【ビシュヌ・ポカレル署名記事】
警察の人身売買捜査局によると、近年、湾岸諸国での事件が多い。
理由は、いろいろある。
ひとつは、仕事を求める女性たちが、湾岸諸国を目指すということ。
湾岸諸国には、仕事の機会も多く、高い収入が見込まれる、と彼女らは考えている。
しかし、捜査当局のゴータム・ミシュラは「閉じ込められ、売り飛ばされる事件が、増えている。
一方で、被害者が訴えるケースは少ない。」と言う。
お金を支払って無事帰国した後、ここのブローカーが返金すると、それ以上、訴えることもない。
「ブローカーは、できるだけ、お金で解決しようとする。
被害者の方も、お金が戻ってきたんだから、もういい、という気持ちになる。」
自らも、人身売買で痛い目に遭ったことのあるスニタ・ダヌワルも、湾岸での事件の増加を口にする。
曰く「今や、以前のように、ムンバイ、デリー、コルコタだけじゃない。
多くは、湾岸だ。」
とその被害地の変化を語る。
過去4年間の人身売買の被害者841人のうち、789人が女性だ。
そのほとんどは、湾岸諸国へ売り飛ばされたケースで、すでに帰国済みか、救出されている。
これらの事件に関与している容疑者は、合計1257人。
このうち、逮捕されたのは、716人だけ。
残りは、まだ、逃走中である。
湾岸諸国とマレーシアで家事労働者として働くネパール女性は、政府の政策により、住み込みである。
このため、女性の人身売買が増加するのである。
2073年末にネパール議会は、湾岸諸国とマレーシアで家事労働者として働くネパール人女性が、虐待されているとして、これを禁止した。
このとき「安全性が確保されてのみ、ネパール女性が国外の家事労働者として働くことを許可する」とした。
そして、ヨルダンとキプロス以外の国へ、ネパール女性が働きに行くことができなくなった。
「けれども、受入国の需要は高止まりだし、ネパール女性の出稼ぎ続いた。
それどころか、Visit Visa で彼女らを売り飛ばしたり、閉じ込めたりするケースが増加した。」
「家事労働者に関して、ネパール政府と相手国政府の2国間協定があれば、政府が彼女らの状況を把握し、虐待に対して法的措置をとるのも容易だっただろうに。」
スニタ・ダヌワルは、さらに以下のように続ける。
「5年前、インドのデリーにある女性団体が、第3国経由で売り飛ばされる数多くのネパール女性を救出したことがあった。
「数年前には、ミャンマーと国境を接するインドの北東部諸州から湾岸諸国へのネパール女性の人身売買の詳細が明らかになった。
この地域からも、数名のネパール女性が救出された。
さらに、スリランカで窮地に陥っているネパール女性も、少し前に救出されている。」
このような事件について、人身売買捜査局のミシュラも認めている。
「われわれは、彼女らの外国行きを止めることもできていなければ、家事労働者として正式なルートで送ることもできないでいる。
だから、こういう事件が、増加の一途を辿っている。」
過去4年間に警察の人身売買捜査局は、604件の事件について、取調べ中である。