彼が描く夢の中の私。そしてリアル。 | ジャムスタンマジックのおうち~音楽、ときどき旅~

彼が描く夢の中の私。そしてリアル。

今日1通のメールが届きました。
英語だったから迷惑メールと間違えて削除するところだったけど、
「happy birthday from Wien」
という題名だったので開いてみることにしました。

すると、初めて私がオーストリアのウィーンを訪れた時に知り合ったお兄さんからでした。
まだ学生で初めての一人旅だったような気がします。

私はまだ10代。
現在の音楽活動もしていませんでした。

ウィーンのオペラ座?の前でチケットを売っていた彼は、
「コンサートに行かないか?」と声をかけてきました。

音楽には興味があったので私はコンサートに行くことにしました。
終わった後、感想を聞かせてね!といわれたので、
入り口で再会して、すごく感動したことを伝えました。

彼は作家志望で、年は私より少し上でした。
チケットを売りながら本を書いていると言っていました。

その日はバイバイをして、次の日。
オペラを見に行こうと格安のチケットを手にしてオペラ会場へ向かいました。
すると、なんと彼に再会しました。

実は彼のお姉さんはウィーンで1,2を争うほどの有名なオペラ歌手でした。
そして、見に来たとのこと。

終わった後、
私は歌のすごさに感動して、その日見たオペラを口ずさんでいたのです。

彼は目を丸くして、「信じられない!」といいました。
私の声を今まで聞いたことがないくらい素敵だと言ってくれました。

これはむこうの男性のほめ言葉なんだろうと思い、
口だけなんだろうなーーくらいに思っていました。

でも何度も「もう一度歌って!」と言われました。
私は何度も何度もウィーンの街中で歌いました。

当時よく聴いていたSarah McLachlan の「Fallen」を歌ったのを覚えています。
彼は涙しました。
姉の声よりも素敵だと言いながら。

私は”そんなわけないじゃん!!!”と半ばあきれていましたが、
なんだかうれしくなりました。

歌のうまさとかではなく、声を素直に好きだといってくれる
それは初めての経験だったので、あまのじゃくに「うそだ!」と言いました。

その後彼は言いました。
僕はericoの小説を書くんだと。

「はじめてあった日本人の女の子がものすごく素敵な声で歌うなんて!一生忘れない!」と。

「冗談いいなさんな!」と返しましたが、ウィーンを旅立ち、三年が経つころ、彼からメールが来ました。
小説をリリースしたと。

名前もタイトルも聞いていないし、ハンドルネームだそうだからわからないけど。
その中には素敵な歌声のアジア人の女の子が出てくるんだそうです。

そしてさらに時は過ぎて10年。

今日メールが届いたのです。


「最後に会ってから10年たちますが、あなたを忘れたことはありません。
もうすぐ誕生日ですね。素敵なバースデーを。
僕はあなたがあなたらしくいることを願っています。」

と。
特に返事を求めるメールでもなく、
10年の時を越えて届いたんでしょうか?

分からないけど、、、、涙がでてきました。

いまでも、彼のお姉さんのほうがよっぽどすばらしい歌手だと思います。
名前も忘れてしまったし、調べようとも思わないけど、私の歌なんて大したことはなかったはず。

だけど彼の中で、すごくインパクトのあった出来事だったのだと思います。
私はちゃんと存在したんだと思います。

誰かの心の中で、私という人間の存在が輝き続けていること。
それが幸せに思えました。

彼の中で私は一生年をとりません。
10代の日本人のまま、あのときの印象のままです。

それが彼の見ている夢であり、
彼の描く私という人物。

不思議だけどなんだか切なく、胸の奥がじーんとします。

みんなにとってのericoは、みんなと同じように年をとっていきます。
それがリアルだからそれでいいのです。

だけどなんだか今日は時をこえたような、本の中の出来事のような、
そんな時間をすごしたので、、、

普段はこんなブログ書くことはないけれど、書いてみました。
22日、明日一つ年を重ねます。

みんなと一緒にすごすリアルな時間がやってきます。
だからあたたかくうれしいんです。

ダイアリーに書くような日記。
読んでくれてありがとう。

えりこ