●今週のあらすじ
ドリームトーナメント準決勝第1試合、0対1で迎えた1回の裏、スーパースターズの攻撃は、ツーアウト一塁で4番山田に打席が回った。

剛球仮面の初球はスライダー、2球目はチェンジアップ、ボールが続く。
3球目カーブ、4球目フォーシームでツーストライクと追い込む。

そして5球目、初めて見せるアンダースロー。そのフォームは里中そのもの。
しかも球種はさとるボール。
山田は三振に倒れた。

●剛球仮面対山田の初対決
謎の剛球仮面対山田太郎の初対決は、山田の三振に終わった。
球種も多く見られたし、配球の読みあいも描かれていた。
まずまずの対決だったと思う。

ただ、突然のアンダースローとさとるボールには驚いた。
特にさとるボールは、水島作品の中で里中以外に誰も投げたことがない。
さとるボールは握りと腕の振り方は判明している。(無印『ドカベン』30巻)
だからアンダースローに長けた投手なら、さとるボールは投げられるのかもしれない。

●右のアンダースローといえば
武藤のリードで意図的に隠しているのか、怪我などで投げられないのか、剛球仮面はまだ一球も剛球を投げていない。
七色の変化球を操る池畑三四郎なら変化球主体も納得がいくが、今回新たな謎が生まれた。
里中そっくりのフォームでさとるボールを投げられるのは誰なのだろう。

顔つながりで荒木新太郎も疑ってみたが、荒木はサイドスローはあってもアンダースローで投げたことはない。

他の選手の可能性を探るため、水島作品の下手投げ経験のある右投手を振り返ってみよう。

基本が下手投げの投手
里中智(『ドカベン』):水島作品のアンダースローの代名詞。
池畑三四郎(『男どアホウ甲子園』):七色の変化球を武器にしつつ、大回転投法を持つ剛球仮面やキャッチャーの一面も。
岩田清志(『野球狂の詩』):火浦が入団するまでメッツのエース。
立花薫:(『野球狂の詩』):15歳でプロ入りしたシンデレラボーイ。マウンドを掘って、低空飛行の投球が決め球。
上原二郎(『おはようKジロー』):上手投げの一郎と交代しながら投げ、冠学園を翻弄した。

基本は上手投げだが、下手投げで投げたこともある投手
真田一球(『一球さん』):弁強高校戦で急きょ投手に起用されたが、上手投げでは暴投連発、文六の助言で試した下手投げはコントロールが良かった。
吉永(『ダントツ』):バックネット裏で念仏を唱える海坊主を視界から消すため、急きょ下手投げに。

上手投げと下手投げを使い分ける投手
柴又寅(『白球の詩』):右打者には下手投げ、左打者には上手投げと使い分け、さらに緩急をつけた投球が得意。

特定の打者にだけ下手投げを投げた投手
影丸隼人(『ドカベン』):山田対策
三原心平(『ストッパー』):チャーリィ・レーン対策

それ以外の投手
渚圭一(『ドカベン』):中学時代は下手投げだったが、高校に入り監督の指示で上手投げに転向。

この中に剛球仮面の正体はいるのだろうか。
『ドリームトーナメント編』で既に登場した選手もいるので、候補はかなり絞られる。

もし池畑だとしたら、最初から下手投げにするんじゃないだろうか。
岩田清志、立花、上原、吉永、柴又では地味すぎる。
渚も捨てがたいけど、あの特徴ある前髪が見えないんだよな。

●来週以降の希望的予想
2回の表カープの攻撃は、武藤、金太郎、赤一郎に回る。
まずは、二回戦で打撃不振だった武藤が復活しているかに注目。

水原勇気とバッテリーを組めることでウハウハ気分の武藤が、山田のリードを読み切ってホームランを打つと予想。
相手チームのキャッチャーが強力であればあるほど、最終的に山田の凄さが際立つからね。

そんなオトナな事情はともかく、水島作品の中でも特に苦労人な武藤には、山田というスター選手と五分で渡り合ってほしい。