3月18日の朝、参議院議員会館内で「国際協力(ポストMDGsと防災)に関する国会議員勉強会」を開催しました。勉強会には、国会議員13名、議員秘書11名、外務省2名、NGOスタッフ29名、オブザーバー4名(内閣府、JICA、UNDP、日本財団)が参加し、活発な議論が行われました。

勉強会は、呼びかけ人代表の山田俊男・参議院議員と城内実・衆議院議員の挨拶からはじまり、外務省・地球規模課題審議官組織の南博審議官がポスト2015開発課題に関する議論の状況と見通しに関して報告し、続いてJANICの大橋理事長(2015防災世界会議日本CSOネットワーク代表)より来年3月に開催される国連防災世界会議に向けた市民社会から見た課題と国会議員へのお願いの提案がありました。

その後、参加された国会議員の方々から、次々に質問や意見表明がありました。
トップを切って手を挙げたのは、みんなの党の山内康一議員で、NGOの得意な小さな案件への支援拡大や原発リスクを国際社会に伝えることの意義、貧困対策の重要性などを強調されました。そのほか、質疑応答の時間帯にいた議員全員から一言ずつコメントや質問をいただきました。


(コメントする山内康一議員。私は司会を担当しました)

今回のような議員勉強会をJANICが開催したのは初めてのことです。
今までも、シンポジウムや議員会館での記者会見に議員をお招きするこということはありましたが、国会議員を主な対象とした勉強会は今回が初めてです。

ここ数年、JANICは提言活動に力を入れてきました。
JANICでは、提言活動(アドボカシー)を「情報を武器としながら、政治家や官僚など重要な意志決定者のみならず、実質的に力を持っている様々な個人、集団、組織に影響力を与えようとするもので、キャンペーンや開発教育を含む、総合的な活動」と捉えています。今年度のJANICの提言重点イシューは、MDGs/ポストMGGs、CSOの開発効果、防災・減災、ODAの動向チェックなどですが、それらのイシューについて協議の場を設けたり、提言書を発表したり、他団体とともにシンポジウムやキャンペーンを行って世論を喚起することにより、一定の影響力を意思決定者や市民に及ぼしていると考えています。しかし、では実際に私たちの主張が政策となって社会を動かすことができたかというと、胸を張って「はい」と言えるところまでは言っていません。往々にして、言いっぱなしになっています。

政策を変えるためには、様々なステークホルダーに働きかける必要がありますが、その中の重要なアクターとして「政治家」がいます。法律や制度を作るためには、政治家を動かす必要がありますし、そのためには政治家にNGOの主張を理解し賛同してもらうように働きかけなければなりません。しかし、この点に関して、JANICは今まで取り組みが不十分でした。政治家への働きかけは、個別の議員との人間関係であったり、ある特定のイシューについて意見を求められて答えるというレベルで、JANICから組織的、継続的に複数の政治家に働きかけるということができていませんでした。
その反省に立って、今回の「議員勉強会」の開催となりました。ここで気を付けたのは、超党派の議員に参加してもらうということです。JANICとして一定の主張をすることはあっても、特定の政党とつながったり、逆に特定の政党に反対するということは、政治的な中立性の点から問題と考えています。今回の勉強会でも、呼びかけ人には自民党、公明党、民主党、共産党、みんなの党、維新の会など超党派の議員に参加していただきました。

なお、呼びかけ人になっていただいた国会議員には、NGO出身の方もいます。山内康一議員は元ピースウィンズジャパン職員ですし、辻元清美議員はピースボート創設者の一人であり、阪口直人議員はインターバンド元事務局長でした。NGOにとって心強い応援団です。とはいえ、単にNGOを応援するだけでなく、時にはもっとしっかりしろ、と厳しい指摘をしてくださいます。

言いっぱなしから、政策の実現へ。
今後、JANICの提言活動をより実効性のあるのにしていきます。


(追加情報)
3月28日、岸田外務大臣がODA大綱の見直しについて発表しました。見直しについては、有識者懇談会が設置されて議論が行われますが、その委員の一人に大橋理事長がなりました。