2011年4月19日
雪解けが進む八ヶ岳の春
父スコット・母チロルの子として
ジュニアは産声を上げました
生後11ヶ月の頃…
先代犬を亡くされたMさんは
海の口牧場を訪れ
その子に一目惚れ
我が家の子として迎えることになりました
その子は
スコット・ジュニアと名付けられました
新たな生活が始まりましたが
スコットジュニアに跛行が見られ
病院へ行ったところ
左後肢亜脱臼との診断🏥
Mさんは牧場オーナー川股さんに
電話で報告を兼ねて相談☎️
翌日、答えよりも早く
川股さんはMさん宅に向かい
スコットジュニアを
牧場へ連れ帰ってしまったのです
Mさんは仕事から帰宅し
スコットジュニアが居ないことを
目の当たりに
在宅していたご家族から状況を聞き
数日後、
スコットジュニアを返してほしいと
八ヶ岳まで足を運びましたが
オーナー川股さんからの答えはNO…
川股さんにしてみれば
たとえ一時的な外科疾患でも
後肢に欠陥のある子を
譲り渡す訳にはいかなかったのでしょう
そして
川股さんがスコットジュニアの代わりに
Mさんの腕に納めた子は
スコットジュニアにそっくりな兄弟でした
この時、2頭は名前を分け合いました
Mさんの元へ行った子を
「スコット」
川股さんの元に戻った子を
「ジュニア」としたのです
一度は我が子として
迎えたジュニアを手放す辛さは
どんなだったでしょう…
アスファルトの道や
階段のある自宅での生活…
ジュニアの足のことを思えば
八ヶ岳の大自然に
包まれ育つ方が良いだろうと
自身を納得させながら
Mさんはスコットを連れて
毎月毎月…片道5時間の道のりを
ジュニアに会うために
八ヶ岳へ足を運びました
ジュニアに会いたくて会いたくて
ただただジュニアに会うためだけに…
ふたりは仲良し兄弟
性格もよく似ています
毎回、再会を喜びながら
揃って走る走る走る💨💨💨
だけど
一頻り走った後は
スコットは車へ
ジュニアは繋がれていた場所へ戻ります
ふたりはそれぞれの居場所と「定め」を
理解しているかのように…
🌲🌳🌲🌳🐾🐾🌳🌲🌳🌲🐾🐾🌲🌳🌲
3年ほど経った頃
Mさんは再び川股さんに
ジュニアを引き取らせてほしいと
尋ねてみましたが
やはり答えはNOでした
ジュニアは生涯手元に置くと
川股さんは強く決めていたようです
たぶんその頃には
成長したジュニアの中に
偉大なる父スコットの後継としての
素晴らしい本質が見えていたのでしょう
Mさんはジュニアを初めて諦め
アランを迎えることになったのです
そうです
Mさんとはアランママのことです
その後、牧場の経営が傾き始め
移転を繰り返す中
足を運んでもジュニアに会えない現況と
スコット、わずか5歳での死を堺に
Mさんはジュニアとの
生涯の別れを意識し始めたのです
ジュニアは
お里のために良い子をたくさん増やし
日本各地のご家庭に
「幸せ」を届けました
ユキちゃん、アイちゃん、
樂くん、鈴ちゃん…
レオンくん、チャリー&バーニーくん…
エイト…
ジュニアの血肉分けたる子は
他にもたくさんたくさん居ます
清原亜希さんとのCM出演でも
ジュニアは大活躍🏖️
川股さんと仲間たちを支えました
そして…川股さんが亡くなり
保護団体施設に引き取られ…
ジュニアの犬生は
再び大きく湾曲しました
私はジュニアを介して
様々な方と繋がりを持ちました
Mさん(アランママ)とジュニアのことも
曖昧な話しとして耳にしました
私には、じっと目を閉じて
Mさんの立場に自らを置き換え
想像することしか出来ません
どんなにかジュニアのことが心配だろう
どれほど会いたいだろうか…
私が最後まで
ジュニアと家族にならなかった理由は
ジュニアにはジュニアが築いてきた
大切な関わりがたくさんあったから…
ジュニアを想い
ジュニアのために心砕く人と
ジュニアが対面する時には
その間には入り込まない
ジュニアに囲いはしない
そのスタンスを保つことで
ジュニアがジュニアらしく生きれると
信じていたから…
ジュニアの記録をブログに残しながら
ユキちゃんママの働き掛けに感謝しつつ
私は何度となくMさんと
LINEのやり取りをしました
1年が経ち、ジュニア11歳のお誕生日🎂
Mさんとジュニアの再会が実現しました
亡きスコットに導かれ
ジュニアたちの歴史の中に
もの凄い勢いで手繰り寄せられ
私はこの人に会うことが出来ました
そして
後に私の最大の理解者として
様々な場面で支えてくれました
再び出会うということは
再び辛い別れを体感することになります
それでも私は
その腕の中へ
1日も忘れることなく
ジュニアを想い続けてきたその心に
ジュニアを届けたいと
強く強く思って止まない日々でした
毎月「面会日」を定めることで
別れ際は
「さようなら」ではなく
「ジュニまたね」
そう言ってもらえるようになりました
私もMさんとアランに会える日が
いつも待ち遠しかった…
ジュニアが亡くなり
後を追うようにアランが逝き
私たちは「2人ぼっち」になりました
「独りぼっち」にならないように
共に笑い、共に泣け❣️と
ジュニアは私に
感性のよく似た本音で語れる「相棒」を
残してくれました
先日のこと
Mさんが小さくなったジュニアに
会いに来てくれました
2人で思い出話しに泣き笑い
翌日には
デッキのハイビスカスが
同時に3輪咲いてました🌺🌺🌺
小さな鉢のまま
3年目を迎えたハイビスカス🌺
いっぺんに3輪も咲くなんて
びっくりでした
スコット🌺ジュニア🌺アラン🌺
3頭無事に会えたんだなぁって
思いました
しかしハイビスカスって
何と潔い花なのでしょう🌺🌺🌺
以前から感じておりましたが…
散り際に
静かにその身を閉じてから落ちるのです
また翌日も
別の3輪が同時に咲きました🌺🌺🌺
人間には
面倒な複雑感情があります
死は特別なことではないのに
「死」にも理由を付けたがる…
なるべくシンプルに
ありのままのに受け入れようと
思いながらも
不思議な巡り合わせと
後になっての気付き…
全ての「点」と「点」が
一本の「線」によって繋がれた…今
深い深い「縁」を感じています
ジュニア…
愛しいジュニア…
この節目の時に
ジュニアの犬生を
ずっとずっと案じて止まなかった
大切な人との物語に
触れる事が出来て良かったです