TEAT:組織選択的低周波鍼通電療法の種類については、前回の記事で示した通り、①筋肉パルス、②神経パルス、③皮下パルス、④椎間関節部パルス、⑤反応点パルスに分類しています。

 

現在までに、以下のような整形外科疾患および神経疾患に対するTEATの治療効果について検討されてきました。

  • 緊張型頭痛に対する筋肉パルス
  • 片頭痛に対する反応点パルス
  • 頸腕症候群のうち、軟部組織障害に対する筋肉パルスおよび神経根障害に対する神経パルス
  • 腰部脊柱管狭窄症に対する椎間関節部パルス
  • 筋性腰痛に対する筋肉パルス
  • 根性坐骨神経痛に対する神経パルス
  • 運動後の遅発性筋肉痛に対する筋肉パルス
  • スモン患者の異常知覚・筋緊張・自律神経障害に対する神経パルス・筋肉パルス・反応点パルス

それらの結果から、

  • 筋パルスおよび神経パルスは、筋短縮および筋硬結の軽減、筋内温度の上昇、異常知覚・知覚異常の軽減および変容(感覚内容の耐えやすい方向への変化)が認められました。
  • この治療効果の特徴は、自律神経機能を介して起こることがわかり、特に交感神経機能を抑制することが推論されました。

また、TEATの内臓器疾患および循環器疾患に対する治療効果については、次のようなものがあります。

  • 胃腸神経症
  • 神経因性膀胱
  • 反復性扁桃炎
  • 気管支喘息
  • 本態性高血圧
  • 冷え性
  • 本態性低血圧症など

それらの結果、

臨床的効果が認められ、さらに目的とした自律神経反応が観察されました。

しかし、これら結果はいずれの疾患でも個体差が大きいことがわかりました。

この理由は、①同一疾患において、その病態に違いがあること、②TEAT刺激に対する生体の反応性に相違があることが考えられました。
 

したがって、TEATによる内臓器疾患に対する治療効果の適否を明確にするためには、各疾患における病態研究と、各患者におけるTEAT刺激に対する反応特性の両面からの検討が必要だとされています。

 

また、さらに整形外科疾患・内科疾患のいずれにおいても、TEATの有効性の証明とともに、有用性の検討が不可欠です。

QOL・医療経済・治療に関わる負担などの要因について総合的に判断しなければならないということです。つまり、TEAT以外にもっと効果的、費用対効果が高く、治療負担の軽い方法が無いのか検討が必要です。

 

さらに各疾患のいかなる病態に作用するかを明らかにする必要もあります。

簡単に「ある疾患にTEATが効果的だった」から、その疾患にはTEATを選択するのではなく、その疾患のどのような病態に対して効果的なのかを解明することで、より多くの治療の選択肢を患者さんに与えることができるようになると考えます。