●今週のあらすじ
ドリームトーナメント決勝戦、10対10で延長12回の裏、スーパースターズの攻撃。
この回から、微笑がマスクを被る。

 

スーパースターズは1番岩鬼からの好打順。

初球、どまん中のストレート。
164キロをファールにする。

 

2球目もどまん中ストレート。
これも一塁側へのファール。

 

そして3球目、中西MAXの167キロ。
打球は一二塁間を破るライト前ヒット。

 

ノーアウト一塁で2番殿馬が打席に入る。
初球、166キロ。
殿馬のバットは木っ端みじん。
果てして打球の行方は。

 

●中西球道、そして水島新司作品の最高速を更新
遂に出た167キロ。
あっさり出た。
それっぽい予感もさせずに出てしまった。


疲労が出てきているであろうに、延長12回で自己最高速を更新してくるとは、恐るべし中西球道。
でもその割には小さいコマであっさりだった。
これまでと比べると迫力は感じなかったね。

 

●天才打者岩鬼

そんな水島作品初の167キロは、ヒットになった。
岩鬼としては不本意だったようだが、やはり167キロを弾き返すのは容易ではなかったことがよくわかる。

両者アッパレでしょう。

 

かつて殿馬は「悪球打ちのあいつにとって どまん中は悪球づらよ」と言っていた。(『大甲子園』11巻)。
でも、今回の場合はコースよりもあまりに速かったため悪球扱いになったらしい。


悪球は絶好球として打てる。
あまりに速すぎる球は悪球になるので打てる。
タイミングを外されれば、それも悪球になるので打てる。

 

こう考えると、岩鬼はどんな球でも打てるではないか。
山田が「岩鬼は天才打者」と言うのもうなずける。

 

だとしたら普段ストライクを打てない理由は何なんだ。
岩鬼自身は「わいはここ一番のときしか打たんのや」と言っている。(無印『ドカベン』37巻)

 

いかにもわざと打たないような口ぶりだが、実際のところは、豊福きこうさんが残したコメントにそのヒントがあるような気がする。
「岩鬼はリードした場面で集中力を保てるような好打者ではない」
(秋田書店「ドカベン1000号への道」より)

 

わざとで打たないのではなく、追い詰められないと本気を出せない質なのだろうね。
今回はまさにその場面だったと思うけど、シングルヒットに留めた球道はやっぱり凄い。

 

●次回以降の希望的予想
殿馬の打球はファールなのではないだろうか。
1点取ればサヨナラだけど、山田に回るまでに岩鬼と殿馬は塁に出ていてほしい。
こんな展開を予想してみた。カギを握るのはサードの一球だ。

 

殿馬は、粘って一二塁間を破るヒット。
星王はキャッチャーフライで倒れ、ワンアウト一二塁で山田。
山田はフルカウントまで追い込まれ、渾身のストレートを打ちに行くが引っぱれずレフト前ヒットに。

 

と思われたが、サード一球が大ジャンプ。
空中で二塁送球、岩鬼は戻れず一気にツーアウト。
セカンド空草がすかさず一塁へ送球。
殿馬も戻れず、トリプルプレー。

 

鉄つぁん「なんじゃと、明訓対青田のようにまたトリプルプレーじゃと」
ゴリ「鉄つぁん、わしゃ恐ろしゅうて震えてしまうわい」
Kジロー「真田さんのジャンプが素晴らしかったですね」
新田「ああ。そして中西もだ。ここで自己最速の168キロを出すとはな」

 

なんてね。

右打者が多いスーパースターズが、今の球道から三塁方向へ打つのは難しいのではないか。

では、微笑監督は何のためにあの真田一球をサードを守らせたのか。

さすがの山田も球道の速球に詰まって三塁方向に飛ぶと予想したからではないだろうか。

こんな展開でもないと、サード一球の活躍の場はないんじゃないかな。