こんにちは。年が明ければ花粉症のシーズンですが、今回はアレルギーの薬、フェキソフェナジン(商品名:アレグラ)の飲み合わせの話を書こうと思います。あまり知られていないと思いますが、果汁100%のジュースと一緒に飲むと、フェキソフェナジンの効き目が弱くなってしまう可能性があります。

 

フェキソフェナジンは、小腸や肝臓に発現している薬物代謝酵素CYP3A4の代謝を受けませんが、グレープフルーツジュース(GFJ)、オレンジジュース、りんごジュースの摂取によって、経口投与後の血漿中フェキソフェナジン濃度が著しく減少する事が知られています。これは小腸粘膜で薬物の吸収に関与する有機アニオン輸送ポリペプチド(OATPs)の阻害作用が原因と考えられています。阻害の本体としては、果物に含まれる成分であるフラボノイドのナリンジンが同定されています。

 

果汁100%のジュースを3時間以上かけて1.2リットル飲用する事で、フェキソフェナジン経口服用後の体内動態の指標である、薬物血中濃度-時間曲線下面積(AUC)及び最高血中濃度(Cmax)の60-70%低下が報告されています。GFJ飲用後2時間が経過した時点でもOATPs阻害作用は持続し、4時間後に消失するとの報告があります。その為、果実ジュース飲用後は4時間以上の間隔をあけてフェキソフェナジンを服用するのが良いでしょう。一方フェキソフェナジンの血中濃度が最高に達するまでの時間であるTmaxは約2時間なので、服用から2時間以上の間隔をあければ、ジュースの飲用は影響が少ないと思われます。ただし、このナリンジンによるOATPへの阻害作用は濃度依存と言って濃度が濃いほど強くなる性質があるらしいのですが、定量的に判断する情報が見つけられなかったので、大量に飲む場合は注意が必要、程度の認識で良いのかも知れません。大人よりも寧ろリンゴジュースを習慣的に飲む小児に注意が必要なのかも知れません。

 

例えば、仕事帰りに保育園から子どもを連れて小児科を受診し、でアレグラドライシロップを処方され、19時に服用、明日は7時に服用するとすれば、果実ジュースは昼間は9時から15時まで、夜は21時以降に飲むようにすれば影響は少なくなると思われます。

 

いかがでしたでしょうか。薬を安全に服用し、効果を最大にするための一助になれば幸いです。

 

参考

Fruit juices inhibit organic anion transporting polypeptide-mediated drug uptake to decrease the oral availability of fexofenadine. Dresser GK et al, Cli Pharmacol Ther, 71:11(2002) PMID:11823753
参考『臨床薬物動態学』加藤隆一 南江堂 第4版 236-237頁 2009

 

 

杉山正康 日経BP  104-105頁 2012