2月23日に長野県のJICA駒ヶ根で行われた「駒ヶ根市政60周年 駒ヶ根青年海外協力隊訓練所設立35周年記念セミナー 『青年海外協力隊とNGO・自治体との連携 ~現在、そしてこれから~』」にパネリストの一人として出席しました。


(パネルディスカッションの様子。隣は杉本駒ヶ根市長)

青年海外協力隊は、日本政府が行うODAの一環としてJICAが実施する海外ボランティア派遣制度です。20歳~39歳までの若者を途上国に派遣して、現地での生活改善や技術指導を行う事業で、1965年の開始以来、累計で38,744人が88ヶ国に派遣されました(2014年1月末現在)。派遣された協力隊員は、看護師として保健人材の育成を行ったり、教師として子どもたちを教えたり、エンジニアとして技術指導をしています。協力隊は、このような開発途上国の開発に協力することのほかに、日本人の若者の人材育成、日本と途上国との友好親善という役割も担っています。

長年NGOで働いていると、協力隊出身者はとても身近な存在です。元JVC事務局長の星野昌子さんは初代協力隊員としてラオスに日本語教師として、またシェアの本田徹代表は若い頃にチェニジアに医師として派遣されました。その他、JVC、シェアを通じて、多くの協力隊OB/OGといっしょに仕事をしました。

企業が一般的に新卒を採用して内部で育てるのに対して、多くのNGOでは即戦力を求めています。海外の現場に派遣する職員を外部からリクルートする場合、大勢の応募者の中から結果として途上国での経験が豊かな協力隊員が採用されるのはよくあることです。

このように協力隊とNGOは元々親和性が高かったのですが、数年前からさらに連携を深めるための議論をJICA青年海外協力隊事務局とNGO有志でタスクフォースを作って議論してきました。私もタスクフォースの一人であり、今回のセミナーでは話し合いの中で固まってきた連携方針を中心にお話をしました。

NGOと協力隊との連携は、途上国の現場と日本国内2つに大きく分かれます。
途上国における連携について、タスクフォースでは過去の連携事例から、以下の5つのパターンに分類しました。
1)NGOプロジェクト活動成果のJICAボランティアによる拡大
2)JICAボランティアの活動成果のNGOによる拡大
3)NGOプロジェクト活動を補完する隊員活動
4)NGOプロジェクトへのJICAボランティア派遣
5)NGOの人材育成に資するJICAボランティア派遣

例えば1)では、「A国地方振興庁においてコミュニティ開発手法を確立したNGOが、活動を終了して同国を引き上げた。代わって青年海外協力隊が地方振興庁に協力して、その開発手法を用いて地方コミュニティに広める活動を進める」といったものです。
ここでは紙面の関係もありこれ以上詳しくお伝えできませんが、他のパターンを含めて、今後もう少し詳しい事例を、JICAのウェブサイトに掲載する予定です。

一方、国内での連携については、帰国後も国際協力活動を志す青年海外協力隊員が、NGOでインターンとして実務経験を積むにあたりJICAが実施経費を支援する「NGO活動支援制度」や、現地への派遣が決まったNGOスタッフが通常では習得が難しい途上国の言葉を協力隊員といっしょに勉強できる「JICA訓練所での語学研修」などがあります。同じ国に赴任予定の協力隊員とNGOスタッフが2ヵ月間寝食を共にしながら語学研修に励むことは、現地での連携強化にとても有効です。具体的に、シャプラニールの赴任予定スタッフが、協力隊訓練所でベンガル語を習った例などがあります。

協力隊員とNGOが途上国の現場で協力し合うことによって事業の効果が高められ、それによって途上国の人々の生活改善に貢献できるよう、協力隊-NGO連携を推進していきたいと思います。


(大雪の影響が残る駒ヶ根訓練所では、軒先に大きなつららが下がっていました)