『ドカベン』最終回まであと2日。

これまで楽しませてくれた『ドリームトーナメント編』に感謝し、カウントダウン企画として「あのシーンをもう一度と題して作品を振り返っています。

 

第5弾のテーマは「ドリームタイガース」。

阪神タイガースは実在の球団ですが、『ドリームトーナメント編』に出場したタイガースの選手は、すべて水島作品に登場した選手で構成されたいました。

ドリームタイガースは、アイアンドッグス戦とスーパースターズ戦の二試合が行われました。

今回取り上げるのは、二回戦第1試合のスーパースターズ戦です。

この試合の見どころを独断でランキングを付けてみました。

 

1位 投手藤村甲子園対打者山田太郎の第3打席

2位 小林真司の投球

3位 火浦健対山田太郎

 

この試合は、試合前からすでに盛り上がりを見せました。

スーパースターズに小林真司が加入し、タイガースには東京メッツの元エース、北の狼こと火浦健が加入したのです。

タイガースには王島大介もいたので、かつてライバルとしてしのぎを削った兄弟が同じユニフォームを着ることになったのです。

さらに中三日で藤村甲子園が登板。

始球式には『野球大将ゲンちゃん』の主人公ゲンちゃんまで登場しました。

 

3位は火浦と山田の対決です。(15巻)

『スーパースターズ編』10巻で、札幌華生堂メッツ対大阪ガメッツのクライマックスシリーズでメッツが勝ったため、火浦対山田の対決はお預けになりましたが、今回遂に実現です。

 

8階の裏、疲労が見え始めた藤村甲子園に代わってマウンドに登った火浦。

ベンチから出てきた姿だけでも迫力がありました。

長髪の奥から除く鋭い眼のカリスマ性は健在です。

 

『野球狂の詩』では、国立を三振にとるほどの速球派でしたが、今回の火浦は抜群のコントロールが武器でした。

キャッチャーの豆タンがストレートのみでリードしてくれたおかげで、かつての面影も見ることができました。

火浦が、山田だけでなく岩鬼や殿馬とも対戦したのも嬉しかったです。

 

山田との勝負は、山田に軍配が上がりました。

ミスリードだったと自分を責める豆タンに対し、火浦は「息が合って打たれた球に悔いなどはずがないぜ」と声をかけます。

その笑顔の清々しいこと。

 

『ストッパー』の第105回にも同じようなシーンがありました。

サヨナラ負けの原因となった暴投をしたキャッチャー帯刀に対し、火浦は「気にするな だから野球はおもしろい」と声をかけました。

あのときの笑顔を思い出されてくれました。

火浦の器のデカさを感じさせてくれる名勝負だったと思います。

 

 

第2位は、久し振りに『ドカベン』に帰ってきた小林の投球にしました。

中学・高校時代は速球でバッターをねじ伏せてきたイメージのある小林でしたが、今回はまるで違いました。

ストレートは130キロ台、変化球を多用で、危なげなピッチングばかりです。

伝家の宝刀ナックルの切れ味はかなりのものでしたけどね。

 

打たれまくったイメージがある小林でしたが、7回ノーアウト一二塁での降板までに打者34人に対し……

・被安打は8本。うちホームランは、王島が1本、力道は2打席連続の2本。

・奪三振は5つ。東海の竜、信長、豆タンが1三振ずつ、甲子園が2打席連続の2三振(うち一つは振り逃げ一塁セーフ)

・四死球なし。

・失点は3点。つまりホームランはすべてソロ。それ以外はランナーを出しても還さなかった。

という結果でした。

不安定さはあるものの、山田のリードとキャッチングがあれば、土井垣監督が期待するローテーション投手入りもあるかもしれませんね。

 

 

栄えある第1位は、もちろん『男どアホウ甲子園』の藤村甲子園対『ドカベン』の山田太郎です。

山田への初対決は、3球連続の160キロのストレートでした。

いきなりやってくれましたね。

二打席目も同じようにビシビシストレートで攻める甲子園。

しかし、この2打席はいずれも打たれてしまいました。

 

最大のヤマ場は、第3打席でした。

剛速球のみで攻める甲子園に対し、ファールで粘る山田。

12球目で遂にフルカウントとなりました。

そして13球目、渾身の一球はこの日MAXの164キロ。

山田は空振りの三振となりました。

 

不思議なものです。『ドカベン』は大好きなのに、他の作品の主役級のピッチャーとの対戦では、そのピッチャーに肩入れして見てしまいます。

山田が三振に倒れたとき、藤村甲子園と一緒にガッツポーズをしている自分がいました。

 

 

というわけで、見どころを三つに絞っても、結構語ってしまうものですね。

今回はこの辺で。