今宵ご紹介する映画は
『マンチェスター・バイ・ザ・シー』
リー・チャンドラー(ケイシー・アフレック)
そんな荒んだ暮らしを送るリーの元へ届いた
兄ジョー(カイル・チャンドラー)危篤の一報
リーは急遽、実家のある
マンチェスターへと向かいますが
兄の最期には間に合わず
16歳になる兄の息子
パトリック(ルーカス・ヘッジ)を
彼がクラブ活動中の
アイスホッケー場まで
迎えに行くこととなります
パトリックに
父の訃報を伝えるリー
遠巻きに
二人を見守る
コーチ及びチームメイトたち
その中の一人が放った言葉
『あれがリーか?』
そう呼ばれるリーの身の上に
一体何があったのか?
そのような幕開けで始まった
『マンチェスター・バイ・ザ・シー』
この『あれがリーか?』に
よく似た言い回しをジェーンは
リアルで聞いたことがあります
殆どが良い話ではなく
それが、口さがない者たちによって
連綿と拡散され、結果として
この作品でも描かれているように
当時は子供だった者たちまでもが
そのことを知る運びとなるのです
そういった時当事者たちは
家族で寄り添い力を合わせ
悲しみは半分にが理想論
しかしリーの場合そうはいかない
何故か?
それは『あのリーか?』の
(個人を)特定した言い方が示す通り
悲しい出来事を招いた原因が
リーにあるからです
過失ではあっても
怠惰なリーだったからこそ
起きたことであり
だけれどもさすがに
自分が仕出かしたことに対しては
自責の念に苛まれるわけで
ずっと
『時ぐすり』も効かず
『信仰』も救いにならず今まで来てしまって
(ミシェル・ウィリアムズ)が
『貴方を酷く詰ってごめんなさい』と
許しを乞うてきてその告白はつまり
元妻があの出来事を『乗り越えた ことを
示すものであり、乗り越えられない自分と
妻との乖離に打ちのめされるリー、、、
心情の変遷を 心 ここにあらずといった
表情で演じたケイシー・アフレック
夫と仲の良い友人だったりしたら
難儀やわぁーと言いたくなる
リーという男
それでも立ち直れないでいる彼を
何とかしてあげたいと
観る側に思わせる静演で
アカデミー主演男優賞獲得
さらにリーの周りを固める
キャラクターたちの造形も良かったですね
結婚生活の経験者でありながら
弟を気にかける、人格者のお兄ちゃんジョー
重篤な持病を抱えるジョーが
心が崩壊した弟リーに、敢えて託した
ひとり息子パトリック
兄の遺言に戸惑うリーと
リーに心を開かないパトリック
しかしこの二人の存在が
リーと世間を繋ぐ糸なんです
人は、他者との関わりを絶って
生活することは出来ません
生きていくとは、そういうことです
リー再生の道があるとするなら
それは兄ジョーの遺志に対して
リーが腹を括れるかどうか
そしてリーの側から世間に
歩み寄る事が出来るかどうか
それにかかってくるのかと。
だって
何をどうしたところが
人生は続いていくのですから、、、
只今公開中の新作ゆえ
本筋には触れぬよう
レビューに挑んでおります
よって
奥歯にモノが挟まったような
ハッキリしない物言いとなっていますことを
お許しくださいませ
(もちろん文章力のなさもありますわよ)
全体を通して
暗いトーンの作品ですが
顔に似合わず
ヤリ手のパトリックのクダリにニヤリ
も一つ小さくプッと吹いたのが
マシュー君登場のシーン
知らないうちに丸っこく
なっちゃってましたけれども
なかなか毒のある
ワンポイントリリーフでしたわ
監督はケネス・ローナガン
オリジナル脚本も兼任しており
今作で描かれた女性像、、、
ミシェル・モナガン演じる
リーの元妻ランディと
グレッチェン・モル演じるジョーの元妻を
(二人のビジュアルが似てて錯覚した)
何や彼や言っても
女って強いよねといった体で
監督ったらしら〜っと描いておりますが
そこら辺りの描写について
お尻の収まりが悪かった ジェーン・ドゥ
やはり
男と女の間には
深くて暗い河があるのか?
ローナガン監督に
膝詰めで聞いてみたい、、、