こんにちは。研修認定薬剤師の奥村です。今日は薬剤師のエビデンスについてお話します。
 
エビデンスとは聞きなれない言葉ですが、ここでは、「薬剤師の介入が医療のアウトカムに良い影響を及ぼす、科学的な証拠」、と言うような意味合いだと思います。やや分かりにくい言葉ですが、実際の例を見て頂いたら、イメージが沸くと思います。
 
岐阜市民病院における報告です。1)
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75歳以上の高齢者でLVFXを使用する際、薬剤師により腎機能を評価し、 適切な投与量に調節。

上記介入を行った142例と非介入群98例において、薬剤の副作用頻度を比較した。

介入群における副作用頻度は4.2%、非介入群では13.3%と有意に介入群で副作用リスクは低下した。副作用頻度を下げるのみならず、副作用対応にかかる費用の軽減効果も見込める。
副作用は

介入群: 掻痒感2例、黄疸、肝障害2例、下痢。
非介入群: 悪心/嘔吐脱力による転倒、結膜充血、掻痒感、下肢の強張り、幻覚、紅斑下痢、痙攣など。
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レボフロキサシン(略号LVFX)と言う抗菌剤は、幅広い病原菌に効果のある広域抗菌剤で、肺炎、膀胱炎、胃腸炎、皮膚感染症等、なんにでも効くので、処方される機会が多い薬です。500mgと250mgの2規格があり、体格と腎機能で減量が必要な薬です。腎機能は年齢とともに低下しますので、高齢者はとくに減量が必要かどうか、考慮する必要があります。
 
紹介した論文では、薬剤師が腎機能を評価し、投与量を調節しています。その結果、副作用を相対的に68%減らしたと報告されています。
これは病院でのエビデンスですが、調剤薬局でも同様の介入は可能と私は考えます。ただし、それには条件があって、レボフロキサシンを飲む方の体格と腎機能のデータが分かることです。
 
知られていないことかも知れませんが、薬局で把握できる情報は、処方箋が全てです。カルテを閲覧することは、先進的な取り組みをしている一部の地域を除いて、通常ありません。従って、体格や腎機能のデータは、カウンターで患者さんから聞き取りするか、病医院から患者さんに手渡される検査票を確認する必要があります。
 
データーに基づかない提案は、医師から受け入れられることはありませんので、皆さんの協力が必要になります。体格、具体的には身長と体重を把握して、お薬手帳に記入して下さい。血液検査をした時に検査票をもらったら、お薬手帳に糊で貼り付けておいて下さい。皆さんの健康を自分で守るために、大切な事です。あなたのご両親たちにも、この話をしてあげて下さい。
 
 
1)Impact of levofloxacin dose adjustments by dispensing pharmacists on adverse reactions and costs in the treatment of elderly patients. Pharmazie 68: 977–982 (2013)
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