非特異性腰痛の原因と考えられるものの中で「椎間関節性腰痛」があります。

 

背骨は本体である「椎骨」と、クッションの役割をする「椎間板」からなり、それらが積み木のように交互に重なっています。一つ一つの椎骨は後ろで椎間関節という関節で繋がっています。この椎間関節が動くことで背骨は自由に曲がったり捻ったりをすることができるのです。

関節内には滑膜があり、関節包には豊富な神経終末(脊髄神経後枝内側枝)が分布しますので、椎間関節が疼痛の発生源であるとされています。


椎間関節、特に腰椎の椎間関節が炎症を起こしたり動きが悪くなったりすることで起こる腰痛を椎間関節性腰痛と言います。

また椎間関節の炎症は、関節外に波及し神経根にも影響を及ぼすことがわかっています。

したがって椎間関節性の疼痛は、関節内に限局しないで、周囲の筋・靱帯組織や神経組織などの関節外組織も、疼痛の発生メカニズムに関係していると考えられています。

 

臨床的には、神経脱落症状がなく、局所症状のみを呈する腰痛のなかでは、椎間関節に起因する腰痛は、かなりの頻度で存在すると思われます。

 

今回は、腰椎に限らず、脊椎の椎間関節に起因する疼痛に対するTEATの方法を紹介します。
 

椎間関節パルス
 

方法

  • 鍼を脊椎棘突起下のすぐ外側から矢状方向でやや外方に向けて刺入します。
  • 鍼を椎間関節部まで刺入し、深部に鈍い響き(痛みではないがズーンと応える感じ)が出た深さで留め、クリップを鍼に装着し、周波数、波形などをセットし、タイマーで時間を設定します。
  • 痛みがないことを患者さんに確認し、開始後30秒は部位を確認し、再度、痛みの確認をします。その後も数分毎に確認する。

周波数の選択基準:原則として1Hzとします。


治療目標:腰椎すべり症、腰椎分離症、変形性脊椎症、むち打ち症など
 

期待する効果:椎間関節部周囲の循環改善、関節部感覚を支配する脊髄神経後枝内側枝の閾値の上昇を目的とします。