我らが崎山弥生さんが参加するユニットARCADIA(アルカディア)が名古屋にやってきた。
この夏は名古屋と東京の2公演だが、残念ながら、崎山さんは名古屋は参加できなかったのだ。
ARCADIAのHP http://laid8.net/arcadia/



開演予定の19時を15分ほど過ぎ、ようやくメンバーが登場。
チェロの佐藤さんはクマの被り物を席に着くと同時に外してしまった。
一方、ピアノ菊地さんは被ったまま演奏に入った。
1曲目の「A PASTRAL SONG」をピアノとチェロのデュオで演奏。
崎山さんがいたら、きっと実現しない編成。貴重な機会を作ったやよりん、ありがとう。

最初のあいさつで、メンバー紹介とともに、ヴァイオリンの崎山さんが仕事の都合で無念の欠場となったことが改めて告げられる。
だが、それだけではなかった。
なんと、生電話で声の出演があったのだ。

菊地さん「こっちの声聞こえる?」
崎山さん「聞こえる」
佐藤さん「非常にたくさんのお客様が来てくださってます」
崎山さん「今日TOKUZOに行けなくてすみません。……?今のは何?」
佐藤さん「今のは弥生さんを呼ぶ声ですよ」
崎山さん「そうなんだ。雄叫びに近かった。あはは」
佐藤さん「崎山さんから一言どうぞ」
崎山さん「お集まりのみなさん、参加できなくて本当にすみません。明後日の東京公演は演奏するつもりです。今日は残念無念ですが、最後までACRADIAのライブ楽しんでいってください」
佐藤さん「お客さんの拍手聞こえる?」
崎山さん「聞こえる。泣けてくる」

シンプルなやり取りだが、生の声を届けてくれてよかった。

崎山さんの声の出演が終わると、入れ替わりにフルートの伊藤麻子さんがステージに呼びこまれた。
伊藤麻子さんのHP http://asako-music.com/

2曲目「BEYOND THE WORDS」以降は、常にフルートを交えた演奏となる。
今回、作曲家の菊地さんがヴァイオリンの代役を考えたときに、崎山さんの穴を埋めるヴァイオリニストが思い浮かばず、思い切って別の楽器を起用することにしたそうだ。
そこで、音域が似ているフルートを選んだのだという。

3曲目は2ndシングルのタイトル曲「KAKUHEN」
聴きどころはフルート。演奏後には伊藤さんはすっかり息が上がってしまう。
佐藤「伊藤さんは今息を整えています。こういう曲を管楽器の人とやると本当にすごいなと思う」

次も1stシングルのタイトル曲「LOTUS FLOWER」
この秋、この曲でドイツの学生オーケストラと共演するそうだ。
ライブなのかレコーディングなのか、どちらにしてもCD化してほしい。

ここで、前回もゲスト出演したギターの曽根一則さんを迎えて、4人で新曲「雲の上でゆらゆら」を演奏。
イントロのピアノの高音が、遥か空の彼方を連想させる。
チェロのロングトーンがゆったりとした時間の流れを感じさせる。

6曲目の前に、MCを佐藤さんから伊藤さんへチェンジ。
伊藤さん「普段は自分の作曲した曲で演奏活動しています。
このメンバーで自分の曲を2曲演奏させていただけるということです。
この編成では初めてです」

まずは、ライブ初演の「熱田神宮の四季」。名古屋公演でのうってつけなご当地ソング。

伊藤さん「3枚のオリジナルアルバムを出しています。
1枚目のアルバムから
『アケトキのもり』を聴いてください。
ピアノとフルートのデュオですが、今日はギターとチェロも入ってくれます。
暁の語源がアケトキです。」

3拍子のつもりで聴いていたら、なんか変。
それもそのはず、実は5拍子だった。

佐藤さん「いつもより時間が早く感じますね」
トークが短めのせいかな。
前半最後の曲は「A CHILD OF DESERT」でよかったかな。サブタイトルが「砂漠の物語」なのかも。
菊地さん「今日はNHKの関係者が来ているそうですが、この曲大河のオープニングにどうでしょう?」
なるほど、全体的に重厚で、ところどころ光がさすような希望を感じる。
やよりんのコネで本当に使われたらいいね。

前半が終了し、ステージを去る前に謎めいた発言があった。
佐藤さん「後半に何かが起こります。動揺しないでください」
その何かとは、想像の斜め上を行くものだった。


約30分の休憩の後、ステージに二人の女性がしずしずと現れた。
するとそのまま、お芝居のような二人の会話で後半の幕が上がった。

沼娘(ぬまっこ)という女性二人のユニットは、アコーディオンとテルミンというあまり見ない組み合わせ。
驚くべきはその世界観。沼の世界からさまよってライブハウスにたどり着いた体でやりたい放題。
コミックバンドに分類できると思う。
沼娘のHP http://fatern.com/numacco.html

30分もの間、やりたい放題の沼娘のステージは、ゲストというよりARCADIAのツーマンライブのように感じた。とにかく存在感と世界観は一度見たら忘れられない。
そんな沼娘が退場すると、TOKUZOに静けさが訪れた。もうライブは終わったかのように。

気を取り直して、沖縄をイメージして作られた「IN THE LIGHT」を4人で演奏。
初めて聴いたときと雰囲気が違うな。楽器同士が密集しているように感じた。

本編最後は「OURSELVES」
やや枯れたようなフルートが上質な哀愁を醸し出している。

アンコールに応えてあっという間に演奏者たちが戻ってきた。
そして、せっかくだからと再び沼娘も呼び込まれた。
会場からの拍手も明らかに歓迎ムード。
それに気を良くして、オリジナルの「ぬまっこ音頭」でまたしても沼の世界へ誘ってくれた。

これはこれでおもしろかったのだが、締めはやっぱりARCADIAのオリジナルで。
新曲「音をつなごう」を初披露してくれた。ボーカル担当は沼娘で。
ライブ初披露で沼娘って大丈夫か!?と思ったけど、まともにARCADIAの世界観で歌ってくれた。
あのリズムは8分の6かな。次のCDに収録されるだろうか。

佐藤さん「今度は弥生さんに来てもらってまたやりたいと思います」
お待ちしています。

最後に恒例のお客さんを交えての記念撮影。
これを次回のライブのチラシに使うところがARCADIA流なのだ。

このライブはとにかく沼娘の独壇場だったね。
音楽なら何でもありのARCADIAのライブだが、後々語り継がれる一夜になったと思う。

28日(日)の東京公演はアニソン祭りになるそうだ。
そちらも配信されるらしい。
行けない人はぜひUSTREAMで。


ARCADIA 2013 LIVE TOUR "FAIRYTALE" 名古屋公演
日時:2013年7月26日(月)19:15~22:05くらい
場所:TOKUZO 名古屋市千種区今池
出演:ARCADIA(ピアノ、作曲菊地謙大郎、チェロ佐藤光)
    伊藤麻子(フルート)、曽根一則(ギター)、沼娘(歌、アコーディオン、テルミン)
セットリスト
01. A PASTRAL SONG
02. BEYOND THE WORDS
03. KAKUHEN
04. LOTUS FLOWER
05. 雲の上でゆらゆら(新曲)
06. 熱田神宮の四季
07. アケトキの森
08. A CHILD OF DESERT
(休憩)
09. かごめかごめ(沼娘ソロ)
10. ようこそ沼の世界へ?(沼娘ソロ)
11. ???
12. ふたりの???
13. ???(「これが恋なの」とかなんとか)
14. 月の娘
15. IN THE LIGHT
16. OUTSELVES
(アンコール)
17. ぬまっこ音頭 (歌:沼娘)
18. 音をつなげて(歌:沼娘)