こんにちは。研修認定薬剤師の奥村です。今日は不整脈の薬のジソピラミドの話をします。
ジソピラミドの至適な血中濃度は2.0-5.0μg/mLと幅が狭く、厳密な服用量のコントロールが必要な薬です。不整脈を50%減少させるのは1.0μg/mL付近で、5.5μg/mL以上で中毒症状を呈したと言う報告があります。7.0μg/mL以上では顕著なQT延長や刺激伝導障害、心室頻脈、TdP等を起こす事が報告されています。未変化体、代謝物MNDのいずれも抗コリン作用がある。MNDの抗コリン作用は未変化の24倍で、腎機能低下などMNDが蓄積する条件下では未変化体の濃度が低値でも口渇などの副作用が現れる事があります。
ジソピラミドには50mgと100mgのカプセル、150mgの徐放錠があります。必要量に合わせてその人ごとに飲む量や回数が調整されているのですが、実際に飲んでいる人の具体例を見てみましょう。
まず、一人目のAさんは標準体型の若年男性、ジソピラミド徐放錠150mgを1日2回服用しています。現在の処方設計での定常状態における最高血中濃度Css.maxを推定します。年齢からクレアチニンクリアランス(Clcr)=70mL/min程度で、半減期への影響はないと仮定します。添付文書には、動態の記載があります。それによれば、150mg徐放錠単回投与時の半減期9.0時間、Cmax1.47μg/mLです。
Ritchel理論より投与間隔/半減期=12/9=1.33(≦3)で、半減期の5倍の45時間(≒2日)で定常状態に到達する。この時の蓄積率1/(1-exp(-0.693x1.33))=1.66
∴Css.max=1.47x1.66=2.44μg/mL
定常状態の最高血中濃度は2.4μg/mL程度で、治療域に治まっています。
個人差はありますが、平均的にはこの程度の血中濃度と推測されます。
二人目のBさんは、ややふっくらした高齢女性、ジソピラミドカプセル100mgを1日3回服用しています。
添付文書より、健康男子に100mg単回投与した場合の半減期6時間、Cmax1.48μg/mLです。
腎機能は年齢よりClcr=40mL/min程度の低下が予想されます。これは添付文書に記載のGroup IIに該当し、この時半減期は14時間までの延長が予想されます。
Ritchel理論より投与間隔/半減期=8/14=0.57(≦3)なので、半減期の5倍の70時間(≒3日)で定常状態に到達する。この時の蓄積率=1/(1-exp(-0.693x0.57))=3.06
∴Css.max=4.53μg/mL
若年男性と高齢女性と言う差を考慮すると、Css.maxはもう少し高値になるかも知れません。なぜなら、ジソピラミドの分配係数0.66(n-オクタノール/水、pH 7.4)<1で水溶性です。女性や高齢では体組成において脂肪の比率が高まり、除脂肪体重が減少するので水溶性薬剤の分布容積が小さくなります。従って若年男性のPKデータに比してCmaxが大きくなっている可能性があります。(Cmax = D・F/Vd D:投与量 F:バイオアベイラビリティー Vd:分布容積)
Bさんの場合、ぎりぎり治療域に入るかも知れませんが、もしも口渇などの副作用があり、減量しても不整脈がコントロール出来るのならば、1回50mg 1日3回、1回100mg 1日2回などへの変更が、望ましいかも知れません。
いかがだったでしょうか。ご家族の健康を守るための参考になさって下さい。
ジソピラミドの至適な血中濃度は2.0-5.0μg/mLと幅が狭く、厳密な服用量のコントロールが必要な薬です。不整脈を50%減少させるのは1.0μg/mL付近で、5.5μg/mL以上で中毒症状を呈したと言う報告があります。7.0μg/mL以上では顕著なQT延長や刺激伝導障害、心室頻脈、TdP等を起こす事が報告されています。未変化体、代謝物MNDのいずれも抗コリン作用がある。MNDの抗コリン作用は未変化の24倍で、腎機能低下などMNDが蓄積する条件下では未変化体の濃度が低値でも口渇などの副作用が現れる事があります。
ジソピラミドには50mgと100mgのカプセル、150mgの徐放錠があります。必要量に合わせてその人ごとに飲む量や回数が調整されているのですが、実際に飲んでいる人の具体例を見てみましょう。
まず、一人目のAさんは標準体型の若年男性、ジソピラミド徐放錠150mgを1日2回服用しています。現在の処方設計での定常状態における最高血中濃度Css.maxを推定します。年齢からクレアチニンクリアランス(Clcr)=70mL/min程度で、半減期への影響はないと仮定します。添付文書には、動態の記載があります。それによれば、150mg徐放錠単回投与時の半減期9.0時間、Cmax1.47μg/mLです。
Ritchel理論より投与間隔/半減期=12/9=1.33(≦3)で、半減期の5倍の45時間(≒2日)で定常状態に到達する。この時の蓄積率1/(1-exp(-0.693x1.33))=1.66
∴Css.max=1.47x1.66=2.44μg/mL
定常状態の最高血中濃度は2.4μg/mL程度で、治療域に治まっています。
個人差はありますが、平均的にはこの程度の血中濃度と推測されます。
二人目のBさんは、ややふっくらした高齢女性、ジソピラミドカプセル100mgを1日3回服用しています。
添付文書より、健康男子に100mg単回投与した場合の半減期6時間、Cmax1.48μg/mLです。
腎機能は年齢よりClcr=40mL/min程度の低下が予想されます。これは添付文書に記載のGroup IIに該当し、この時半減期は14時間までの延長が予想されます。
Ritchel理論より投与間隔/半減期=8/14=0.57(≦3)なので、半減期の5倍の70時間(≒3日)で定常状態に到達する。この時の蓄積率=1/(1-exp(-0.693x0.57))=3.06
∴Css.max=4.53μg/mL
若年男性と高齢女性と言う差を考慮すると、Css.maxはもう少し高値になるかも知れません。なぜなら、ジソピラミドの分配係数0.66(n-オクタノール/水、pH 7.4)<1で水溶性です。女性や高齢では体組成において脂肪の比率が高まり、除脂肪体重が減少するので水溶性薬剤の分布容積が小さくなります。従って若年男性のPKデータに比してCmaxが大きくなっている可能性があります。(Cmax = D・F/Vd D:投与量 F:バイオアベイラビリティー Vd:分布容積)
Bさんの場合、ぎりぎり治療域に入るかも知れませんが、もしも口渇などの副作用があり、減量しても不整脈がコントロール出来るのならば、1回50mg 1日3回、1回100mg 1日2回などへの変更が、望ましいかも知れません。
いかがだったでしょうか。ご家族の健康を守るための参考になさって下さい。
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