糖尿病とCVD:
日本の疫学研究であるJDCS(Japan Diabetes Complication Study) 1)の9年次中間報告によると、2型糖尿病患者の冠動脈疾患・脳卒中の発症率は10年リスクに換算すると9.6%、7.6%であり、一般住民2)の各々3倍、2倍であった。合算すると17.2%とハイリスクである。
因みに英国人2型糖尿病患者(UKPDS 対照群)において10年リスクは、冠動脈疾患17.4%、脳卒中5%と報告されている。欧米では冠動脈疾患が脳卒中より多いが、日本人でも糖尿病患者には同様の傾向が観察されている。
JDCS登録者の年齢・性別の影響を除いた心血管疾患のリスク因子は、LDL, 年齢、TG, HbA1c, Cペプチド、性別、喫煙であり、脳卒中のリスク因子はsBP, 年齢、性別であった。従って糖尿病の治療においては、HbA1cだけでなく、コレステロール値やTG, 血圧等についても注意していく必要がある。
メトホルミンはCVD予防のエビデンスがある唯一の糖尿病の治療薬である。UKPDS34において、過体重患者(BMI>25)にメトホルミンを投与した場合、観察期間中の心筋梗塞が有意に抑制された。(PMID: 9742977)また、UKPDS80において、10年の厳格治療の後、比較である通常治療群とHbA1Cの差がなくなっても、その後10年に渡って心筋梗塞・総死亡のリスク減少が観察された。(PMID:18784090)
糖尿病と脂質異常症の合併は心血管疾患ハイリスクだが、スタチンは1次予防において非DM患者と同等の相対リスク低減効果が有る3)ことが示されている。
1)Japan Diabetes Complication Study(1996-):日本人の2型糖尿病患者2250人を対象にした生活習慣の効果を検討した前向き研究。開始時の平均年齢59.4歳、平均罹病期間11.9年、平均HbA1C7.74%であった。
2)久山町研究第3集団(約30%の糖尿病・耐糖能異常者を含む)において、10年リスクは冠動脈疾患で男3.5%/女1.8%、脳卒中で男5.3%/女3.9%であった。非糖尿病者集団では、リスクは更に低い事が予想される。
3)英国のCARDSスタディは糖尿病で心血管リスクを有するLDL≦160、TG≦260の患者にアトルバスタチンを投与、心血管イベントはプラセボに比して有意に低く(37%減少)、全死亡も低下傾向(27%減少)だった為、試験は早期終了された。
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