手伝いをしながら、その心構えから、手法などを学んでいました。一本の論文を投稿して受理されるまでの過酷さを目の当たりにしたり、自分で体験すると、簡単に「効果がある」と言えなくなってくるんです。

 

なので、内科的疾患(症状)に対するTEATについては、あくまで、「今までの知見から考えると、何か起こるかもしれないね」くらいの認識でいます。正直なところ。

 

反応点パルス
 

方法

  • 刺激領域を脊髄分節(皮膚分節・筋分節)で絞り、さらに、その領域内の圧痛・皮下硬結・筋硬結を反応点とし、これを刺激部位とします。
  • したがって反応点が皮下であれば皮下パルスの方法にしたがい、筋硬結であれば筋パルスにそれにしたがうことになります。

周波数の選択基準

  • 副交感神経活動亢進を目的とする場合には、四肢に対して1Hz
  • 交感神経活動亢進を目的とする場合には、四肢に対して30Hz、もしくは体幹に対して30Hz
  • 副交感神経活動抑制を目的とする場合には、体幹に対して1Hz

治療目標:習慣性扁桃炎、冷え性(末梢血管の血行障害)、高血圧症、気管支喘息

 

期待する効果:上肢・下肢血管の交感神経活動抑制、消化器の自律神経機能および骨盤内循環を調節

 

臨床応用は、後に紹介します。