カトマンズ市が、その管轄内にあるすべての学校について、「ネパール的な校名」に改めるように命じた。
カトマンズにある89の公立学校はすべてネパール語名である。
カトマンズで運営されているほとんどの私立学校やキャンパスの名称は、外国由来のものだ。
メロディアン・インターナショナル、ギャラクシー・インターナショナル、コロンブス・インターナショナル、リライヤンス、ケンブリッジ、セント・ザビエル、ジェームズ、テキサスなどなど、英語の名前をつけているところが実に多いのである。
「自分たちが今、どこにいるのか、その場所に自覚的であってほしい。
拠って立つところが自分の国ではないとなると、将来的によろしくない。」
カトマンズ市当局のナビン・マナンダル氏はこのように言う。
経済的にも文化的にも豊かなカトマンズで、今、ネパール的名称への改名キャンペーンを行っているのだ、とやはり市当局のディパック・アディカリ氏。
現バレン市長が当選して以来、この取り組みが一層勢いづいた。
「法律で定められていることを、実施するのが、われわれの役目。」
カトマンズには、今現在、512の学校があるが、そのうち、300校以上が英語の校名だ。
市当局の命令に逆らえば、最悪、学校が閉鎖されることもあるうる、と。
なぜなら、この命令は法律に基づいているからだ。
ネパールの学校や大学には、ネパール的な名前をつけるべきである、という声は、ずっと前からあった。
遅ればせながら、カトマンズ市が動いたのである。
これに対して、教育学者は何とコメントしているか?
「たとえば、学校名をブルックフィールドとかクリントンとかにすると、そこで学んだ子が校名を口にしたら、その子、どこの子?って思うだろう」と教育学者のコイララ氏。
「ブルックフィールドではなくて、カカニって名称にすれば、ネパール国内のどこの土地かってこともわかる。」
「そうすると、子どもらが、自分のアイデンティティーを培うことができる。」
コイララ氏は、ネパール的名称を付けることによる利点を数え上げる。
一方、学校経営者は異なる意見をもっている。
「外国由来の名前と言ってもいろいろある。外国の土地の名前だったり、外国の有名人の名前だったり、単なる英語名だったり。
こういうのを全部一緒くたにするのは、いかがなものか」と、学校経営者のプレム・ライ氏。
昨日今日設立された学校ではなく、伝統ある学校の場合、校名を変更することによる損失は甚大だ。
「大勢の卒業生に卒業証書を発行してしまっている。
卒業して、外国に移住した者も多い。
校名を変更したら、学歴証明の際に、ややこしい問題になる可能性がある。
それに、すでに現在の名前でブランド化している場合は、困ったことになる。」
英語名がダメだというのなら、そもそも最初から、その名前で学校登録をさせなければよかったのに、とも。
カトマンズ市の学校教育規則には、「社会および国家に特筆すべき貢献をしたか、もしくは歴史的な人物の名前、神々や聖地の名称やネパールの自然に由来するネパール的な名前を学校名とすべし」と記載されているのである。
その他に、たとえば、「インターナショナル」と銘打った場合、生徒の3分の1以上が外国人でなければならない、などの記載もある。