【号外第29弾】2016年4月にドンバス戦争に反対し、その後ゼレンスキー政権によって拉致され、行方不明のウクライナ左翼連合のヴァシリイ・ヴォルガ氏はネオナチ部隊のアゾフ隊などに襲撃されていた! 「ウクライナには戦争が必要で、ヴォルガのような(戦争に反対する平和主義の)政治家はいらない」! 日本を含む西側のメディアを利用し、今は「自分たちはネオナチではない」などと弁明の宣伝をしているアゾフ隊は、若いウクライナ人を戦争に送り込むことで莫大な利益を得ていた!
ウクライナで実際に弾圧に遭っている人々の生の声を聞くことで、ウクライナ社会の抱える大きな問題の実相を明らかにするシリーズの第2弾(前編)(中編)(後編)で、ご紹介した、ウクライナ左翼連合のヴァシリイ・ヴォルガ氏は、2016年に極右民族主義者のネオナチ、アゾフ隊に襲撃されていました。
現在、ゼレンスキー政権に拉致され、行方不明のヴォルガ氏は、その予兆のように、2016年4月にアゾフ隊の襲撃を受けていました。この事件の真相を、ジャーナリスト・社会学者のハリナ・モクルーシナ氏が2016年の時点でCOUNTERPUNCHに「右派過激派に襲撃されたウクライナの左翼、反戦の声」というタイトルで寄稿しています。
以下がその全文仮訳です。
※Left-wing, Antiwar Voice in Ukraine Assaulted by Rightist Extremists(COUNTERPUNCH、2016年4月26日)
「(2016年)4月22日、ウクライナ左翼連合(Союз Лiвих Сил)のリーダー、ヴァシリイ・ヴォルガは、ウクライナ南部のザポリージアで、アゾフ大隊と、シラ・ナチイ(民族の力)、の「活動家」(極右民族主義者)に襲撃された。
ヴォルガと彼の同僚たちは、ウクライナでの戦争(ドンバス戦争のこと)の停止、平和の回復、ドンバスのウクライナへの統合を目指す彼らの党のプログラムを発表するためにザポリージアに来たのである。
ヴォルガたちは、記者会見を行うためにザポリージャの建物に向かっていた。襲撃後のチャンネル112テレビのインタビュー(※訳注1)で、ヴォルガは112の記者に、襲撃犯と話をしようとしたが、彼らはウクライナには戦争が必要で、ヴォルガのような政治家はいらないと答えたと語った。この暴漢の一人が、ヴォルガを背後から襲った。ヴォルガと彼の同僚は、ザポリージャの地元警察のおかげで逃げることができた」
※訳注1)現在、このインタビューが掲載されたサイトにはアクセスできない。ウクライナは、ゼレンスキー政権のもとで、極端なまでに言論統制を強めている。
「ヴォルガへのインタビューに先立ち、チャンネル112はこの襲撃事件に関するレポートを放送した。亡命中のウクライナ人ジャーナリスト、アナトリー・シャリー氏は、この報道を分析し、112の司会記者がヴォルガへの襲撃を『事件』と呼んだことに言及した。
彼女は、112が本当に攻撃が行われたかどうかを調べようとしている、と述べた。彼女がその言葉を発したとき、背景の映像は明らかに攻撃を示していた。
さらに、112の司会者は『活動家(極右の凶悪犯のこと)がヴォルガを名誉毀損で提訴するかどうかを調べたい』と言うのだ。彼女は、この攻撃は、実際、民主主義の現れなのかどうか、考えている。
もちろん、ウクライナの民主主義のことだ。キエフの現政権に同意しない人々は、投獄され、身体的に攻撃され、あるいはジャーナリストのオレフ・ブジナ(※訳注2)のように殺され、沈黙を強いられる」
※訳注2)著名なジャーナリスト、オレフ・ブジナ氏は、2015年4月16日、首都キエフ(キーウ)で覆面姿の男2人が乗った車から銃撃され、頭などに3発の銃弾を受けて死亡した。ブジナ氏は地元紙「セボードニャ」の編集長を務めた。
その前日の4月15日には、(親露派でユーロマイダン・クーデターによって政権が倒され、亡命している)ヤヌコヴィッチ元大統領の「地域党」の元国会議員で、(親欧米派で、ユーロマイダン・クーデターによってヤヌコヴィッチ政権が転覆させられたあと、第5代の大統領となった)ポロシェンコ政権(当時)に批判的だった政治家のオレフ・カラシニコフ氏が、キエフ(キーウ)の自宅前で銃弾を受けて死亡している。
さらに、2015年3月には「地域党」の元議員で南部ザポロージャ州元知事のペクルシェンコ氏が銃弾を受けて死亡したほか、地域党の別の元議員2人も自殺するなど、(親露政権関係者や、クーデター後の親欧米派)政権に批判的な政治家やジャーナリストの殺害や自殺が相次いでいた。
「意見の自由は潰されている。ヴァシリイ・ヴォルガは、ザポリージャで彼を襲撃した極右過激派の操り人形師たちは、彼に『分離主義者』のレッテルを貼って信用を落とそうとしている、と述べた。これらの操り人形師は、若いウクライナ人を戦争に送り込むことで莫大な利益を得ている」
以下も、ハリナ・モクルーシナ氏による記事の続きです。
「ヴァシリイ・ヴォルガが率いる左翼連合は2008年に設立された。ウクライナの中立的地位、ロシアとの緊密な関係の回復、ロシアと欧州連合を含む安全保障と協力の共通空間(大西洋から太平洋の千島列島まで)の創設を提唱している。
国内政策では、経済の社会化、政治権力の分散化、文化政策の定義においてウクライナの地域に自治権を与える『ソフト』連邦化、ウクライナの第二公用語としてのロシア語の導入、地域言語および少数言語に関する欧州憲章の実施という考えを擁護している。
左翼連合は、ウクライナを経済の奈落の底と軋轢の内戦に追い込んだ民族主義的なオリガルヒ政治と戦うウクライナの勇気ある声の1つである」
以上が、ジャーナリストのハリナ・モクルーシナ氏による「右派過激派に襲撃されたウクライナの左翼、反戦の声」の全文仮訳となります。
一読してわかるのは、ヴァシリイ・ヴォルガ氏の左翼連合の主張が、「経済の社会化、政治権力の分散化、文化政策の定義においてウクライナの地域に自治権を与える『ソフト』連邦化、ウクライナの第二公用語としてのロシア語の導入、地域言語および少数言語に関する欧州憲章の実施」など、非常にまともであるという点です。
そもそも、なぜ、これほど、まっとうな考え方を持ち平和主義者のヴァシリイ・ヴォルガ氏が、アゾフ隊のようなネオナチ集団に襲撃されなければならなかったのでしょう 重要なことは、2014年のユーロマイダンクーデター以降の親欧州派政権のもとでのウクライナでは、ドンバスでの戦いに反対する平和主義者は、平和主義者であるがゆえに、極右のアゾフ隊に襲撃されていたという事実です。
襲撃の理由は、「ウクライナには戦争が必要で、ヴォルガのような政治家はいらない」からだというものです。
アゾフ隊自身による驚くべき証言です。
2014年から現在も進行中の東部ドンバス紛争、そしてロシアがドンバスのロシア語話者らの「自治」と「自衛」を守るために「最終最後の最悪の手段」として踏み切ったウクライナ侵攻、そしてウクライナ紛争が「民主主義対独裁主義」の戦いであるというのは、真っ赤な嘘です。
ヴァシリイ・ヴォルガ氏の証言と襲撃の事実、さらに、ロシア侵攻後の拉致の事実を見れば、ウクライナ社会において、遅くとも、2004年のオレンジ革命以降、汚職と国不動産の収奪で巨万の富を築いたウクライナのオリガルヒによって民主主義を放棄させられ、ネオナチであり同時にウクライナ民族主義者でもあるアゾフ隊らを利用して、ためらいのない暴力による独裁体制を築き、同時に、国内のロシア語話者に対する、民族浄化ともいうべき激しい差別と弾圧を開始していったと言えるのです。
※ウクライナで弾圧されている人々の生の声(2)前編~ウクライナ左翼連合リーダー、ヴァシリイ・ヴォルガインタビュー! 「『あなたはわかっていない。これは強力なイデオロギー闘争の始まりなのです』」! 「血の流れない国家はない」!(日刊IWJガイド、2022年5月12日)
https://iwj.co.jp/wj/member.old/nikkan-20220512#idx-6
※<スクープ!>2004年のオレンジ革命から米国はウクライナの権力監視団体や人権団体に対して100万ドル(約1億3000万円)で親欧米の野党候補ヴィクトル・ユシチェンコを支持するよう買収工作をしていた! ウクライナで弾圧されている人々の生の声(2)中編~ウクライナ左翼連合リーダー、ヴァシリイ・ヴォルガインタビュー! 「100万ドルの賄賂の申し出を受けたのは初めてでした」! オレンジ革命のジャンヌ・ダルクの正体!! 「彼女(ユリア・ティモシェンコ)は金のためなら誰でも殺します」!(日刊IWJガイド、2022年5月14日)
https://iwj.co.jp/wj/member.old/nikkan-20220514#idx-5
※ウクライナで弾圧されている人々の生の声(2)後編~ウクライナ左翼連合リーダー、ヴァシリイ・ヴォルガインタビュー!「ウクライナの権力者は、クリミアを疎外するためにできる限りのことをした。ロシア語による放送の停止、ロシア語の高等教育の停止などだ」「(ロシア語話者の多い)ドネツクとルガンスクを有刺鉄線で囲い原爆で破壊すべきだ」と親欧米派のユリヤ・ティモシェンコ・ウクライナ元首相はユーロマイダンで公言していた。
https://iwj.co.jp/wj/member.old/nikkan-20220518#idx-5
この記事の中でも、ハリナ・モクルーシナ氏は、「キエフの現政権に同意しない人々は、投獄され、身体的に攻撃され、あるいはジャーナリストのオレフ・ブジナのように殺され、沈黙を強いられる。意見の自由は潰されている」と、ウクライナ社会が2016年時点においても明確に独裁社会になっていたことに言及しています。
少し調べただけでも、ハリナ・モクルーシナ氏のこの言葉を裏づける事実が出てきます。2015年3月から4月にかけて、当時のポロシェンコ政権に批判的だったジャーナリストや政治家が軒並み殺害され、あるいは自殺という形で葬られているのです(※訳注2参照)。
アゾフ隊は、2014年以降、国軍に統合され、ネオナチではなくなり祖国のために戦っている愛国者の部隊となった、というのは大嘘のプロパガンダです。ドンバス戦争から莫大な利益を得ていたからこそ、戦争に反対する政治家が邪魔で襲撃を繰り返していたのです。彼らは右翼テロリストです。
アゾフ隊と左翼連合のどちらが、国のことを本当に考えていたかは一目瞭然でしょう。
社会学者でもあるハリナ・モクルーシナ氏は、ウクライナの政治の本質を「民族主義的なオリガルヒ体制」(the nationalistic oligarchic regime)と呼んでいます。
極右とオリガルヒが手を結んで、国有財産や共同事業を私物化し、国家を乗っ取っているという体制です。
ハリナ・モクルーシナ氏は、この体制を、クレプトクラシー(泥棒)体制(kleptocratic regime)とも呼び、「例外なくすべての大統領が、この包括的で熱烈で全面的な窃盗に関与した」と断言しています(ウクライナで弾圧されている人々の生の声(2)中編)。
日本のマスメディアが、検証なしに、ウクライナの情報やアゾフ隊のプロパガンダをそのまま流すということは、暴力的な独裁国家のプロパガンダの拡散に加担しているのと同じことです。
ロシアから流される情報の検証が必要なように、ウクライナから流される情報の検証も当然必要です。日本のマスメディアは、その当然の検証を怠っています。これは決して許されない政治的偏向です!
■IWJの活動には市民の皆さまのご寄付・カンパが欠かせません! しかし今月5月は月半ば過ぎた現在31%とまだ3割です! 昨年8月から4月末までの、第12期の9か月間にわたる累積の不足金額309万5534円を、5月の未達成分ちょうど278万円とあわせると587万5534円、IWJの財政はまだピンチです! 5月末までに必要となります! 5月も、ぜひ、マスメディアとの一線を画し、ウクライナ報道で孤軍奮闘するIWJの活動をご寄付・カンパでご支援ください!
おはようございます。IWJ代表の岩上安身です。
IWJでは、今期第12期の年間の予算を立てる上での見通しとして、代表である私、岩上安身への報酬をゼロにすることを筆頭に、支出をぎりぎりまでにしぼった上で、IWJの運営上、1カ月の間に必要なご寄付・カンパの目標額を月額400万円と見積もらせてもらっています。
昨年8月から始まったIWJの今期第12期は、5月で10か月目に入りました。
今期スタートの8月1日から4月30日までの9か月間の累計の不足分は、309万5534円となっています。
5月は1日から18日までの18日間で、90件、122万4455円、目標額の31%分に相当するご寄付・カンパをいただきました。ありがとうございます! とはいえ、5月半ば過ぎて月間目標の約3割で、IWJの財政は、今月すでにピンチとなりつつあります!!
4月末までの不足分309万5534円に、5月の未達成分284万7545円を足し合わせると、5月末までに594万3079円が必要となります! 今月5月を含めて、7月末に迎える今期末までの残り3か月で赤字を削って、不足分をゼロにできるかどうか、どうか皆さまのお力で、ご支援ください!
IWJの会員数は現在3241人です。そのうちサポート会員は1108人です(2022年4月30日現在)。本当に心苦しいお願いではありますが、会員の皆さま全員が1834円ずつカンパしてくださるか、サポート会員の皆さまが全員1人5364円ずつカンパしてくださったならば、なんとかこの赤字は埋められます!
伏してお願いいたします! どうか皆さまのお力で、この窮状をお助け願います!
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岩上安身拝