慢性腎障害(CKD)患者のスタチンを用いた治療に、「fire and forget」と呼ばれる方式があります。脂質管理目標値を設定せず、治療開始前後の脂質測定も求められない。これは管理目標を設定する高いエビデンスが存在しないためです。

従来の管理目標値を設定してその達成に努めるという方式は「treat to target 」と呼ばれます。

リスクマネジメントの観点からは、事象の不確実性が高い一方で、被るダメージと不可逆性が大きいと見込まれる場合は、事前的なリスク低減を行うことを重視する、「予防原則」と言う考え方があります。

予防原則はリスクを定量化できないものを含めて広義に扱おうとする立場から提案されるものです。従来の立場では、リスクは定量化できるものに限定すべきとしていますが、今日の複雑化する環境のなかで発生する現実のリスクを、それでは扱いきれない。

そこで、定量化できないものを含めてリスク概念を拡大し、新しい立場を含めたリスク対応が提案されるようになっています。感想に近い私見ですが、fire and forget に通じる考え方と思いました。

 

参考 「生活リスクマネジメント」奈良由美子 放送大学教材

「腎臓病ガイドライン総まとめ」加藤明彦編集 月間薬事7月増刊号 じほう