●今週のあらすじ
ドリームトーナメント決勝戦7回の裏、スーパースターズの攻撃は、6番長島から。
長島は初球から果敢に打ちに行くが、中西のストレートに2球続けてバットを折られてしまう。
そして3球目、156キロのストレートにまたもバットを折られたが打球は三遊間へのゴロに。
サード微笑が捕ったが、同時に折れたバットが左足に直撃。
一塁へ投げられず内野安打となった。

7番山岡は初球送りバント。
157キロのストレートに押され、キャッチャーフライに。
キャッチャー真田が後方へ飛びついてアウトとなった。

この瞬間、一塁ランナー長島がタッチアップ。
不意を突かれた真田、中西の指示でタッチアップに気付き二塁へ送球。
ショート先斗がタッチにいったが、盗塁成功となった。

そしてこのトーナメント2ホームランを放っている里中が打席に入る。

●もう一つの石炭、里中
球道のピッチングにますます熱が入ってきた。
キャッチャーフライ狙いよりバットを次々に折る方が球道らしくて気持ちがいい。

そんなふうに球道を燃えさせたのはスーパースターズのエース里中の登板だ。
高校時代に激戦の末敗戦投手にさせられた相手が三者凡退の好スタートを切ったとなれば、球道に火がつかないわけがない。

かつて青田高校の大下監督は中西球道をこう讃えた。

「あいつは人間機関車だ

体中が火と燃えているかぎり馬力はおとろえることを知らない

そして燃えさせる石炭は山田だ!!」
(『大甲子園』21巻)

今の球道を見ていると、球道にとって里中も石炭にように思える。

球道がさらに一段ギアを上げたようでさらに見応えが出てきたよ。

●キャッチャーフライで一塁ランナーがタッチアップ
今回レアなシーンがあった。
キャッチャーフライで一塁ランナーが単独でタッチアップを成功させた。
水島作品にこの組み合わせはあっただろうか。

一塁ランナーがタッチアップするシーンはあった。
明訓対ブルートレイン学院で、ワンアウト一三塁の場面。

、岩鬼が三塁ベンチ前まで打球を追いかけサードフライを捕ったと同時に一塁ランナーの朝風が二塁へ走った。
このときは薄暮でボールが見にくくなかった上に、三塁ランナーがホームへ突っ込もうとしていたから二塁へ送球できずタッチアップを許してしまったのだ。

(無印『ドカベン』38巻)

一塁ランナーが単独でタッチアップする場面があったかどうか思い出せなかった。

キャッチャーフライでのタッチアップといえば二つのシーンが思い浮かぶ。
一つは明訓対青田高校、ワンアウト二塁の場面。
山田のキャッチャーフライの隙に二塁ランナーの殿馬がタッチアップしていたのだ。

(『大甲子園』22巻)
厳密にはちょっと違ったけどね。

殿馬らしさが出ていた好きなシーンだよ。

もう一つは明訓対紫義塾、ワンアウト一三塁の場面。

里中のファールフライでを捕ったキャッチャー藤堂が怪我をしてしまった。

その間にタッチアップで三塁ランナー岩鬼はホームに還り、一塁ランナー殿馬は三塁まで進んだ。

詳しくは語らないけど、痛々しくてあまり思い出したくないシーンだったね。

怪我がなければホームインは許していなかったかもね。

 

というわけでキャッチャーフライで一塁ランナーが単独でタッチアップを成功させた長島は実にいいプレーをしたと思う。

 

●次回以降の希望的予想
里中がホームランを打つようなことがあれば、球道はどうなるだろう。
きっとがっくりとは来ないだろう、己への怒りでますます剛速球を連投すると思う。

実際にはかすらず三球三振かなと思う。

以前のブログで、この試合で明訓四天王全員のホームランを見たいとは書いたけど、球道からホームランを打てるのは山田と岩鬼以外には想像できない。

もう一つ別の展開を予想してみよう。

里中が無抵抗で打席に立ったらどうだろう。
明訓対青田でも同じ作戦をとったことがあった。

(『大甲子園』17巻)

 

今の里中がそれをすれば、自分が打たなくても野手陣が球道を打ち崩してくれると絶対の信頼を寄せている意思表示でもある。
誰にも打たせない自信がある球道にとっては相当の侮辱に写るだろう。

 

あのときは球道がストレートのフォアボールを与えてしまったけど、今の球道なら冷静に三振をとれるんじゃないかな。