主要な登場人物 | 鈴木のブログ

鈴木のブログ

ブログの説明を入力します。

金範佑(キム・ボム)

地主の息子で、師範学校を卒業、教師になる。穏健な民族主義を抱く人物。民族の分断と凄惨な暴力の応酬を憂うが、彼我を峻別する2つのイデオロギーが対峙する時代において思想的中立はゆるされず、左右双方から「日和見」「容共」として批判される。かつて学徒兵として駆り出されたビルマの戦場で米軍の捕虜となった過去を持ち、朝鮮戦争での米軍の介入を批判的な目で見つつも、否応なく関わることを迫られる。

廉相鎮(ヨム・サンジン)

師範学校に進学。共産主義を知り、赤色農民運動に参加。宝城郡の党組織を指導する。

廉相九(ヨム・サング)

相鎮の弟。兄一人に期待がかけられ差別的な扱いを受けたことから、兄に対して敵愾心を抱いている。反共青年団を率いて兄と対峙する。欲望に正直な人物で、大韓民国統治下の社会での上昇を図る。

鄭河燮(チョン・ハソプ)

筏橋の酒造場の息子。父親に対する反発から共産主義に傾倒し、党員となって地下活動に従事している。幼馴染の素花に好意を抱いている。

素花(ソファ)

巫堂(ムーダン)の娘。巫堂としての役割を務めながら共産主義者の鄭河燮を愛し、その活動を支える。

河大治(ハ・デチ)

厳相鎮の信頼する部下。小作農出身で無学だが情誼に厚い闘士。祖父は甲午農民戦争の参加者だった。

沈宰模(シム・ジェモ)

筏橋に派遣されてきた国軍戒厳部隊の指揮官。金範佑同様学徒兵だった過去を持ち、植民地時代以来同胞の犠牲の上で権力を握り続ける者たち(親日派)を憎悪する。小作人と地主との衝突を公正に処理しようとするが、筏橋の地主ら有力者たちに忌避される。

日本語訳

尹學準監訳、川村湊校閲、筒井真樹子・安岡明子・神谷丹路・川村亜子訳(ホーム社発行、集英社発売、1999年~2000年)全10冊

第1巻「白い花という名の巫堂」 ISBN 4834250210 / ISBN 978-4834250213

第2巻「天空をさすらう雲」

第3巻「金羅道の悲しみ」

第4巻「トラジの歌」

第5巻「歴史の逆流」

第6巻「女パルチザンの死」

第7巻「鴨緑江の苦い水」

第8巻「骸骨の隊列」

第9巻「奪われ行く解放区」

第10巻「冬とともに逝った英雄」

映画

映画が扱っているのは原作の3分の2ほどで、国連軍の仁川上陸を受けて筏橋から人民軍があわただしく撤退するところまでである。原作ではソウルに赴いた金範佑が筏橋で廉相鎮らの撤退を見届けるなど、原作との間にいくらかの差異はある。

キャスト

アン・ソンギ - キム・ボム

キム・ミョンゴン - ヨム・サンジン

キム・ガプス - ヨム・サング

シン・ヒョンジュン - チョン・ハソプ

オ・ジョンヘ - ソファ

チョン・ギョンスン - ヨム・サンジンの妻

受賞歴

1994年 第15回青龍賞 - 作品賞、男優助演賞(キム・ガプス)、女優助演賞(チョン・ギョンスン)

1994年 第5回春史映画芸術賞 - 最優秀作品賞、撮影賞、照明賞

1995年 第33回大鐘賞 - 審査委員特別賞、男優主演賞(キム・ガプス)、女優助演賞(チョン・ギョンスン)、音楽賞(キム・スチョル)

1995年 第31回百想芸術大賞 - 男子演技賞(キム・ガプス)

逸話

小説は、セリフの大部分が全羅道方言で書かれている。

作者・趙廷来(1943年、現順天市生まれ)には、幼少時に麗水・順天事件に遭遇したという原体験がある。

筏橋邑は趙廷来が住んだことのある実在の町である。しかし、筏橋を舞台にした事件はフィクションであり、登場人物に特定のモデルはいないという。

映画の監督・林權澤(1936年、長城郡生まれ・光州市育ち)の家族にも左派が多く、林權澤はそのために多くの苦労を味わった。

映画は当初1992年に撮影に入る予定で、ソファ役に呉貞孩を選んで準備を進めていたが、政治的な問題からクレームがつき、撮影が延期された。この延期中に林權澤が呉貞孩を主役にして撮影した映画が『風の丘を越えて/西便制』である。

筏橋邑を含む宝城郡は、観光客のために「小説『太白山脈』舞台地」として古い面影を残す場所の整備を行っている。

韓国では漫画化もされている。