日本が消える

 

昨日買った網で鶏小屋を作った

 

藪の一角に木枠を作り、網を張り巡らした

 

さて作ったは良いが、どうやって捕まえて中に入れるかな

 

朝から泳ぎに行った、満潮ならすぐに大海原を拝めるが干潮となると結構歩かないといけない、月の引力恐るべし

 

午前中に出かけた仲間が牛肉を買って来た

 

ステーキのように焼いた、贅沢だぜ

 

がぶり、ん、んがー!噛み切るのが大変、、、

 

直ぐに顎が疲れた

 

そう毎日ウガリや海藻やら魚

 

柔らかいものばっかり食べていたので顎が鈍っているではないか!

 

でも、腹は満たされている

 

朝しめたばっかりの新鮮なもので一度も冷蔵庫に入っていない

 

エコビレッジビルダーが言っていた、

 

冷蔵庫や冷凍庫に食材を入れると、その食材の本来のバイタリティが失われる

 

すると味も落ちるし、本来の栄養価そして満腹感が減る、と

 

だから良い保存方法は氷を使うことらしい

 

氷で保冷だ

 

まあ使うのが悪いとかそういう話ではないんだけれどもね

 

日本に帰ったばかりは冷蔵庫過敏症になったのは事実だ、詳しくは帰国後の話になったら書く

 

味に関しては、今まで食べた牛肉とは全く違った

 

まずビーフ特有のあの香りが無い

 

あれは一体どこから来ていたのか、環境か飼料か、はたまた種類なのか

 

それに軽い、牛肉は強いイメージだったがそれが一切ない

 

不思議だ

 

冷蔵の話をすると

 

実はエコビレッジには冷凍庫がある、ソーラーパネルで稼働している

 

特に魚や野菜などといった食材を保存することはない

 

氷を作ったり、マンゴーやココアでアイスみたいなものを作ったり

 

アイスコーヒーを作ったこともあったっけ

 

コーヒーの国とはいえ海沿いエリアでは栽培されていないし、コンビニももちろんない

 

そんな環境で淹れて冷やして作ったコーヒーは格別だったし、何か遠い記憶(夏の)が思い出された

 

そういえば今は2月なんだよな

 

毎日海パンで上裸

 

気が付くと日本という存在が頭から消えていた

 

あまりに今にフォーカスし、誰とも連絡を取らず、帰ったらなにしよう、ということも考えなさ過ぎて

 

しかも毎日全く違った生活がどんどん上書きされていて

 

自分の中から日本が消えていた

 

しかしそれと同時に日本に抱く問題も消えてることに気が付いた

 

あれやこれ、思うことがたくさんあったはずなのに

 

もう関係ないところにいる

 

そうかこれが解決方法なのかもしれない

 

地球の裏側で子供達が飢えてます、という広告を見てもピンとこないだろう

 

それと一緒だ、現実味が無い

 

ある日タンザニア人に聞かれた「日本に海はあるのか?」

 

冗談で聞いてるのかと思った、周り海しかないぜ?!

 

でも本気で聞いている、そんなもんだ、遠いい国のことなんか無いに等しい

 

なんだかとてもスッキリした、自国との距離感をリセット出来た気分だ

 

何が言いたいかって、物理的に俯瞰したんだ、一度ニュートラル状態に立ち返る必要があったんだ

 

簡単に浮かび上がってる事実に重みはなく、心の底まで届いていたものが真実だったんだ

 

夕方には激しいスコールがやって来た

 

しかしこれは水自給の大チャンス!

 

食事するところには屋根代わりにタープが張ってあって

 

そこに水が溜まるので、それを桶や容器に入れタンクまでバケツリレー

 

みんな濡れながら必死に自分がやれることをした

 

 

なかなか止まず体も濡れて冷えてきた

 

薪も完全に濡れる前に燃し始めた

 

このタイミングが良かった

 

まだ雨は降っているが、緩やかになった

 

気が付けば真っ暗でシトシトと降る雨以外に音はなく、いつものようにベラベラと喋ることもなかった

 

全員ビショビショで立ったまま、タープの下で数個の小さいランプに照らされた鍋を囲んだ

 

牛肉のトマトスープだ、ニンニクと胡椒などの香辛料と煮込んであって柔らかくなっている

 

少し表情が緩んだ

 

スープをよそると良い香りがする

 

ズッ、ズズッ

 

スープをすする

 

「はぁ~」

 

白い息が出た

 

熱々のスープだ、しっかり全ての旨味が引き立っていて、お肉も柔らかい

 

これは今までの人生で食べたものの中で一番うまいと日記に書いてある

 

このシチュエーションに新鮮な食材そして仲間達との連携プレーの後のスープはタム サーナ(超美味い)

 

冷えた体が温まり、味で体がリラックスまでした

 

幸せだ、みな微笑んだ

 

スコールとて珍しく直ぐに止まなかった

 

テントに戻ると中に水が浸透していて、一応拭いたがまた工夫して寝ないといけない

 

明日になれば日が昇る

 

それは確信できることだった

 

希望を胸に眠りについた