前回、『フォトミステリー』の感想を綴ってみましたが、意味が分からないものもたくさんあったので、自分なりに考えてみました。

【ネタバレあり】のブログになるとおもうので、まだ読んでない人はご注意ください。

 

 

 

●攻略

一単語や文章形式のタイトル、一見なんでもなさそうな写真、言葉数が少ない文章から、行間を読むように真相にたどり着かなければなりません。

そんなタイトルや写真などを、それぞれいくつかに分類してみました。

型のネーミングは統一感ありませんが。

真相へのヒントはあちこちにいろんな形で散りばめられているようです。

 

○タイトル

・抜粋型

文章中に出てきた言葉をそのままタイトルに使ったもので、最重要ワードの可能性大。

これに注目すると、真相がわかりやすい。

『ごめんね』、『今夜』など。

 

・物語補足型

主語、述語で構成されていて、本編の最後辺りに書いてあっても良いくらい意味を持つ。

これがないと何が起こったか、これからどうなるかの重要な部分がわからないもの。

『お兄ちゃんの髪は濡れていた』、『何日か経つと静かになった』、『中身は家の裏に埋めたそうな』、『弟は野良猫とビーグルのあいだだった』、『そろそろ妹はビーグルよりも大きくなった』など。

 

・活字型

文字ならではの表現で、大きなヒントになっている。

『能才』、『いかないで』(←実際は鏡文字)など。

 

・教訓型

物語を俯瞰で見たようなメッセージで、物語の結果を表しているらしい。

『成長は難しい』、『ひとを疑うべからず①』など。

 

○写真

・登場人物不足型

会話には登場するが、写真では見当たらない人(とか)がいるもの。

実は何らかの理由で見えなかったり、構図上写真に写らなかった場所にいる可能性が。

なぜいないのか、なぜ見えないのかが真相への鍵かも。

『お兄ちゃんの髪は濡れていた』、『何日か経つと静かになった』など。

 

・イメージ型

文章に出てくるものの実物であるが、その写真がなくても物語は成立しそう。

ヒントだったり、逆にミスリードする狙いがあったりかも。

『つちのうま』、『今夜』、『往復書簡①』、『盲点』など。

 

・ビフォー型

文章中の出来事が起こる前のもの。

写真に写っているものに何らかの変化が起こる可能性大。

『能才』、『ジャンプ力』、『いかないで』、『生餌』、『弟は野良猫とビーグルのあいだだった』、『そろそろ妹はビーグルよりも大きくなった』など。

 

・アフター型

文章中の出来事が起こった後のもの。

足りなくなったものは何か、元はどうなっていたかを検証するとよいのかも。

『能才』、『いかないで』は実はこちらなのかも。

『成長』、『悩み』、『FはFlee/FreeのF』、『ひとをうたがうべからず①』、『ひとを疑うべからず②』、『導火線』など。

 

○文章

・ギミック型

普通に読んだら意味を成さないが、法則を見つけると意味が分かるもの。

『能才』、『つちのうま』、『いかないで』(←実際は鏡文字)など。

 

・連作型

いくつかの物語が時系列でつながっているもの。

文章中に同じ用語が使われているので、どれとどれが関連しているかはわかりやすい。

『ごめんね』、『デュロン』、『つちのうま』、『世界平和①』、『往復書簡①』、『往復書簡②』、『ハツカネズミと人間』、『幼体』

 

・ナレーション型

物語に登場しない人物の語り。

っと思っていますが、実は物語に関与している人物なのだろうか。

『ジャンプ力』、『何日か経つと静かになった』、『中身は家の裏に埋めたそうな』、『ひとをうたがうべからず』など。

 

・元ネタあり型

何らかの物語のパロディ的なもの。

わかりやすいヒントはあるので、連想しやすい。

『盲点』、『ちょっと遅かった』、『中身は家の裏に埋めたそうな』、『ウミガメのスープ』、『ひとをうたがうべからず①』、『ひとをうたがうべからず②』、『指』、『いたずら少年は翌朝になって発見された』など。

 

●考察

というわけで、いくつかのパターンには気づけましたが、意味が分からないものもたくさんありました。

あれこれ考えましたが、答えらしきものにたどりつけていません。

考察というより事実上のギブアップ宣言という方が正しいかもしれません。

 

『ジャンプ力』

全員楽器を抱えてジャンプしているので、ドラム担当もきっとドラム一式を抱えてジャンプしたのでしょう。

着地の時その重みで●んだのかと思いましたが、そもそも重すぎてジャンプできないのでは。

 

『デュロン』

後日談の『ベロン』はわかるけど、『デュロン』なんで擬音語はないですよね。

5年前の姿を想像しても、封筒から出てくる大きさとは思えない。

もしかしたら、デュロンはP所長の研究室で作られたものかとも思いましたが、それを郵送する必要性や意味が想像つきません。

 

『手紙』

落ちてきた封筒が怪我をして動けないという表現がわからない。

封筒を怪我は同一の物体ではないのでしょうか。

 

『干しガキ』

そういう村があるとして、あの写真は何なのでしょう。

 

『指』

前半は有名な『●●●●ドア』のことなのでしょうが、タイトルの『指』はどうつながるのでしょう。

すでに指が『●●●●ドア』を通って別の場所に行ったとき、『●●●●ドア』を『●●●●バッグ』を取り寄せてしまい、指がちぎれてしまったということでしょうか。

そういえば、写真も指先がすっぱりないように見えます。

その他にも文章が「》」で終わっているのも気になります。

『●●●●バッグ』の取扱説明書の一部を抜粋したのでしょうかね。

 

『髪飾りに見えるのは目だった』

一番難易度が高かったです。

タイトルが何を示しているのかさっぱりです。

カメレオンのように舌が伸びて、火や蚊を消し去ったのでしょうか。

 

『幼体』、『成体』

どうやら元ネタあり型のようで、『くねくね』という怪談があるようですね。

それを知らないのでさっぱりわかりません。

元ネタは昔話や誰もが知る有名なコミックくらいにしてほしかったです。

 

『思い出』

この物語で分からないのは上の写真。

明らかに下の写真とは別の犬ですよね。

下の犬は、かつて上の大きな犬に助けられたと『思い出』で思わせておいて、実は『旅立ち』の写真の人に助けられていたというミスリードを誘ったのでしょうか。

 

 

というわけで、どこまで真相に近づけたのかわかりません。

ただ、怖い話が多い中、『思い出』から『旅立ち』への流れで締めてくれたのは良かったです。

謎解きや推理は好きですが、実は猟奇的なものはあまり得意ではないので。

 

振り返ってみると、まだまだ道尾秀介先生の発想には及びませんでした。

できれば解説版も出してほしいです。

真相を知ったところで、まだ読んでない人にも読んでもらい、『ウミガメのスープ』方式で導いてあげたいです。

 

そして、もし『フォトミステリー』第二弾が出たなら、今度こそすべての話を解明したいものです。