そして最後は『アガサ 愛の失踪事件』(アメリカ・イギリス/1979年) | Cinéma , Mon Amour.。.:*☆

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わたしの右脳は洋画で
左脳は邦画で出来ておりまする╰(*´︶`*)╯

 アガサ・メアリ・クラリッサ・クリスティー
(1890ー1976)
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彼女が起こしたリアルな大事件
『Agatha Eleven Missing』

【事件の概要】
1926年12月3日
1人車で自宅を出たまま
行方不明となった
アガサ・クリスティー(当時36歳)
彼女が見つかったのは
消息を絶ってから11日目のこと
保養地のホテルに
別人名義で宿泊していたところを
発見されます
人気作家の突然の失踪は
世間の耳目を集めますが
当のアガサは口をつぐんだまま
今も真相は藪の中……
この事件を題材に、独自の解釈で
失踪の理由を描いた『アガサ 愛の失踪事件』
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何でもかんでも『愛』をつけるなよ!
そんな文句は、横っちょにおいときまして
要はですね、夫に若い愛人がいて
そっちと結婚したいから
穏便に、波風立てずに別れてくれよ!
と、通牒を突きつけられたことが原因で
アガサは失踪してしまったんだと推測し
それからどーしたんだ?となるわけですが

まず、キャストからご紹介すると
アガサ・クリスティーにバネッサ・レッドグレイブ
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夫アーチボルドにティモシー・ダルトン
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そしてアガサ失踪事件の
真相に迫るうち、彼女に惹かれていく
アメリカ人コラムニスト、ウィーリーに
ダスティン・ホフマン
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監督は『愛は霧のかたなに』『ネル』の
マイケル・アプテッド
ですからトーンは暗め……

事件の前日
勝手に結婚生活を壊そうとする
このロクでもない夫にアガサは
テンプレ中のテンプレフレーズ
『わたしを捨てないで、貴方を愛しているの』
そう言って縋り付くのです
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みなさんねぇ
バネッサ・レッドグレイブが男に縋るか?
と鼻白まないでくださいよ
じゃないと話が先に進みませんからね

縋るアガサを振り切って
夫は家を出て行き
そしてその後
アガサは忽然と姿を消すのです
有名女流推理小説家の失踪に
すぐさまマスコミが騒ぎ始め
警察は近くの沼を棒っきれでつつき回し
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手遅れにならぬよう
必死にアガサを捜索しますが
夫は心配するそぶりも見せない……
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ちょうどアガサに
インタビューの申し込みに来ていた
アメリカ人コラムニストのウィーリーは
彼のその姿に違和感を覚え
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アガサを独自に追跡します

この時、アーチボルドは
愛人との旅行に行くつもりだったんですよ
さすがにそれはまずいやろってことで
取りやめますが、もう自己保身ばかりです

約束を反故にされた愛人ちゃんは
別口で温泉保養地へ行くんですが
どうやらアガサはこの愛人に
以前からずっと探りを入れていたみたいで
今回の温泉行きも把握していたんですね

それで愛人ちゃんの滞在先に偽名を使って
先回りし、彼女の到着を待ちます
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一連の全ての出来事は
アガサが演出したものだったのか?
彼女がミステリ作家ゆえ、
いろいろ想像してしまいます

この保養地(ハロゲート)は
いわゆる湯治場ですね
温泉療養や、電気療法といった
治療方法で大勢の患者で賑わっており
アガサは療法士に
『電流もMAXにすると死に至るのでしょうね?』
などとそれとなーーく、聞くんですわ

イエスと答える療法士に
機械の操作方法を聞いたり
自分でも専門書を読んで
情報をノートへ書き写す様は
『これはやはり稀代の推理作家による
   リアル完全犯罪か?
   ターゲットは夫の愛人だな
こちらはそう固唾を呑んじゃいますよ
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同じ頃、独自のルートでアガサの居場所を掴んだ
ウィーリーも現地へ到着し、同じく偽名を使って
滞在しアガサに近づきます

アガサは一体何を考えて
何をしようとしているのか?
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悪いのは夫であっても
やはり愛人を憎むのか?
アガサの身を案じるウィーリーは
『あんな男は、忘れなさい
   (わたしがいるではないか)』と告白までしても
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『わたしは夫だけなのです』と震える声で答えるだけ
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そしていよいよ
愛人の……愛人の名前はナンシーね

ナンシーは電気療法を受けるため
施術部屋へと向かいます
本物のスタッフは、偽の口実で排除済み
代わりに機械の側には、
アガサの姿があったのです

*・゜゚・*:.。..。.:*・・*:.。. .。.:*・゜゚・*

この『クリスティー失踪事件』は
彼女の文庫本のあとがきに
よく出てくるエピソードで
同じく、クリスティーは正規の学校に通わず
変人の母親に自宅教育を受けていた話も
あとがきの常連です

ですから、アガサという人は
内気で内向的な性格であったと
おそらくは恋愛も下手だったんだろうなと
思ったりもするわけですが
この『失踪事件』を
頭に入れてクリスティー作品を読み返すと
若く身持ちの悪い登場人物に対して
扱いが酷い理由が納得出来ますね

キャストについて
初めはミスキャストに
みえたレッドグレイブ女史も
背は低いけれど安定感のある
ホフマンとの比較において
彼女の猫背に不器用さと孤独を感じ
最後はアガサそのものにみえました
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ティモシー・ダルトンの鬼っぷりがまた憎たらしくて
さすがは四代目ジェームズ・ボンドは伊達じゃない

ホフマン
いつでもどこでもホフマンです。以上

この事件の2年後
アガサとアーチボルドは離婚

さらにその2年後
アガサは14歳年下の考古学者
マックス・マローワンと再婚します

彼との結婚理由を聞かれて
『考古学者なら、
   古いものほど大切にすると思ったからよ』
と、答えたそうですが

それならわたしも、万が一再婚するのならは
考古学者か骨董品屋の主人だな

しかしそのマローワンにも
長年に渡る同業者の愛人がいて
アガサの死後2人は結婚しております

マックス君の所業については
もっ、何をか言わんや!

この件について
アガサがどう考えていたかは
死が最後にやってくる』に
答えがあるのではないかと睨んでますが
最もそれは、わたしの個人的意見ですので悪しからず

結局のところね
彼女のインサイド・ヘッドは
誰にも分かるはずはなく

そして、そここそが
『ミステリーの女王』の
『ミステリーの女王』たる所以なのでしょう
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