以前『DETECTIVE X CASE FILE#1 御仏の殺人』というゲームを遊んでみました。
次々に明らかになる捜査資料を元に事件の真相を追い求める推理ものです。
このゲーム中何度か自分の想像をひっくり返され存分に楽しめたので、そのシナリオを書いた道尾秀介さんの作品は読んでみたいと思っていました。
最近、こんな紹介文にそそられて、『いけない』という小説を読んでみました。
道尾秀介オフィシャルウェブサイトより
どの章にも、最後の1ページを捲ると物語ががらりと変貌するトリックが……!
ラストページの後に再読すると物語に隠された〝本当の真相〟が浮かび上がる超絶技巧。
さらに終章「街の平和を信じてはいけない」を読み終えると、これまでの物語すべてがが絡み合い、さらなる〝真実〟に辿り着く大仕掛けが待ち受ける。
この作品はこんな4章で構成されています。
第1章「弓投げの崖を見てはいけない」
自殺の名所付近のトンネルで起きた交通事故が、殺人の連鎖を招く。
第2章「その話を聞かせてはいけない」
友達のいない少年が目撃した殺人現場は本物か? 偽物か?
第3章「絵の謎に気づいてはいけない」
宗教団体の幹部女性が死体で発見された。先輩刑事は後輩を導き捜査を進めるが。
終 章『街の平和を信じてはいけない』
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ご本人がインタビューで話されているように、各章の最後に写真が掲載されています。
その写真によって物語の真相に気づくかもしれない、という仕掛けが施されています。
写真を見た感想を綴ると……
第1章:ほぉー、この小説はこういうことか。ふむふむ、論理的に推理させるわけだな。……。わかった、あのシーンの真相はこういうことだな。これは面白い!
第2章:まあそういうことだよね。文章で想像はついたよ。ん?待てよ、そんな時系列だっけ?あのシーンはなんて書いてあったっけ。
第3章:???ちょっとよくわからないな。……。ダメだ、次を読もう。
第4章:どういうことだろう。……。それにしても見事にいろいろつながったな。
ネタバレを避けると具体的なことが書けないので、読んだことない人にもあまり伝わらないでしょうね。
個人的には、すっきりした第1章と物語が収束していく終章が気に入りました。
どの写真も首をひねり、その章を何度も読み返したくなります。
写真に関連がある部分を見つけ出し、それらがつながり真相にたどり着いた快感はたまりません。
その一方で、物語自体の余韻はすっきりしない部分もありますが、その後味もまたこの作品の良さだと思いました。