あぶさんが帰ってきました。
カラーページの背景は青空と白い雲という演出が粋です。
今回は、夏の高校野球100回記念大会をテーマとしています。
●あらすじ
居酒屋大虎の近くである老人が倒れています。
その人は梅田北高校の俵監督。
この出会いをきっかけに、部員不足のため3校が連合で出場するチームのコーチを買って出たあぶさん。
あぶさんは、打撃に見込みのある江尻大介が気になります。
でも、本人が聞きにくるまでは教えない主義を貫きます。
そんなあぶさんを動かそうとボンがある秘策を……。
●気になるところの多いコクのある作品
連合チームをテーマに取り上げたのはよかったですね。
全校の校歌を歌うため3勝したいというのには、応援したくなりました。
「万にひとつ勝ったところでどこの校歌を歌うんや?」というセリフが、締めの伏線になっているところもよかったです。
いろいろと気になるところがあったので、振り返ってみましょう。
最初は山田屋の孫、勇が中心に展開するかと思いましたが、そんなに目立ちませんでした。
キャラ的に派手さはない割に、6安打完封とはなかなかいいピッチングだったようです。
その山田屋は母校難波南高校の監督が女性に代わったことが気に入らなかったようです。
でも、その白石監督は別にやる気がなさそうなわけでもなく、むしろ試合当日はお化粧バッチリでノリノリでした。
地味に気になったのは柔道部員。
明訓高校にいた上下っぽい少年がいましたね。
柔道部といえば、ボンに向かって「おっさん」と呼んだ少年に対し、あぶさんは「おっさん」はないだろうと叱ります。
でも、ボンは俵監督を何度も「おっさん」呼ばわりしていました。
それに関してはあぶさんはおとがめなし。
あぶさん、ボンも叱ってやってください。
バックスクリーンを見ると、主審の名前が「栄村」になっていました。
顔を見る限り、『ドカベンドリームトーナメント編』に登場したあの栄村主審とは別人のようですが、関係気になります。
読切らしくテンポよく進みましたが、これだけいろいろあれば話を膨らませる要素は感じられるので、何回かの連載で読んでみたかったです。
●次回以降の希望的予想
今後の『あぶさん』ですが、次は秋に再会できるかもしれません。
なぜなら、表紙に「水島新司画業60周年記念読切 夏の章」と書かれています。
夏の章ということは、秋の章、冬の章もきっとあるのでしょう。
前回は40ページ、今回は42ページ、この調子で秋と冬が40ページずつくらい掲載されればコミックス化もありそう。
もしそうなったら、描き下ろしも収録されると嬉しいなぁ。
秋の話は何でしょう。舞台はドラフトでしょうか。
あぶさんのおかげで打撃開眼した江尻や6安打完封の山田勇が再登場するでしょうか。
過去に登場したキャラなら、九ちゃんならどうですかね。
『あぶさん』89巻に初登場した、雪の王子サマこと真田九ちゃんは、2007年1月時点で小学二年生でした。
2018年の今は20歳くらい。
ドラフトに指名されるには中途半端な時期ですかね。
もし、成長した九ちゃんがドラフトに指名されたのなら……。
『あぶさん』の時の流れを感じさせるドラマを見せてくれるでしょうね。