1月22日に、Panasonic NPOサポートファンドの2015年度贈呈式が行われました。
このファンドは、「社会課題の解決促進に向けて、国内で先進的な取り組みを展開するNPOや、新興国・途上国で活動するNGOが、第三者の多様で客観的な視点を取り入れて実施する組織基盤強化の取り組みを応援」することを目的に設立され、「子ども分野」、「環境分野」、「アフリカ分野」の3つの分野で助成を行っています。私は、その中で「アフリカ分野」の審査委員を2010年の設立以来担当しています。

NPO向けの助成は、その団体が行っている事業が対象となるものが大半ですが、このサポートファンドは団体の組織強化のための支援を行うというところに特徴があります。特に私が選考委員長を務めている「アフリカ分野」では、広報能力の強化に特化している点が大変ユニークです。


(リボーン京都の小玉理事長とパナソニックの竹安役員)

「アフリカ分野」の今回の受賞団体は、コモンニジェール、TICO、日本国際民間協力会(NICCO)、日本紛争予防センター、リボーン・京都、ムワンガザ・ファンデーションの6団体で、各NGOはニジェール、ザンビア、ケニヤ、ルワンダ、タンザニアで様々な支援活動を行っています。詳しくは、こちらをご覧ください。

アフリカには50以上の国があり10億人以上の多様な人々が暮らしています。近年、豊富な地下資源や急激な人口増加による労働力によって、経済成長を遂げている国がいくつも見られます。とはいえ、そういった国の中ではその利益を享受している一部の富裕層と大多数の貧しい人々との格差はむしろ開いていますし、さらに資源を持っている国と持っていない国との差も拡大傾向にあります。それに追い打ちをかけているのが、民族や宗教を背景とした紛争や対立であり、ソマリア、スーダン、コンゴなど多くの難民を出している国があります。さらに、昨年から西アフリカでエボラ出血熱の大流行が世界的に注目されましたが、これも保健医療体制の脆弱性がその背景にあります。

このように、アフリカ諸国にはまだ様々な課題が山積みとなっており、日本を含めた先進国からの支援は不可欠です。それに対して、先進国の側では経済不況や援助疲れから十分な支援が行われているとは言えません。日本人にとってアフリカは、遠い国という印象が強くてアジアに比べて関心が薄く、さらに紛争やエボラ出血熱といったマイナスのイメージが強いように思います。
前記の通り、アフリカで支援を行っている日本のNGOは多数あり、それらNGOの活動を通じて、アフリカの多様性や豊かさを日本の人々に伝えることに、このサポートファンドは貢献しています。広報能力強化の一環として、授賞式の後には選考委員の一人である博報堂PR戦略局の加藤昌治部長による「戦略的な広報活動とPDCAサイクルのまわし方」というテーマの勉強会も開催されました。
今回助成を受けたNGOは、これから1年間それぞれの団体が計画した広報能力強化事業を実施していくわけですが、効果的な広報によって団体の社会的な認知度が上がり、会員や寄付の拡大につながることを期待しています。