先日、お付き合い頂いている
『こみたんの映写会』のライター
こみたん様 が レビューされた
『アンタッチャブル』を拝読し
いつもながらの鋭い洞察力に
感服いたした次第ですが
今作にはわたくしの大好きな
悪役界のレジェンド
ビリー・ドラゴ兄が出ておりまして
それで思い出した
『インプリント〜ぼっけえ、きょうてい〜』を
今宵はご紹介させて下さいませ
こちらは世界の名だたる
ホラー映画監督13人が
米国のケーブルテレビ用に撮った
マスターズ・オブ・ホラー シリーズの
中の一編で
監督は、T・フーパー、J・カーペンター、
D・アルジェントといったビッグネームと共に
我が国から選出された三池崇史さんです
原作は岩井志麻子女史の
『ぼっけえ、きょうてい』
三池監督がアメリカ資本で撮った
(アメリカでの)デビュー作でもあります
と、前置きが長くなりましたが
お話にいっちゃいましょう
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時は明治時代の日本
アメリカ人記者クリストファー(ビリー・ドラゴ)は
かつて愛した小桃(美知枝)と言う名の
遊女を探しに、とある浮島にやって来ました
辿りついた遊郭で、小桃の行方を尋ねるものの
誰もが知らないと言葉を濁す中
クリストファーは、顔半分が引き攣れた
遊女(工藤夕貴)から
小桃がどのようにして死んでいったのか
教えてくれと縋るクリストファーに遊女は答えます
小桃は醜いわたしにも優しくしてくれた
優しい女だった。
そして小桃は愛する男の迎えを待っていた。
だが、お内儀さん(根岸季衣)虎の子の
翡翠の指輪を盗んだ疑いをかけられ
寄ってたかって拷問された小桃は
その苦しみに堪え兼ねて首を吊ったのだと、、、
遅すぎた迎えを悔やむクリストファー
しかし遊女は真実を話してはおらず
この遊女こそが小桃殺しの犯人だったのです
『何故優しくしてくれた小桃を殺したのだ?!』
詰め寄るクリストファーに
『知らない方がいいこともあるのに、、、』と
窘めつつ、女郎が語ったこととは?
ーーーー
あの稀代の名作←名作でしょ?
である原作の本筋は踏襲しているものの
こちらは全編台詞が英語なんですね
(だってアメリカ資本だから)
よって原作を格上げした
岡山弁マジックは効を奏さず
その代わりと言っては何ですが
小桃に対する拷問シーンには
三池崇史監督、ひと針入魂
原作者の岩井志麻子さんなんですよ
畳針(だよねぇ?)で
何処を突き刺すかって言ったらアータ
皮膚と爪の間に決まってますがな
(その後歯茎にも刺します、、、)
線香持って墓参りじゃあないですよ
これは腋に押し付けるんです
岩井さんが嬉々として演じた
この拷問シーンが余りに残虐だと
13人の監督の中で三池さんたら
唯一、放送中止の憂き目を見ておりまして
さすがは鬼畜道のトップランナー三池さん
やはりこの方はアングラ界隈でこそ
真価を発揮出来る監督さんです
そういったグロテスクな描写ばかり
話題に上がりますけれど
実はこれって
とっても哀しいお話なんですよ
工藤夕貴さん扮する遊女(名前はない)の
凄惨な過去は群を抜いていますが
当時の日本には、親に売られた
女性たちが沢山いたわけで
根幹にはびこる貧困は無知に繋がり
そこから発生する
大人たちの罪悪感の欠如と
倫理観の欠落
だてに『親の因果が子に報い』なんて
言い回しが残ってるわけではなく
ちゃんと理由があってのこと。
風車が意味するものは何なのか?
この作品は
観る側がどのポジションに立つかによって
存在意義が変わる気がします
もっともっとお話ししたいんだけど
長くなりますから、ちぃーとばかり
出演者をご紹介させて頂きます
主演の工藤夕貴さんがとにかく良かった
彼女の線の細さこそが
ジャパニーズ・ホラーの骨頂であり
静から動への切り替えが本当に上手かった。
新人ながら、凄惨なリンチシーンを
全身で演じたいまるちゃん似の美知枝さんには
お疲れ様と針を抜いてあげたい。
(リンチシーンの画像は自主規制いたします)
ワケあり感満載の遊女を演じた江口のりこさんに
お内儀役の根岸季衣さん
地上波に出てきていいんかい?な
木下ほうかさんですし
そらもう、ビリー兄がまともに見えたくらい
役柄を一切構わない
日本の役者さんたちが揃ってるわけで
大きな声では言えませぬが
わたくしDVDを買い求めちゃうほど
個人的に
気に入っている作品ではあります
(はい、変鯛のジェーンが通りますよーー)
駄菓子菓子
皆さまに積極的な鑑賞を
オススメすることは控えさせて頂きましょうね
同じく三池監督の手による
『オーディション』(2000年)が
大丈夫だった方には今作は余裕かと思いますが
鑑賞にあたっては自己責任でお願い致します
絵面もさることながら
油断ならないのが擬音でございまして
三池さんたら
最強のオノマトペ使いですから
そこらへんも合わせてご用心ご用心。
では最後にもう一枚
志麻子センセのショットをご覧頂いて
今回はここまで!
╰(*´︶`*)╯♡
ちなみに ぼっけえ、きょうていとは
岡山弁で ものすごくこわいという意味に
なります、、、