欧州委員会委員長

透明性
欧州理事会での条件を満たした多数で候補者を出してきたが、欧州議会が関与したり、欧州連合の政策方針が単一市場の創設から欧州連合の改革に変わってきたりしたことから、委員長候補の選定は大きな政治問題となってきた[16]。しかしながらこのような状況になってきたにも拘らず、欧州理事会の議論は専ら密室で行なわれている。ジャック・サンテールの指名においてはその議論が非公式に行なわれ、メディアは漏れ伝わる情報に頼ることとなった。このような選考過程は新たな基本条約で導入された協議の理念に反するとして、欧州議会の議員が不満を示した。

社会主義グループ代表のポーリン・グリーンは「欧州議会は民主的なプロセスを傷つける行動の看過を認めてはならない」とする会派の考え方を明らかにした[17]。1999年と2004年の選任においても同様の状況が起こり、バローゾの指名においては協議のプレスリリースを出すこともなく、各首脳の間での非公開の会合が行なわれた[18]。これについても欧州議会議員から批判され、欧州自由民主同盟代表のグラハム・ワトソンはバローゾの指名過程を「ユストゥス・リプシウスでの絨毯市」と表現し、「最小公倍数」しか生まないとした。また欧州緑グループ・欧州自由連盟共同代表のダニエル・コーン=ベンディットは欧州議会でのバローゾの演説の後に、バローゾに対して「あなたが最良の候補者であるならば、なぜあなたは最初に演説しなかったのか」と尋ねた[19][20]。

https://ja.wikipedia.org/wiki/欧州委員会委員長#透明性

 

2021年6月 5日 (土)

EUの従僕連中をスパイするアメリカ

Finian Cunningham
2021年5月31日
スプートニク・ニュース

 ヨーロッパとアメリカの同盟を再結集するジョー・バイデンの試みは、ヨーロッパ指導者に対するアメリカのスパイ行為に関するメディア報道で鼻先にパンチをくっている。
 バイデン大統領は、いわゆる同盟諸国との二つの大規模サミットのため、来週ヨーロッパを訪問することになっている。それは大統領になって以来、ヨーロッパ指導者との、初めての、さしでの会談だ。だがアメリカが、欧州連合幹部政治家同士の私的会話を盗聴していたことが最近ばれたことからすれば、居心地の悪いものになるだろう。

 しかも、このスキャンダルに、バイデンは直接関連しているのだ。最近メディアが、デンマークの諜報機関が他のヨーロッパ政府の電話と電子メールに不法アクセスするため、アメリカ国家安全保障局と共謀していたと報じた。これはバイデンが副大統領だった前オバマ政権の間だと言われた。ワシントンは止めたと主張しているが、不正監視が止まったと信じる理由などない。

 アメリカ諜報機関による同じようなヨーロッパ指導者のスパイ行為を、アメリカ人内部告発者エドワード・スノーデンが暴露していたので、最新の報道は、その信憑性を高めた。当時のスノーデンの実に衝撃的な暴露には、オバマ政権が、ドイツのアンゲラ・メルケル首相のスパイに関与しているというものがあった。

 もちろん、そもそも、彼は、このスキャンダルに深く関係していたのだから、間もなくヨーロッパを訪問する際、バイデンが、これについて答える準備は万端だ。

デンマークのみならず、宗主国からも、完全な情報開示が必要だ。https://t.co/TJL7gr6dy8

- エドワード・スノーデン(@Snowden) 2021年5月30日

 今、ドイツ、フランス、ノルウェー、スウェーデンや確実に他の国々を含め、ヨーロッパ指導者をスパイするため、アメリカがデンマークと協力していたことが表面化している。これは決して新しくない。イギリス諜報機関GCHQ政府通信本部は、長らく、ヨーロッパに対するアメリカの目と耳の役を果たしていることが知られていた。

 このスキャンダルを巡るEU諸国政府の恥ずかしい沈黙で分かるように、それは、全く卑屈なほど恥ずかしい。2013年にメルケルに対するアメリカのスパイ行為が報じられた時と同様、哀れなヨーロッパの対応だ:アメリカによる法外な違反の無言な受容。

 これが、いかなる曖昧な言葉も越えて、明らかに示しているのは、ヨーロッパ諸国政府は、ワシントン支配下の売国奴で家臣だということだ。彼らは、その言葉が同等の相互提携を暗示するような「同盟諸国」ではない。彼らは、自身を裏切るアメリカ権力の惨めな従僕なのだ。裏切りについて話そう。

 これが、なぜロシアや中国と、ヨーロッパとの関係が、それほど悪化しているのか説明する。現在のEU政府下で、モスクワや北京が、ヨーロッパとの生産的な関係を持つのは事実上不可能だ。それには欧州連合が、ささやかな独立と自治を持つことが必要だ。だが、実際のところ、ヨーロッパはワシントンの絶対命令下の属国に過ぎない。だから、アメリカのロシアと中国に対し新しくよみがえった冷戦敵意が、ヨーロッパ・ブロックに、疑いなく反映されている。ヨーロッパは、アメリカ帝国の衛星国以外何ものでもないのだから。

 そのため、ロシアと中国が関係を良くするようヨーロッパに嘆願し、政治エネルギーを浪費することになっている。多分将来いつの日か関係は進歩するだろうが、それはEUが、本当にアメリカ覇権から独立をした時だろう。そして、それには、ヨーロッパ政治の現状が、民衆反乱によって刷新される必要かあるだろう。

 最終審判の日は、とっくに期限を過ぎている。ヨーロッパの人々は、ヨーロッパ従僕指導者によるワシントンに対する絶えざる迎合に、うんざりしている。ワシントンの果てしない犯罪戦争は、EUに甘やかされて、促進されている。ロシア、中国、イラン、シリア、ベネズエラや、他のいかなる独立国家に対するアメリカの無謀な侵略も、ヨーロッパの意気地ない政治家が支持し、ほう助する。それにも拘わらず、アメリカとEU政府は、ロシアと中国を、ハッキンクや他の有害な行為で非難するずぶとさと持っている。

 ところが、アメリカ帝国主義への盲従にもかかわらず、アメリカの支配者は、ヨーロッパのおべっか使いを信頼できないのだ。自分の奴隷さえ信じない被害妄想専制君主の兆しだ。ヨーロッパ政府をスパイするのは、実際、彼らに対するワシントンの絶対の軽蔑を示している。「共通の価値観」「同盟国」「ヨーロッパとアメリカの同盟」「ルールに基づく国際秩序」などに関するあらゆる言説は身勝手な陳腐な決まり文句に見える。

 バイデンがホワイトハウスに据えられた際、彼の最優先事項は、トランプ下の混沌とした政策の年月後、ヨーロッパを適切な属国状態に復活させることだった。その復活は、全てロシアと中国に対するアメリカの敵意でEUを連携させることが目的としている。バイデンとアントニー・ブリンケン国務長官は、アメリカの「同盟諸国」が、いかに重要か繰り返している。それが本当に意味するのは、世界中でのアメリカ侵略を容易にする上で、ヨーロッパの従属が、どれほど重要かということだ。

 最近のスパイ活動スキャンダルに、何らかの恩恵があるとすれば、それはヨーロッパを囲い込むバイデンの策略が阻止されることかも知れない。大統領が専用機のタラップを駆け上がり、ばったりと、つまずいたのに相当する。

 Finian Cunninghamは、国際問題について多く書いており、記事は複数言語で刊行されている。彼は農芸化学修士で、ジャーナリズムに進むまで、イギリス、ケンブリッジの英国王立化学協会の科学編集者として勤務した。彼は音楽家で作詞作曲家でもある。20年近く、ミラーやアイリッシュ・タイムズやインデペンデント等の大手マスコミ企業で、編集者、著者として働いた。ジャーナリズムにおける妥協しない誠実さに対するセレナ・シム賞を二度受賞(2020年12月)。

 本記事で表現される見解や意見は、必ずしもSputnikのものではない。

記事原文のurl:https://sputniknews.com/columnists/202105311083042646-us-spying-on-eu-lackeys/

 

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