7月7日に、NGO-労働組合国際協働フォーラム(以下協働フォーラム)の10周年記念シンポジウムが、ホテル〇〇でありました。

協働フォーラムは、MDGsが掲げる世界の貧困問題の解消などのために、NGOと労働組合が協働で取り組むことを目的に1994年に設立されました。シンポジウムでは、冒頭に協働フォーラム設立の立役者であるACC21の伊藤道雄代表(当時のJANIC常任理事)のスピーチと中嶋滋国際労働組合総連合(ITUC)ミャンマー事務所長(当時の連合国際局総合局長)のビデオレターで始まり、その後MDGs/ポストMDGsの現状に関する近藤哲生国連開発計画(UNDP)駐日代表の基調講演と続きました。

プログラムのメインは、3つのグループ活動報告でした。
協働フォーラムの日常的な活動としては、NGOと労働組合が共通のテーマで啓発活動などを行う「グループ活動」です。現在は、「児童労働グループ」「HI/エイズ等感染症グループ」「母子保健グループ」の3つが活動しています。このうち、児童労働とHIV/エイズは、協働フォーラム設立当初から継続しているグループで、私はシェア=国際保健協力市民の会の事務局長としてHIV/AIDSグループの設立からシェアを辞めた2010年3月まで参加していました。


(HIV/エイズグループの報告)

そのHIV/AIDSグループの活動報告では、組合員や一般市民を対象としたHIV/AIDSの理解促進のためのワークショップやメーデー中央大会におけるレッドリボンモニュメント作成イベント、エイズ写真展やエイズシンポジウムなどを映像を交えて紹介していました。


(「RED CARD TO CHILD LABOUR」)

児童労働グループは、世界中で児童労働に従事せざるを得ない子どもたちの存在を知ってもらうために毎年工夫を凝らしたキャンペーンを実施していますが、ブラジル・ワールドカップ開催中の今年は、「児童労働にレッドカード」というイベントを行っています。会場でも配布されたキャンペーンパンフレットの裏側の「RED CARD TO CHILD LABOUR」と書かれたレッドカードを、シンポジウム参加者全員で掲げて、児童労働反対をアピールしました。


(児童労働にレッドカード!)

母子保健グループは、活動の一環として、妊婦の大変さを体験できる装具をグループの男性メンバーが着用して登場し、母子保健活動の重要性を訴えていました。この妊娠体験装具は会場のNGOブースでも体験でき、シンポジウム終了後のレセプションの際に私も実際につけてみました。10kgの装具はずっしりと重く、床に落ちたハンカチを拾うのにも一苦労でした。次代を担う子どもたちを生み出すための女性の大変さについて、一瞬ではありましたが、身体で知ることができたのは貴重な体験でした。


(妊娠体験装具を付けて、赤ちゃんの重みを体感)

シンポジウムでは、NGO側事務局のJANIC富野次長と労組側事務局の連合国際局大久保局長から、協働フォーラムの今後の方針が発表されました。
これは、10周年を前にして2012年に私がNGO側担当としてまとめた「協働フォーラムの在り方検討」で提示した方向性です。

①テーマを絞った提言活動の活性化(MDGs/ポストMDGs、人権、防災など)
②NGOと労働組合との出会いの場の提供
③既存グループ(児童労働G、母子保健G、HIV/AIDS等感染症G)を中心とした課題別グループ活動の活性化
④マルチセクター連携の視点を取り入れた活動
⑤参加メンバー拡大に向けた広報力強化

他セクターとの連携はJANICの活動の柱の一つであり、労働組合は企業と並んでその中核です。平和で公正な社会を目指すという意味では、NGOも労働組合も基本姿勢はいっしょです。次の10年間をめざして、NGOと労働組合との協働がさらに深まっていくことを期待したいと思います。