8月30日に行われた東京都・杉並区合同総合防災訓練に参加しました。
この防災訓練は、東京湾北部地震(マグネチュード7.3)が発生したことを想定して、杉並区の4つの会場で「震災時における都、区、各防災機関との連携の強化及び自助・共助に基づく地域防災力の向上を図るため」に行われたものです。

私がこの訓練に参加したのは、「東京都災害ボランティアセンター アクションプラン推進会議(以下「推進会議」)」の一員としてでした。
東京で将来起こることが懸念されている大規模な地震に備えて、災害時に設置される「東京都災害ボランティアセンター」の運営等に関して、2014年に検討委員会が設置されました。委員会は NPO・NGO、社会福祉協議会、生活協同組合、青年会議所、区市町村行政など幅広いメンバーで構成されており、JANICもそのメンバーです。
検討委員会では、①被災者支援ネットワーク・連絡調整に関すること、②災害ボランティアセンター設置・運営支援に関すること、③被災情報・支援情報の収集と発信に関すること、④人材育成に関することの4つの分科会を設置して議論が行われ、2014年4月から2019年3月の5ヵ年の中期計画(アクションプラン)が作成されました。このアクションプランを具体的に推進していくための組織が、推進会議です。

推進会議の訓練は、3つの訓練会場に先遣隊が分かれて出かけて行って情報収集を行い、それを飯田橋の本部に送り、本部では集まった情報を分析し対応を検討するというものです。私が割り振れたのは高円寺の馬橋小学校の訓練会場で、8時半に着くと既にテントや倒壊家屋の模型などが設置され、訓練に参加する周辺の住民も集まってきていました。



9時に開始された訓練は、消火訓練、地震体験車、倒壊家屋からの救出訓練などを、地元の消防団や地元の住民組織、東京都消防局の職員の指導の下、住民が参加して行われました。
私たち、推進会議のメンバーは、この訓練を実際に震災が起きて住民が避難しているという想定のもと、必要な情報を収集し、飯田橋の東京ボランティア・市民活動センターの本部に送る役割です。



例えば、会場に集まっている人々をざっと見渡して「約300人の住民が避難している。被災者は高齢者が多く子どもは少ない。」と本部に連絡します。また、模擬消火器による消火訓練を見て「住民と消防団が協力して初期消火に当たっている」とか、倒壊家屋からの救出訓練を見て「住民が倒壊家屋から逃げ遅れた住民を救出中」と報告します。小学校の体育館には段ボールで仕切った避難所が設置されていましたが、段ボールは10区画しかなく「被災者の数に比べて避難所の設備が足りていないようだが、馬橋小学校の備蓄倉庫から搬入される見込み」となります。
書類上でシュミレーションする図上訓練と違って、実際に大勢の住民や支援者がいて訓練をしている様子を被災地に読み替える今回の訓練の方が、リアリティがあります。



JANICでは、「東京都災害ボランティアセンター アクションプラン推進会議」の他に、社会福祉協議会や共同募金が中心となって災害時に支援者を派遣する「災害ボランティア支援プロジェクト会議(支援P)」やアメリカのNVOAD(National Voluntary Organizations Active in Disaster)を参考に検討されている「広域災害連携調整機関(JVOAD)」構想など、国内の防災ネットワークに参加しています。
また、NGOの防災・災害対応能力の強化のために、人道&緊急支援の国際基準トレーニングや不測事態対応計画(Contingency Plan)に関する研修事業に取り組んでいます。また、JICAと連携して、NGOがJICAの防災関連研修に参加できるように働きかけたり、災害専門家の人材登録システム構築に協力しています。
これらの取組みを通して、将来起こりうる大規模災害に備えていきます。