シドニー・ルメットによる『オリエント急行殺人事件』 | Cinéma , Mon Amour.。.:*☆

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左脳は邦画で出来ておりまする╰(*´︶`*)╯

こんばんは


今宵は

1974年製作の旧作
『オリエント急行殺人事件』のご紹介です
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アガサ・クリスティの人気小説を
シドニー・ルメット監督が
当時流行りのグランドホテル方式を採用し
煌びやかに映画化した今作、、

役柄に合った女優陣のファッションには
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目を奪われますし
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一度でいいから
豪華寝台列車オリエント急行に乗ってみたいと
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憧れもしましたし

前記事でも触れた
マーティン・バルサム演じる
シニョール・ビアンキと
ジョージ・クーリス演じる
コンスタンティン医師、アンド
アルバート・フィニー演じる
エルキュール・ポアロのレッツゴー三匹の掛け合いは
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何度観ても飽きることはありません

駄菓子菓子!

本作の肝は

犯人は誰か?
どうやって殺されたのか? よりも
被害者ラチェットの過去にあり

その過去の所業ゆえクリスティ
あのような結末を用意したわけです

そしてその結末を
観る側に納得させなければいけない

そこで

社会派として名高い
シドニー・ルメット監督
憎まれて当然のラチェットに
リチャード・ウィドマークを持ってきたと
ジェーンは解釈します
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と言いますのもウィドマーク
デビュー作『死の接吻』(1947年)で
薄ら笑いを浮かべながら車椅子の老婦人を
階段の上から突き落とすというね
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人間らしさのカケラもない殺し屋を
演じていたからです

今なら驚くに値しない描写も
『死の接吻』が公開された1940年代には
考えられないくらい卑劣なシーンに違いなく

リスクを顧みずそれを演ってのけた
ウィドマークに白羽の矢を立てたあたり
ルメット監督分かっていらっしゃる。

さらにラチェットの秘書
マックイーンに抜擢されたのが
あの、アンソニー・パーキンスです
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ウィドマーク同様に彼の代表作
『サイコ』(1960年)で演じた
ノーマンが憑依したかのような
マックイーンの腺病質なマザコンぶりは
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(画像は『サイコ』より)

『だったらさもありなん』と

これまた観客を説得出来うる材料となっています
  
当時は既に
一線級とは言えなかった
ウィドマークパーキンス
しかし彼らの過去の財産が
モノを言ったキャスティングでした

そういった観点から
新作でのジョニデさんも
イヤらしさを押し出してはおりましたが
ウィドマークには及ばなかったかなと
ジェーンは思っております

マックイーンについても
彼は話の橋渡しとして
重要な役回りであったのに
新作でのマックイーンはマザコンから
ファザコンに180度転回しており

やはり男の子はファザコンよりも
マザコンの方が心の闇が深いと言いますか
ハッキリ言って、存在意義が薄れちゃってました

しかもあの

『クーシマ(悪夢)を見た』という
重要な台詞を何故に省いたのか?

それも謎だよ、ケネスちん、、、

原作を未読の方、旧作を未見の方には
分かりづらいレビューですね

ごめんなさい

しかし
クリスティ女史が
今作を執筆した最たる理由が
1932年、アメリカで起きた
こちらの  リンドバーグ事件 にある以上は
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そこをピックアップしなければならない

旧作においては
それが顕著に表れておりました

ラストに向かい
作者クリスティの怒りは

『12人の怒れる男』の  ← ここ、重要
監督ルメットに受け継がれ

そして二人の念願は
アルバート・フィニー演じる
エルキュール・ポアロにぎゅぎゅっと凝縮していきます
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息を呑むというのはこれか?

つうくらい、わたくしにとりましては

見事な一幕でした

あれは役者陣と監督が
一枚岩だったからこその
パフォーマンスであったと今尚感じております
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ケネスちん版の新作とを
色々比較してしまいましたけれど
わたくし新作版を否定する気は毛頭ありません

前記事で申し上げたように
ケネス・ブラナーの果敢な挑戦は
買って然るべきだと思いますし

久しぶりに映画を娯楽として
楽しみもしました

どちらが良いかは観客次第なんです

わたくしに関して言えば
旧作に思い入れが強いだけのことで

新作が持つカジュアルさは
今の風潮を反映しているとも言えます

人の価値観が多様化する現代に於いて

今後、ケネス・ポアロ
どういった変遷を遂げていくのか?

或いは、旧態に回帰するのか?

興味がないと言えば嘘になるので
ジェーンはしっかりと観察してまいります



最後に
犯人のその後についてですが

実はクリスティ女史
別口でサラッと漏らしております
(と、記憶しています)

人が人を裁くということは

やはり難しいことであると

女史のそのフォローから

わたくし感じとった次第であります




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