最近こんな本を本屋で見かけ、すぐに買いました。

オグマナオト著『日本野球はいつも水島新司マンガが予言していた!』(ごま書房新社)

現実の野球で起こった数々の出来事は、それ以前に水島新司先生が「予言」のように作品の中で描いていたという内容です。

 

50歳の現役プロ野球投手。

女性のプロ野球選手。

投手と打者の二刀流で活躍するプロ野球選手。

163キロを投げる高校球児。

甲子園で5打席連続敬遠。

札幌ドームの建設とそれを本拠地にする球団。

侍ジャパンが誕生するはるか前に、あぶさんが全日本メンバーに選出されたエピソードのタイトルが「侍」

などなど。


『ドカベン』や『野球狂の詩』シリーズだけでなく、『あぶさん』、『光の小次郎』、『おはようKジロー』、『朝子の野球日記』、『平成野球草子』など幅広い作品のエピソードが現実に起こった記録と一緒に紹介されています。

ところどころ、雑誌に掲載された水島先生のコメントも紹介されているのも嬉しいです。

 

250ページに渡るボリュームは読み応えありました。

どのエピソードも、水島作品が描かれた年と実際に起こった年が書かれていて、中には30年以上前に「予言」されたいたものもあり、面白かったです。

 

このところ、ロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平選手の二刀流としての活躍は誰もが知るところですが、水島作品では、DH制なのに9番ピッチャーの新田小次郎、4番ピッチャーの七夕竹之丞がいます。

二刀流という言葉を聞くと、今でも小次郎や七夕を思い出します。

 

明訓対土佐丸戦で、ホームベース上に球が散乱した場面がありましたが、あれも現実に起こったのですね。知らなかったです。

 

やや残念なのことが二つありまして。

一つは、水島作品の画がまったく入っていないこと。

とはいえコアなファンなら、目次を見ただけでも「あの作品のあの場面ね」とピンとくることでしょう。

 

もう一つは、水島新司作品の年表。

水島野球マンガ全33作品リストと称していますが、『青春の牙』や『吠えろ青春』や『ブル』など、コミックス1巻のみで完結した作品が載っているのに、なぜか『水島短編傑作集』(新日本スポーツ企画)全2巻は載っていません。惜しい。

改訂版が出版されるときには、ぜひ載せてほしいです。

 

これからもリアルな野球は水島作品を超えていくのでしょう。

いつの日か80歳超えの現役プロ野球選手、リアル岩田鉄五郎が現れる日が来るのかもしれません。

そのときに改めて水島先生の「予言」に驚き、感心するでしょうね。