4月も終わりに近づいてきました。

新卒のあはき師の皆さんのほとんどは、治療院で働き始めて、まだ下働き中かも知れません。患者さんを任せてもらっている人もいるでしょうし、まだ、先輩先生のマッサージをしながら訓練中の人もいらっしゃるでしょう。

 

また、あはき師専門学校に入学したばかりの1年生は、今、まさに基本の「き」の解剖学や基本手技を学んでいらっしゃるところだと想像します。

 

色々な施術方法がありますが、患者さんの訴える不調を手で触れて確認してあげることは、それが正確であればあるほど、患者さんからの信頼感につながるものです。

その意味で、「こり」をみつけることは、治療の第一歩とも言えます。

また、筋肉や靭帯、場合によっては神経などの触察技術も臨床の中で必須になるものです(治療の考え方に依存しますが)。

 

日頃からマッサージをしている人達は、意識することなく(人から学ばなくても)、コリをみつけることができます。

それは、経験則でどのあたりにコリがあるのか知っているから、予測して触察するので、(一から探索するより)見つけるのが簡単なのです。

 

また、圧痛は、コリ、つまり筋硬結をある一定上の圧力で押したり、炎症部位を触ったり、何らかの障害で感覚神経が過敏になっている部位を直接/間接的に押すことで、患者さんが感じる痛みのことです。これは、構造つまり解剖(体表解剖・局所解剖)を理解しておく必要があります。なぜなら、表層の組織であればわかりやすいですが、身体の深層に位置する組織(筋・靭帯・神経など)に対してストレスをかける必要があるからです。適切に圧を加えるには、圧力よりも正確な位置と、押す方向が重要です。立体的な構造をイメージする感覚が必要なのです。

 

とりあえず、まずは練習方法をご紹介します。

  1. 硬結を探す時は「強く押さないこと」です。周囲の筋肉とのテンションなどの違いを感じ取る気持ちで、示指と中指の二本、もしくは示指、中指、環指の三本で「すー」と一方向に動かしながら硬い部位を探ります。
  2. 深い位置にある筋硬結の場合、示指と中指の二本指で行なう場合と、母指で行なう場合があります。この時も、ある程度の圧力は必要ですが、ファーストタッチはさする程度で始め、徐々に強めるのが基本です。
  3. 筋肉の走行や位置関係がわかっていれば、筋を指先で軽く圧しながら、筋肉の走行に対して垂直方向に指を動かします。
  4. 先に述べた、周囲の筋肉とのテンションの違いを感じ取る方法のひとつとして、1円玉、5円玉、50円玉を使って行うトレーニング方法があります。座布団か、ベッドの上に、適当に1円玉、5円玉、50円玉を並べ、その上から厚めのバスタオルをしわを伸ばして掛けます。そして、タオルの上、左端に示指、中指、環指の指腹部を軽く当て、その圧を一定にしたまま、右端に向けて移動させます。この時、途中で動きを止めないこと。場合によっては、3本の指の末節部(指腹)だけをタオルに付けて行なってもいいと思います。上から下に順に下がりながら、左から右に指腹を滑らせます。硬貨はすぐに分かるようになりますので、次の段階では、指先で1円玉、5円玉、50円玉を区別してみましょう。上に被せるタオルの枚数を増やせば、難易度は上がります。練習相手がいる場合は、硬貨を相手に配置してもらって、硬貨がどこにあるかわからない状態で行ないましょう。
  5. 授業中や、先輩先生たちにマッサージをしているとき、これは凝っている(周りの部位と違う)と感じたら、必ず尋ねるようにしましょう。押す方向で感じ方が違いますので、気持ちいいのか、痛すぎるのか、フィードバックをもらうことを徹底してやることが進歩につながります。この辺がプロとアマのマッサージの違いですし、鍼治療の際にもとても重要なポイントです。
近頃は、触診技術の本がたくさん出ていますので、手に取ってみて、自分がわかりやすいと思うものを選んで、実践してみましょう。
実際の解剖図(写真)のイメージと、模式図(描かれたもの)では少し違いがありますので、常に見比べる習慣をつけると一気に深く理解できると思います。