最近、社員になりたいと言って来てくれた従業員がおりました。当ホテルでベッドメイクを1年半、フロントを1年半と経験してきたスタッフです。少しおとなしめな感じを受ける人間ですが、根は真面目で言われた事もしっかりこなす、優秀な部類に入るスタッフでした。ただ欠点があり、話下手。独特の訛のようなものが有り、言葉使いが丁寧でもどこかマヌケに感じたものでした。フロントスタッフとして勤める頃から、再三に渡り矯正を試みて来たものですが、なかなか直るものでもなく、今回社員希望という話になった時も、そこに一抹の不安を覚えました。


私は彼だったら、当社の力になってくれるものと信じ、上司に相談、面接をして頂く事になったのでした。面接日まで日も少なかったのですが、面接の練習を行い、受け答えのアドバイスをし、当日を迎えました。



面接は、私の上司2名とスタッフ、私も付き添いで参加させて頂きました。と、面接中にある行動に気づきました・・・。社員希望のスタッフが緊張のあまり左右に激しく揺れていたのです。左に右に揺れていました(ボクサーか!?的を絞らせないためだな?)。そのままどちらかに倒れこみそうな勢いに。上司1名の顔つきが変わった瞬間を覚えています。ものすごい怪訝な顔をしてました。しゃべりの方はというと、素直さ素朴さが伝わって来る反面、やはりどこか田舎臭さを与えるような感じでした。しゃべりの印象も、もうひとつ。



この日の面接結果は1名が採用賛成、1名が採用反対、とジャッジは微妙な判定。志望動機や、その他の環境、条件などは問題なかったのですが、やはりしゃべりと左右の揺れがよくなかったのでしょう。採用反対の上司は、不真面目な印象を受けた、との事でした(後日真面目過ぎる!なんて言ってましたが)。



結局答えを出せないまま、後に社長自らが面接を行って頂ける事となりました(優しい社長さんです)。それからは、他の担当者も加え面接の練習を繰り返し、再チャレンジへ・・・


面接本番、彼は以前のように揺れる事も無く、しゃべりもハッキリとして見違えていました。この調子で社長をノックダウンだ!力を出し切りました。社長も良い事言ってました(別に当社の関係者はこのブログなど読んではいない)。話の中で個性が大事だ、というのを何度も話してるのを聞き、これは・・・このスタッフに個性を感じてないのだな、と察しました・・・。



結果は・・・KO負けです。どうやら当社がこの時期に欲しかった人材は、強い個性を持った人間だったようです。個性って何よ?って思ったりもしますが、当社での仕事に生かせる得意分野を持っていて欲しかったようです。確かに当社の社員は、個性の強いのが多く(アクが強いとも言える)、各々武器となるようなものを持って仕事に生かしているのですが、彼にはそれが無かったのです。別に何かスペシャルなものが無くても、縁の下の力持ち的に働ける人間が必要だと私は思っているのですが、彼の個性を引き出してあげよう、見つけてあげようと思ってきた事は無く、私も反省すべき点でした。



彼には社員にしてやれなかった事、申し訳なく思っております(セコンドとして力不足でした)。ただ、彼ならきっと自分に合った企業を見つけれるものと信じてますし、就職活動を行うようなので、出来る限り力になります。


また、今後スタッフ育成に、各自の個性というものを引き出してやれるように、色々とチャレンジ出来るような機会を与えたいなと思いました。