こんにちは。研修認定薬剤師の奥村です。昨日レボフロキサシンの調節の話をしましたが、今回実際にあった話をします。透析をしている75歳の男性、Aさんの話です。

ある時、Aさんに、レボフロキサシン500mg 24時間おき、5日分の処方せんが発行されたことがあります。

発売元である第一三共のサイトを確認すると、透析中のレボフロキサシンの用法用量は確立されていないが、米国ではクレアチニンクリアランス(CCr)<20に準ずる用法用量を使用と参考情報がありました。具体的には、初回のみローディングドース500mgを使用し、以降は48時間おきに250mgです。日本腎臓病薬物療法学会の「腎機能低下時に最も注意が必要な薬剤投与量一覧表」2018年1月24日改定31版にも、同様の用法用量が推奨されています。
 
病院の薬剤部を通して主治医に確認して頂いたのですが、「血中濃度を高く保つため処方通り」との回答で、処方変更はありませんでした。
 
照会の後で、CCr<20の腎機能高度低下患者に常用量を投与した場合、どうなるかを試算しました。Guisti-hayton法より補正係数0.27であり、腎機能正常者(80≦CCr)と比較して、単回投与時のAUCが約4倍に上昇します。また半減期が34時間に延長していることから、飲み続けた場合、その5倍の170時間、すなわち7日目に定常状態に達し、その際の定常状態の最高血中濃度Css.maxは、蓄積率1/(1-exp(-0.693・24/34)=2.58より、およそ2.6倍にまで上昇すると理論的には考えられます。

民医連HPの副作用モニター情報によると、高齢者に標準量投与して、認知症様の中枢神経系症状が生じた症例が報告されており、Aさんも注意深く経過観察をするのが望ましいと考えました。幸いAさんには副作用はありませんでした。

処方医の考えをもっと聞いて見たいケースでした。