岡山県と香川県を結ぶ瀬戸大橋は1988年に開通した。すでに30年が経過している。
開通当初からこの瀬戸大橋には、橋脚下の島々と対岸の市街地とを行き来できるように路線バスが走っていた。そのためこのバスを乗り継ぐことにより岡山県と香川県とをローカルバスで渡ることができた。
しかしこの度、岡山県側を走っている下津井電鉄のバス(下電バス)が2021年3月末で廃止されることとなった。そのため、乗れるうちに乗っておこうと今回はこのルートに乗車する。
なお、下津井電鉄が廃止する区間は琴参バスが運行することとなった。(2021年2月追記)
乗車日 2020.10.10(土) ...ダイヤは乗車当時のダイヤです
ルール①徒歩と路線バス(空港バス、高速バスを含む)だけで移動 ②同一場所あるいは同一ターミナルのバス停で乗り継ぎする
時刻は実際の時刻。ただし予定ダイヤと10分以上前後した場合は注記する。
なお、以下に示す乗降区間は原則としてバス停のポールの表示にのっとって記載し、 運転区間は原則としてバスの側面表示にのっとって記載した。
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瀬戸大橋は岡山県倉敷市と香川県坂出市を結んでいる。したがって高松市をスタートするとまず坂出市まで移動しなければならない。
ところが高松市と坂出市との間にはJRが頻繁に走っており、市域を跨ぐ路線バスがない。高松市、坂出市の南にある綾川町のコミュニティバスを使えば路線は繋がるが便数が少ないために当日の乗り継ぎはできないようだ。
このため高松市と坂出市を路線バスを使って半日以上掛けずに移動するには、両市の間を徒歩移動するか、高松空港に向かうリムジンバスを利用するしかない。徒歩移動をしたくないので今回は空港バスで乗り継ぐことにする。
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高松駅(9:56)-高松空港(10:36) ことでんバス 780円 運転区間はJRホテルクレメント高松-高松空港 (高松空港リムジンバス)
高松駅と高松空港の間には、途中停留所で乗降可の本来の意味での路線バスもあるが、あいにくちょうど良い時刻の便がなかった。仕方なく、途中で下車できない空港バスに乗っていく。
空港バスは高松空港の発着ダイヤに合わせて時刻設定されており、利用した時間帯には高松駅発9:53の便と9:56の便とが続行している。コロナ禍がなければおそらく9:53の便は満席になるのだろう。この日はそこまでの人数ではなかった。後続の9:56の利用者は高松駅発車時点では自分だけだった。
先行の便と異なりこの便は高松琴平電鉄(ことでん)の瓦町駅に立ち寄るが、そこからの乗車もなかった。それ以外にも途中で乗車可能なバス停がいくつかあり、バスは律儀に各バス停でいったん停車する。しかし乗車する人はいない。
国道11号線を南下する。「ゆめタウン高松前」で1人乗ってきた。さらに南下を続けると走っている道路はそのまま国道193線に変わった。30分近く走ってことでん琴平線を高架で越え、さらに南下を続ける。
香東川を渡って香南町岡の交差点を右折し、県道45号線を南西に走る。キンモクセイの並木道で黄色の花が最盛期だった。
左折して丘を登って高松空港に到着した。
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現在高松空港からは、高松方面のほかに、坂出・丸亀、琴平、善通寺・観音寺・四国中央市向けに空港バスが出ている。阿波池田や高知などにも空港バスが走っていたが、コロナ禍で航空機が減便になったこともあり運休されていた。この琴参バスの路線も便数がほぼ半減しており、兄弟路線の丸亀・善通寺線は全面運休となっている。
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高松空港(11:15)-坂出駅(11:58) 琴参バス 1000円 運転区間は高松空港-丸亀駅(丸亀・空港リムジンバス)
JALの航空便が遅れるとの案内があったが到着を待たずに発車したようだ。理由は後にわかる。乗客は自分を含め2人。
空港から丘を下る。路傍にヒガンバナが咲いていた。いったん北に走り、途中で西に向かう。その先で県道13号線に入った。
道路は綾川町に入りさらに西に向かって走る。途中で左折して県道278号線に入った。何度も丘を越える。丘の上には畑があり丘を下ると田んぼがある。すでに稲刈りは終わっていた。もちろん未耕作地もいくつかあるけれど。
県道185号線との交差点を右折して北に走る。空港から約20分走りことでん琴平線に出会ったと思ったらすぐに「綾川駅」だった。ここで親子の2人連れが乗ってきた。この路線はリムジンバスだが途中の「綾川駅」では乗降とも可能となっている。このように途中乗車可能となっているために始発地を遅延して発車することができないのだ。もちろん多少の許容範囲はあるだろうけれど。
綾川駅の周辺にはシネコンを併設したショッピングモールや家電量販店があり、このバスを利用して丸亀や坂出からショッピングに来ることができる。
いったん国道32号線を高松方向に向かい、すぐに左折して県道17号線を北上した。この区間も小さな丘を何度も越える。途中で坂出市に入り、高松自動車道をくぐった。
JR予讃線のガードをくぐってすぐに左折した。これが県道33号線で元の国道11号線である。予讃線のすぐ北を西に走る。岡山行きのマリンライナーに抜かれた。
八十場駅の先で33号線と別れ、そのまま少し走って坂出駅の北口に出た。そこでいったん北に方向を変えて、駅前通りにあるポールに停車した。
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次はいよいよ瀬戸大橋を渡る。琴参バスの「元町・京町」バス停のポールがリムジンバスの坂出駅のポールの隣に立っている。そのままバスを待った。
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元町・京町(12:24)-与島第二駐車場(12:49) 琴参バス 530円 運転区間は回生病院-浦城 (瀬戸大橋線)
瀬戸大橋が掛かる島々はすべて香川県坂出市に属しており、丸亀市に本社を構える琴参バスが路線を持っている。平日は1日7便、土日祝は6便が走っている。ただ琴参バスの日中の便はすべて与島止まりで、与島から先は、岡山県側の下電バスが瀬戸大橋線の児島駅まで走っている。
「元町・京町」は坂出駅前の1つ隣のバス停で、通りが直線だからもちろんこのポールから駅前ロータリーが見えている。
乗客は自分だけだった。駅前通りを海に向かって北上し、左折して両景橋を渡る。バスの左手には讃岐富士(飯野山)、右手には番の州の工場群が見えている。本来は瀬戸内海の島々が見えていたのだろう。
琴参バスはバス停に停まる前にハザードランプを両方ともに点けていた。ほとんどのバス会社は左折用のランプだけ点けていると思う。
12:32に料金所を通過して瀬戸中央自動車道に入った。番の州高架橋を通って南備讃瀬戸大橋に掛かる。続けて北備讃瀬戸大橋を渡った。この2つの吊り橋が6つの橋の中で長さが1番と2番である。南備讃瀬戸大橋のほうが少し長い。
北備讃瀬戸大橋を渡ると与島で、このバスは与島までしか行かない。ランプウェイを通って島に降り、「与島パーキングエリア」を通過して島民専用のゲートを抜ける。一般の観光客は与島PAの駐車場までしか行けないが、路線バスは島民専用ゲートを抜けて与島の各所を周回するのだ。
次のバスへの乗り継ぎは「与島パーキングエリア」でも可能だが、せっかくなので次に乗る下電バスの始発地まで行った。バス停は「与島第二駐車場」と称しているが、実際には駐車場の外の道路上にポールがある。
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与島第二駐車場と称しているのは与島PAが混んでいるときに使う第二駐車場のことで、もちろん駐車場の周囲には柵があって車が島内の一般道に出ることはできない。だいたいPAの側にある第一駐車場が満車になることは最近ではおそらくないだろう。路線バスは第二駐車場の脇を走る一般道を走り、第二駐車場の中とは行き来できない。
バス停が「与島第二駐車場」と称するのはこの場所に他にバス停の名称に使えるような施設がないからだが、瀬戸大橋が開通したときにはここに瀬戸大橋京阪フィッシャーマンズワーフが開業し、バス停も「瀬戸大橋フィッシャーマンズワーフ」だった。フィッシャーマンズワーフは開業初年度には516万人の利用者があったそうでおおいに賑わったが、開業3年後には陰りが見え始め、1990年代には250万人と減少してしまい、紆余曲折あったが2011年に全面閉鎖された。現在(2020年)では跡地にソーラーパネルが設置され、太陽光発電施設となっている。
この場所でフィッシャーマンズワーフが開業したので、琴参バスと下電バスのローカル便は当初からこの場所で乗り継ぐダイヤになっていた。下電バスのバス停は2018年3月までは「瀬戸大橋フィッシャーマンズワーフ」のままだったが、4月1日にいくつもの路線のあちこちのバス停が改称された際に合わせて改称された。
余談だが、瀬戸大橋の開通当初は岡山駅・倉敷駅と高松駅・丸亀駅を結ぶ高速バスが走っており、与島PAにも停車した。一度四国行きの初便に乗ったことがあるが、与島に勤務するアルバイトで満席だった。
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上述したように瀬戸大橋の掛かる島々はすべて坂出市に属しているが、最も北の櫃石島は倉敷市下津井の眼前にある。昔の話だが櫃石島の海水浴場へは下津井港からの渡船が下津井電鉄の電車に接続して運航されており、下津井電鉄では電車運賃、渡船運賃に加えて海の家の利用券とドリンク券がセットになった割引切符を販売していた。この措置は電鉄線が部分廃止された後も「櫃石島海水浴場行き」と称した臨時バスを運行する形でしばらく継続されていた。このような経緯もあって児島駅から櫃石島へのバス路線は下電バスが担うことになったと思われる。ただ下電バスが与島まで運行している理由は自分には分からない。
下電バスは2021年3月末をもって瀬戸大橋線を廃止すると発表したが、それに先立って2020年10月から、それまで1日6往復走っていたのを3往復に減便している。
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与島第二駐車場(13:05)-児島駅(13:38) 下津井電鉄 410円 (85系統)
「与島第二駐車場」からの乗客は自分だけ。先ほど橋から島へ下った時にも感じたが、橋と島を結ぶループ橋を通る際にはいつも緊張する。別に自分が運転するわけではないのだけれど。
与島と羽佐島を結ぶトラス橋の与島橋を渡り、続けて斜張橋の岩黒島橋を渡る。岩黒島には橋上の路側帯に「岩黒島」バス停がある。ここだけは路線バスが島まで降りないが、島民専用のランプウェイが下り線のみに設置されているためだと思われる。なおバス停から島まではエレベーターがつながっている。ここで釣り客が4人乗ってきた。おそらく朝一の便でやってきて今まで釣果を競っていたのだろう。
次に渡るのは櫃石島橋でこれも斜張橋だ。櫃石島では島民専用のランプウェイを降りて島の各所を回る。乗降客はいなかった。児島を昼過ぎに出る便には朝一の便で買い物に来た客が帰るための乗車があるだろうが、その折り返しであるこの便には普段使いの客はいないのだろう。
櫃石島からランプウェイを上がって戻れば最後に渡るのが吊り橋である下津井瀬戸大橋で、この途中に香川県と岡山県の県境がある。坂出市と倉敷市の市境でもある。橋を渡り終えると鷲羽山トンネルに突っ込み、トンネルを出ると「鷲羽山北」バス停がある。釣り客4人組はここで下車した。付近に自家用車を駐めていたらしい。瀬戸大橋の通行料の節約なのだろうか。
13:30に児島ICを出場し、児島の市街地を抜ける。いくつかバス停があるがもちろんすべて通過して児島駅に到着した。
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児島駅からは乗り継ぎなしで岡山駅まで行く。
児島-岡山はJRで28kmあるが、JRができる前は2つの系統のバスが、最頻時間帯には10分間隔で発車するような頻度で走っていた。しかしJRができて所要25分の快速が30分間隔で走っている状況では、時間も運賃も2倍掛かるバスは全く太刀打ちできず、現在は1日3.5往復に減少してしまった。もちろん岡山方の途中止まりの便は充分な便数が確保されている。
ただ、この時刻にはちょうど良く直通便があるのでそれを利用する。
ちなみに乗車するバスの終点は天満屋(バスステーションがある)だが、天満屋とは岡山の地場百貨店で、女子駅伝チームは有名だ。
天満屋バスステーションは1949年にできた日本初のデパートバスターミナルで、現在でも郊外からのバス路線の多くが起終点としているほか、岡山市街地を走るバスも多くがここを経由して運行している。
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児島駅(13:56)-岡山駅(15:31 予定は15:19) 下津井電鉄 1020円 運転区間は児島駅-天満屋 (D80系統)
乗客は自分だけ。児島駅の西にあるバスターミナルを発車して、市街地を経由した後でJR瀬戸大橋線をくぐって海岸沿いの国道430号線を北東に走る。途中で左折して県道276号線を走り、「JR上の町駅」の直下を北に抜けた。県道21号線と合流し、岡山市域に入るとすぐに「植松駅」の直下をくぐる。これでJR瀬戸大橋線との交差は三度目だ。この辺りまではこの路線とは別の道をもっと本数の多い別の路線が走っているので、多くの人はわざわざこの路線に乗ったりしない。
JR宇野線を高架で越えると21号線と別れて旧道を走り、「下電バス興除営業所」で時間調整した。周囲は岡山平野の穀倉地帯で、岡山ではこの時期まだほとんど稲刈りは行われておらず稲穂が垂れ下がっている。
興除営業所から先はほぼ毎時1便が運行されている。「丙川」で1人乗ってきた。その先で県道21号線と再び合流してJR瀬戸大橋線(宇野線)を跨線橋で越える。これで4度目の交差だ。バスの左手後方に備中箕島駅が見えている。
「汗入」で時間調整。ここからは岡山電気軌道(岡電)のバスが別方向からやってきておおむね30分間隔になる。下電と岡電はこの区間では共通定期券を発行している。このあたりからは何度か乗車があった。ロードサイド店が立地していることもあって道路が混んでいる。少しずつ定刻よりも遅れだした。
「大元駅前」で瀬戸大橋線(宇野線)を西から東にくぐる。これで五度目(最後)の交差。市街地に入って車線も増えた。そのまま北上を続けて岡山駅東口のターミナルに到着した。
今回の行程は以下の通り






