[ギンギンに凍ったカレー]
店名:カレー屋 nagafuchi
業種:カレー
住所:東京都港区西新橋3-5-1
営業時間: 11:00~21:00
定休日:日曜、祝日
席数:29席(カウンター7席、テーブル22席)

●申し訳ないカレーです
 ギンギンに凍ったカチカチのカレーライスがあるという。
アイスカレーは夏場にしか提供されておらず、
通常メニューから普段は外されているらしい。
だけど今は冬!! 今は食べれないのか!?
でも、どうしてもアイスカレーなる料理を食べてみたい!!
ネーミングからして微妙すぎる料理ゆえに、少々不安もあるが、
よほどの自信がない限り、アイスカレーなるものを
新橋の一等地で作ろうとは思わないはずだ。
そこで私は、『カレー屋 nagafuchi』に電話をして、
アイスカレーを作ってくれないか直交渉を試みたのだった。

筆者 そちらにアイスカレーがあると聞いたのですが。
店主 あーははは。ありますね。はい。
筆者 今も食べることは可能ですか?
店主 実は現在は作ってないんですよ。夏だけなんですよねー。
筆者 そこをなんとか作っていただけないでしょうか?
店主 うーん、たいしたことないですよ。逆に申し訳ないです。
筆者 申し訳ない?
店主 あまり凄いものではないですからね。ガッカリしちゃうかも。
筆者 いや、アイスカレーというだけで凄いと思います。
店主 申し訳ないカレーですけど、それでもよければ。
筆者 ありがとうございます!!
店主 では、明日以降お越しください。ご用意しておきますので。
筆者 嬉しいです!!

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●ギンギンに凍っています!!
 翌日さっそく『カレー屋 nagafuchi』へと向かった。
私は10分をかけてJR新橋駅からお店まで歩いたのだが、
銀座線の虎ノ門駅から歩けば5分で到着する。
どちらにしても駅からちょっと離れているせいか、
オフィス街であるにもかかわらず、人通りが少ない。
 オシャレな喫茶店風の内装は、落ち着いて食事をするには
ピッタリの雰囲気だ。店舗自体、代官山あたりにあっても
おかしくないほどの、シックなセンスをしている。

 私は、さっそくアイスカレーを
予約した者であることを店主に告げ、窓際のテーブル席に座った。
食事だけでなく、喫茶店としても気軽に使えそうだ。
 注文してから5分もたたないうちにアイスカレーが登場。
温める必要がない分、すぐに完成するのだろうか? 
カチカチに凍ったカレールーがアツアツのライスの上に、
こんもりと乗っている。固まったルーに対して、
ナイフで切るようにスプーンを刺すと、
シャリッというアイス感を感じることができた。
た、確かにこのカレーは凍っているのだ!!

 一口大にしたルーとご飯をスプーンに乗せ、口の中に運ぶ……!!
こ、これは初めての食感だ!!
冷たいカレーが喉の奥から後頭部にかけて、
冷たい刺激を走らせる!! それど同時に、カレーのうまみが舌の上で
どんどん解凍されてとろけていくではないかーッ!! 
まさに、1万年ぶりに溶け出した南極の氷のようである(意味不明)!! 
冷たいと舌が麻痺をして味を感じなくさせてしまうものだが、
ライスがキッチリとアツアツなので、味覚は十分保たれる!! 
こんな計算された素晴らしいカレーがこの世にあっただろうか!?
素晴らしい!!

筆者  とんでもなく美味しいです!!
店主  ありがとうございます♪
筆者  どうやって作っているんですか?
店主  普段は、ドライカレーのルーなんですよ。それを凍らせたのです。
筆者  普通にドライカレーとして売っているカレーをですか?
店主  そうです。でも、寒くないですか?
筆者  大丈夫です。あー、凄く美味しい!! こんなの初めてですよ!!
店主  そうですか。それは良かった♪

 市販のカレールーの場合だと、凍らせても脂成分が多い影響で脂っこく、
とてもじゃないが食べられるものにはならない。
しかし、『カレー屋 nagafuchi』が改良して作った
ドライカレーのルーの場合は、脂が少ないせいか、
凍らせてもスッキリとした味わいあるカレーとして成立するのだろう。
スパイスが豊富に含まれているのも、
凍らせても美味しいポイントかもしれない。


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●マスターの真心
 アイスカレーには、付け合わせとしてキャベツの
コルースローが乗っていた。しかし夏場に提供しているときは、
コルースローではなくドライフルーツを乗せているという。
 興奮しながらもアイスカレーを半分くらい食べ終わった後、
店主がカレーの入ったお皿を持ってきた。

店主 これが、ドライカレーのルーです。
筆者 へぇー!! とてもサラサラしているんですね。
店主 食べて冷えたのではないですか? お召し上がりください。
筆者 いいのですか? ありがとうございます!!
店主 いえいえ。アイスカレーは冷たいですからね。
筆者 これも凄く美味しいです!!
店主 それは良かった♪

 確かに、アイスカレーは邪道かもしれないし、
亜流かもしれない。しかし、それでも美味しいのだから
存在は認めなくてはならない。
そして、そこには店主の並ならぬ
努力があることも忘れてはならない。


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