続いても道尾秀介さんの作品『フォトミステリー』です。

 

写真とショートストーリーで構成された50の物語です。

『いけない』シリーズの延長線上のようではありますが、小説でも写真集でもない、ジャンルは何とも言えないです。

 

『いけない』では数十ページの文章の後に一枚の写真が添えられており、その写真で物語の真相がわかるような仕掛けになっていました。

この『フォトミステリー』は、タイトルで1ページ、写真で1ページ、文章が1ページ(中には2~3ページのものもあり)という構成です。

 

悲しいとかクスっとする話もありますが、全体的には「意味が分かると怖い話」のような猟奇的、非現実的など怖い話が多い印象です。

難易度はいろいろですが、かなり手強いものが混じっています。

わかってしまえば文章のところどころに仕込まれたキーワードや不自然な写真、絶妙なタイトルがうまく絡まっているところが楽しめます。

一方で何度見返しても意味の分からないものがいくつもありました。

 

ワニブックスのサイトで一部のタイトルが紹介されています。
意味が分かった(つもりの)話に○、わからなかった話に×を付けてみました。


○静かな午後 
○さがしもの 
○能才 
×デュロン 
○つちのうま 
○今夜
○聞いてごらん、と言った女性の肌は濡れていた 
○何日か経つと静かになった         
○中身は家の裏に埋めたそうな 
○弟は野良猫とビーグルのあいだだった 
×指 
×髪飾りに見えるのは目だった 
○いたずら少年は翌朝になって発見された 
○旅立ち 
 

この中では『つちのうま』がよかったです。

意味が分かったときは、嬉しくなりすぐに気分が沈みました。

 

読んだ人と答え合わせしたくなる作品でした。