熱性けいれんのあるお子さんが来局されました。熱性けいれんや、ダイアップ坐剤の使用方法や、その意味についてまとめたいと思います。
熱性けいれん:主に生後半年から5歳までの乳幼児に起こる、通常は38度以上の発熱を伴う発作性疾患(けいれん性、非けいれん性を含む)で、髄膜炎などの中枢神経感染症、代謝異常、その他の明らかな発作の原因がみられないもので、てんかんの既往のあるものは除外される。1)
単純型熱性けいれん:日本では7~11%の児が熱性けいれんを来すが、多くは一生に1回きりであり、2回以上起こす確率はそのうち30%と高くない。熱性けいれんは単純型と複雑型に分けられ、以下の①~③のいずれにも該当しない場合は単純型、1つでも満たせば複雑型と判断される。
①焦点型発作(脳の極限した部位の興奮が原因となる。多くが発作の動きに左右差を生じる)
②15分以上持続する発作。
③通常24時間以内に複数回反復する発作。 つまり、単純型熱性けいれんとは、発作時の四肢の動きが左右対称的で、15分以上持続せず、24時間以内に1回きりの発作です。単純型はのちにてんかんを発症することは極めて少なく、反復しても認知や学習能力に影響しない予後良好な疾患。そのため多くの場合、小児科の先生が熱性けいれんの児を診察して単純型熱性けいれんと考えれば、検査をせずに帰宅させます。
ジアゼパムの予防投与:発熱時にジアゼパム坐剤を投与する事で、発作再発率を低下させることが報告されている。一方で同剤の副作用により、ふらついたり、眠りがちになったり、逆に興奮したりすることもある。
発熱時のジアゼパム坐剤の予防投与は、体温37.5度を目安に1回0.4~0.5mg/kgを挿入し、発熱が持続していれば8時間後に同量を追加投与する。熱性けいれんは発熱後24時間以内に生じることが圧倒的に多いため、この8時間間隔2回投与によって血中のジアゼパム濃度を24時間経過する迄けいれん予防可能な濃度以上に保ち、予防効果を24時間持続させる。3回目以降の投与は、発熱が持続していても原則として不要。また、初回投与の8時間後に解熱していれば2回目の投与も不要。
ジアゼパム坐剤の予防投与については、ガイドライン1)において、複雑型熱性けいれんをはじめとする一定の適応のもとで行われることが推奨されているが、患児家族の不安の程度が異なるため、個別のケース毎に判断されることが多い。再びけいれんしたときには再受診した方が良い。
さて、今回の症例は、初めての熱性けいれんで、救急外来を受診した際にはすでに治まっていた患児で、医師は単純型熱性けいれんで意識状態が良いと判断し、救急外来の場でジアゼパム坐剤を再発予防のために使用されました。この使い方はガイドライン1)では応急処置と書かれています。熱性けいれんを起こして来院した患者に外来でジアゼパム坐剤を使用する事は、発作の再発予防に一定の効果がある、と過去の研究で報告されています。この症例では、8時間経過した時点で発熱が持続していれば2回目の投与をするように家族に指導します。解熱剤を使用すると、体温が再上昇する際に再び発作が起こることはないかという質問が多いですが、そのようなことはないので、熱の影響で眠りが浅くなったり、ぐったりして食欲が落ちている場合は解熱剤を使用して良いです。ただしダイアップとは同時に使用すると吸収が悪くなるため、30分開ける必要がありますので、ご注意下さい。内服のカロナール細粒や、コカールDSの場合は、この制限はありません。
参考「調剤と情報」 2017年11月号 91-93
20171129作成
1)日本小児神経学会 監、熱性けいれん診療ガイドライン策定委員会 編:熱性けいれん診療ガイドライン2015、診断と治療社、2015
②15分以上持続する発作。
③通常24時間以内に複数回反復する発作。
20171129作成
![調剤と情報 2017年 11 月号 [雑誌] (特集:重症化させない 低血糖対策と血糖管理のコツ)](https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/51gK-%2B-d95L._SL160_.jpg)