『SATU MALAYSIA❗️SATU MALAYSIA❗️』

元気な16人の声が大きな会場に響く。2017年4月26日水曜日、マレーシア代表として初めて大きな国際舞台に立った16人のジュニアチアリーダーたち。

SATUはマレー語で1。多民族国家であるマレーシアがお互いを尊重しながらひとつとなって発展して行こうとナジブ首相が掲げたスローガン。民族融和が発展のカギとなるこの国では常に耳にするフレーズだ。

本当に全員行けるのか?本番でチカラが発揮出来るのか?ケガをしたら?熱が出たら? 規定人数(16〜24名)ギリギリの16名補欠なしで行くのだから、1人でも出場出来なくなったら即棄権。今までの準備も遠征費も何もかも無駄になる。

長女は出発する一週間ほど前に後頭部から落下した。大会直前に取り入れた新しい動きの練習中、ベースの男の子たちの息が合わず上手くキャッチ出来なかったらしい。

連日夜になると37度以上の熱を出す長女が心配で、私はほとんど眠れなくなった。エッセンシャルオイルを使ってみたり、知合いのドクターに相談したり…。忙しい時期だったので、私自身もすっかり体調を崩してしまい辛い日々が続いた。

出発する日の朝の体温は37.3℃。マイペースの長女は「スタバのユニコーンフラペチーノとピンクドリンクを飲んで、ディズニーワールドに行ったらまずチュロスを食べて…」などと言っている。ワクワクして微熱があることは忘れているようだった。
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『SATU MALAYSIA❗️SATU MALAYSIA❗️』

チアの世界では全く無名のマレーシア。会場にいた70以上の国から集まった人々の反応は「マレーシアってどこだっけ?うーん」程度だっただろう。

国内やシンガポールでの大会では仲間や観客から歓声を浴びる彼らも、アメリカのようなチア先進国での世界大会では、"アジアの何処かから来たチーム" としか映らない。難しい技を決めても大して拍手は起こらない。

アウェー感たっぷりでも、拍手や歓声が起こらなくてもいい。2分30秒の『笑顔の真剣勝負』を今そこで楽しめ!と、夜中1時ネットでの生中継を見守っていた。元気に出て来た16人を見て、旦那と次女はYeah〜!と歓声をあげ、私は一気に出てきた涙と鼻水でグチャグチャになって両手をギュッとグーにした。

プリスクールに通い始めた3歳半の頃、初めてのダンス発表会でメイクもしてコスチュームも着けたのに、泣きながら私の後に隠れてステージに上がらなかった長女。素っ気なくて感情表現が下手で、集合写真では一番後ろの端っこで隠れているようなシャイな子が、今大きな舞台で笑顔で飛んだり回ったり…。母の涙と鼻水は止まらない。

画質が悪くてごめんなさいあせる (30秒のみ)

いくつかのミスも結構!16人は世界トップレベルのメキシコ(1位)とカナダ(2位)を相手によく最後まで頑張った。同じジュニアカテゴリーでは今回3チームのみの参加。…なので、銅メダルをいただけた。

胸を張って堂々と帰って来いチョキ

きっと長女は、わぁ〜と両親の元に駆け寄ってハグするチームメイトの横で「Hi Mum...」と明後日の方向を向いて小さく言うだけだろう。

「おっかえりぃ〜ビックリマーク
と日本語で空港中に響く声で言い、細いカラダを痛いほど抱きしめてやろうと思う。