この図版ですが、
なにがおかしいって、普通はこういう風に「蹄底の構造」が丸見えってあり得ない事だから。
これは野生鹿の蹄底(偶蹄類か奇蹄類かってだけで、蹄の構造自体は変わらない)。重要なのは蹄縁で、特に注目すべきなのは、白線が見えない事。
で、最近かなり治療が進行して蹄病治癒まであともう少し、になっている自馬の蹄底。
青丸の部分は、蹄底を構成している部分が蹄縁に達していて、白線等が消えている。これが正常だと思われる。赤丸部分は、未だ蹄病に罹患していて、白線部分が白癬菌に食われている箇所。こうなると、蹄底の構成部分が蹄縁に達することができないままになってしまう。
要はね、最初の図版って、「削蹄した蹄」を現しているんです。わざわざ、蹄を削って、病気になりやすくしちゃってるんだ。
白線部は、蹄構造の中で一番弱い箇所。それをむき出しにした状態である筈がないのに。病原菌は、弱い部分から感染する。だから、蟻道が起きる。
あと、更に分かってきたことなんだけど。削蹄しないでいると、蹄底は段々分厚くなり、強くなってきます。育つ方向はこんな感じ。

蹄底は、こんな感じで蹄叉から蹄縁に向かって伸びてゆく。
この蹄は、やたら蹄叉が大きいが、これは蹄底が脆弱になってたのを代償するためなので、これを削る必要性もないし、削ったら却ってまずいことになる。削蹄師なら、即削るでしょうね。「理想の形態」じゃないから。けど、問題は「形が理想かどうか」じゃなくて、「形がおかしい→その理由を探って、理由を潰すこと」ですから。
でね、削蹄だの装蹄するときに、やたら蹄底を削りたがる人多いけど、なぜですか?体重不可に耐えられなくなるようにしてるだけじゃないですか?意味のない仕事をするな、と言いたいのよ。
削蹄は害悪、特にヤスリは害悪でしかないと断定できるんだけども、その理由。
- 削ったって、蹄変形の原因は駆逐されない。
- 削ることにより、蹄の強度が減る。それが蹄の変形を引き起こす。悪循環。
- 削る時に、蹄に細かい傷がつきまくる。その部分に病原菌がめり込むことで、蹄疾患が発症する。
- 特に、ヤスリは、病原体をわざわざ蹄に刷り込んでいる。
- 蹄底部を削ってしまうことで、蹄底の張力が減少し、その結果、蹄がしぼんでしまって、体重付加とのバランスが悪くなる。装蹄でごまかしたって、結局長期的には腱等にトラブルが起こる結果になる。脚なんか冷やしたって全然意味ありません。
これはね、結局「削蹄道具を全然消毒していない」という、衛生管理の不備が大きい。蟻道が起こるのは、100%ヤスリ掛けのせいといえる。
装蹄師も、削蹄師も、獣医も、野生馬の蹄を調べてないでしょ。調べたって「野生だから」で思考停止してるじゃん。バッカじゃないか!!!