『ドカベン』最終回まであと1日。

これまで楽しませてくれた『ドリームトーナメント編』に感謝し、カウントダウン企画として「あのシーンをもう一度と題して作品を振り返っています。

 

第6弾となる今回のテーマは「ドリームカープ」。

準決勝第1試合のドリームカープ対スーパースターズ戦を振り返ります。

この試合の見どころを独断でランキングを付けてみました。

 

今回も先にクイズを出しておきましょう。

問題1 この試合で、水原勇気がスーパースターズから奪った三振の数はいくつでしょう。

問題2 そのうち、連続で奪った三振の数はいくつでしょう。

 

 

この試合の目玉は何と言っても『野球狂の詩』の水原勇気が帰ってきたこと。

しかも、あの武藤と同じチームになったことです。

水原が登板するときは盛り上がりましたね。

本編は巻頭カラー、水原の過去のエピソードを描いた読切作品も同時掲載されました。

 

他作品からは『極道くん』のゴクと大魔神の参戦、野球未経験者だったはずの『アルプスくん』のアルプスの参戦も心踊らされました。

あの剛球仮面の正体がわかったのもこの試合でしたね。

 

『ドカベン』出身の選手では、鷹丘中にいた三つ子の復帰も嬉しいニュースでした。

それに呼応するように、同じく鷹丘中のチームメイト長島も起用され、鷹丘率の高い試合となりました。

「3番・おれ」と、土井垣監督がドリームトーナメントでスタメンで出たのもこの試合だけでしたね。

岩鬼が怪我をしたのかしていないのか、謎のまま進行したのもこの試合でした。

 

では、ランキングです。

 

1位 水原勇気-武藤兵吉バッテリー誕生

2位 投手京極道太郎対打者山田太郎

3位 渚復活

 

 

3位は渚です。(16巻~18巻)

この試合のカープの先発投手は、剛球仮面でした。

ドリームトーナメントに彗星のごとく現れた剛球仮面は、一回戦では投手として無失点完封、二回戦ではスタメンで4番の活躍ぶり。

そんな剛球仮面が試合中に負傷しベンチに下がり、その後マウンドに上がったのが山田らの後輩、渚圭一でした。

 

渚は、明訓高校に入部してすぐ、アンダースローからオーバースローに変えられました。

当時のエース里中がアンダースローだったため、同じ型の投手はいらないとの土井垣監督から指示されたからです。

悔しかったでしょう。

高校卒業後もなかなかプロからは声がかからずモヤモヤした気持ちで野球を続けてきたはずです。

 

その渚が、プロとして、土井垣の前で、アンダースローからのさとるボールで山田を三振を奪いました。

また、絶対に負けたくない相手、里中に対してもアンダースローで挑みピッチャーライナーに仕留めました。

この試合は、渚にとって過去の自分を超えるターニングポイントになったことでしょう。

 

 

2位はゴク対山田です。(19巻)

『ドリームトーナメント編』初登場のときから、ゴクの威勢の良さは、原作『極道くん』とちっとも変っていません。

岩鬼とのいざこざ要因は、ドリームカープではゴクが適任でした。

事実、ごく自然に二人は幾度となく対立しましたね。

 

見ごたえがあったのは、投手京極道太郎です。

『極道くん』でも出刃ボールと称される球を投げていましたが、『ドリームトーナメント編』ではその詳細が明らかになりました。

投球のキレの正体、それは初速と終速の差が小さいことでした。

この試合、ゴクの投球でその差が最も小さかったのは3キロ。

これは、あの新田小次郎を凌ぎ、高校時代の義経と並んで水島作品史上最小の差だったと記憶しています。

 

ちなみに、ゴクの高校時代からのチームメイトである埴輪もいい仕事をしてくれましたね。

守備妨害や故意落球など疑惑のプレーをする小技を使う一方、好守備で幾度となくピンチを救い、さらには里中からホームランを打つ大砲としてチームに貢献しました。

大魔神の活躍ぶりに惚れ直したファンもいたのではないでしょうか。

 

 

栄えある第1位は、なんといっても水原と武藤が悲願のバッテリーを組めたことです。(20巻、21巻)

原作『野球狂の詩』の歌では、メッツの二軍で出会い、ともに一軍入りを目指してドリームボールを開発しました。

しかし、武藤がトレードとなり、敵同士となってしまったのです。

そして、作品終盤で、互いに選手生命を賭けて唯一球の勝負が行われました。

 

あれから何年の月日が流れたのでしょう。

遂に二人がバッテリーを組む時が来たのです。

ファンも水原の感動したでしょう。

そして、誰よりも喜んだのは武藤でした。

 

初めてドリームボールを捕ったときの武藤の感極まった涙は、水島作品の中でも屈指の名場面だと思います。

さらに、水原の存在は、武藤の打撃にも影響を与えました。

4打席ノーヒットだった武藤が、水原の打法をヒントにしてホームランを打ったのです。

引退を考えるほど悩んでいた武藤もこれで自信を取り戻したでしょう。

 

この試合は、偉大な先輩にコンプレックスがぬぐえなかった渚、打撃に不振に自信喪失の武藤、この二人の悩みで重い空気があったことが特徴でもありました。

渚は先輩との対決で、武藤はかつての相棒と念願のバッテリーを組めたことで、殻を破ることができたに違いありません。

 

最後に、水原のドリームボールにも触れておきたいです。

『野球狂の詩』のドリームボールは、打者の手前で浮き上がり、揺れながら落ちるスクリューボールに変化するものでした。

『ドリームトーナメント編』では、落ちるときはナックル、シュート、スクリューなど、本人にもどうなるかわからない変化をする球へと進化していました。

しかも、右足を蹴っても蹴らなくても投げられるようになり、ますます打者を困惑させることができるようになっていました。

その成長ぶりのおかげで、水原は打者10人に対し5三振を奪いました。

特に、マウンドに登っていきなり、山田、長島、義経、賀間の4連続三振は圧巻でした。

ちなみに、もう一人の三振は岩鬼でしたね。

『野球狂の詩』や『スーパースターズ編』11巻とは違って、ロングリリーフだったのも嬉しかったです。

 

 

答え1 奪三振は5つ

答え2 連続三振は4つ